ばんざ~い
ばんざ~い
ばんざ~い
このまま勢いにのって、3連勝はいかがでしょうか?
あさって神宮での万歳三唱、六甲おろしの大合唱、久しぶりに応援に行くんだから、期待してまっせ~
「近頃のやつらは…」
と、こ~いっちゃん。
「避妊という言葉を知らんのか」
「避妊だけ知ってても何にもなんねえだろ」
「相手を気遣うこともできないなんて、ばかじゃねえのか?」
どうやら、辻ちゃんとウルトラマンなんたらとの“できちゃった結婚”を指していってるらしい。
「あんたがおこってもしょうがないでしょうが」
「そりゃ、そうだけどさ、普通26にもなって、19の女の子とするときにコム、つけなきゃ、バカといわれても仕方ないだろ」
「んじゃ、男が19、ハタチならいいのか?つけなくて…」
「いやあ、つけるべきでしょね」
「んじゃあ、つけたけど、結果があれね」
俺は、奥の部屋でおふくろさんとテレビをみている細太郎を指差した。
「うっ」
こ~いっちゃんは、言葉を失った。
「他人の失敗を指摘する前に、幸せを祈ってやんなさい」
と、ここで広之が神妙に言葉を発した。
「俺なんか、妻がいてもやらしてもらえないんだから」
しみじみというな、タワケ者め。
「ふん、ふん、俺なんか、やり方忘れっちまったぜ」
「えっ」
「うそだろ~」
思わず上げた俺たちの声に、一瞬だが細太郎が振り返った。が、すぐに視線をテレビに戻した。その様子をうかがいながら、
「うそ、つくんじゃねえ」
と、ささやいた。
「まさか、彼女だけしかシタことがないのか?」
「あ、いや、そんなことはないが…」
こ~いっちゃんだって、まさか10年もシテないってことはないだろうが、まあ、何にしても、俺や広之には信じられないヤツだということはいえる。
でもなあ、こ~いっちゃんの言葉じゃないが、避妊は大切だぞ。妊娠よりも感染症の方がもっとこわいんだからな。
でも、俺は絶対に相手を妊娠させない自信はたっぷりとあるからな。
そんなわけで、いつもにこにこみなさまの藤川でした~。
し~ゆ~
今日のお昼休み、保健室のしおみ先生のところへいこうと、5年4組の前を歩いていたら、はるみちゃんを見ました。相変わらず、いばりくさっていました。
こういう女の子って、自分を中心に地球が回っている、と思っているんだろうな。
そんなことを考えながら、はるみちゃんの横を通りすぎていくと、
「あら、細太郎君じゃないの」
と、意外にも声をかけてきました。
「へ?」
ぼくは、はじかれたようにあとずさりをしてしまいました。
「なんなのよ、その態度は」
はるみちゃんは、勝手に声をかけて勝手に怒っています。
ぼくは、じっと上目遣いにはるみちゃんを見て、ずりずりと後ろに下がっていきました。
だって、ぼく、はるみちゃんが大嫌いなんだもん。話かけられるのもいやだ。
「ぼく、用事ないから」
と、保健室へ行くことも忘れて、走って教室に戻ってきてしまいました。
後ろから、
「なんなのよ、あの態度は」
というぶりぶりしたはるみちゃんの声が追いかけてきましたが、そんなことどうでもいいです。
とにかく、ぼくはあの人が嫌いなんだからね。
いきせききって教室に戻ってくると、たかのり君が、
「ど~した」
と聞いてきました。
「妖怪がいた」
ぼくがそれだけを答えると、
「あ、はるみだな」
と、教室から首を出して4組の方をさぐっていました。
「あ、いたいた、妖怪ぶりぶりだ」
たかのり君の声が聞えたのか、
「なんなのよ、あんたたち、失礼じゃない」
という怒鳴り声が聞えてきました。
「あの女、バカだなあ。妖怪だって言っただけで怒ってやんの。別にあいつのこといったわけじゃないのになあ」
たかのり君がこっちを見て笑いました。するとしんいち君が、
「自覚があるんじゃないの?」
と言ったもんだから、ぼくたちは大笑いをしてしまいました。
ほんと、しんいち君の一言は時々こわいです。
こんばんは、へちま細太郎です。
ぼくたちが学校の近くの歩道橋のそばを通ったら、妖怪パンツがいました。頭金髪の女子高生のことです。
妖怪パンツは、スカートが短くてパンツ丸見えで、パンツが小さいみたいで、いつもおしりのお肉がはみ出しています。
「きもちわりいな」
たかのり君は、いやあな顔をしていいました。
「ほんとだね」
「冬のスウェットもきたねえもんな」
「洗ってないみたいな汚かったよね」
「でも、ああいうのが、オヤジにもてるんだよなあ」
「世の中変だ」
みきお君は笑って、ぼくは妖怪にしかめつらをし、たかのり君は、
「俺思うんだけど、はるみも妖怪パンツになるよな」
と、とんでもないことを言い出しました。みんな、何もいえずにいると、
「ぼくもそう思う」
と、しんいち君が賛成意見を出しました。
「な?」
「な?」
二人はうなづきあい、ゲラゲラと大声で笑いました。
時々、しんいち君はこわいことを何でもない顔をして言うんですよ。 そうしているうちに、妖怪パンツは、スカートを押さえながら歩いていってしまいました。押さえるくらいなら、最初から短くしなけりゃいいのに。
妖怪だけに、頭が悪いんだと思いました。