宇宙そのものであるモナド

生命または精神ともよびうるモナドは宇宙そのものである

三浦瑠麗(1980生れ)「今上陛下のご意思表明を受けて」(2016/08/09)『山猫日記』

2016-08-27 22:43:32 | Weblog
(1)「国民統合の象徴」としての天皇
A 今回のビデオは、「民衆とともにある天皇という自画像への、陛下の多大な責任感」の表明である。
A-2 これは「平成の時代に復古された民間信仰としての国民統合の象徴という解釈」である。

(2)「軍部の独走」
B 「昭和の時代における軍部の独走とは、大日本帝国憲法下における天皇の統治者としての役割を利用し、政治家をバイパスして直接『ご聖断』を仰ごうというもの」だった。
B-2 「美濃部の天皇機関説では軍部は都合が悪かった。内閣の権限を弱め、外交や軍事とそれにかかわる予算を全て掌握するために、天皇だけが持っていることになっている『統帥権』の範囲を拡げたかった。」

(3)「今回の譲位の御意思を快く思わない保守派」:「新・天皇機関説」論者
C 自民党の2012年改憲草案は、「軍部の天皇主権説」への「回帰」ではない。「国民主権ということははっきりと憲法草案に明記されています。」
C-2 「超保守的な方々が、どうも今上の御意思に疑念を投げかけ、皇室典範の改正の必要はないと言っているようなのです。こうした方々のオピニオン誌への寄稿を見てみると、かつての西郷どんのような暑苦しいまでの尊王の志は感じられません。そこに感じられるのは、ある種ヒヤリとするような官僚的冷たさです。」(Ex. 八木秀治)
C-3 「譲位に伴うリスクや天皇制度の趣旨から譲位に反対する保守派の一部の態度には、天皇制度を利用して武士から建国者に上り詰めた長州閥の系譜を感じさせるところがあります。」
C-4 「『新・天皇機関説』論者は天皇の主権も人格もなくして皇祖皇宗の伝統に閉じ込めておくことによって、より国家主義の度合いを強めている。」

(4)「今上の示された共同体」
D 今回のビデオで、「今上はこれまで作り上げてこられた象徴天皇の解釈によって、民衆とつながる天皇という像を直接国民に語りかけることで実現した。」
D-2 「市井の人々が慈しみ存続させている、いたるところの共同体に、自らは象徴として息づいているのだというメッセージ。」
D-3 「その共同体が残っているのは日本の地方でしかないかもしれませんが、そここそが自民党の地盤であり、もっぱらイデオロギー活動にいそしむ保守派論客が決して根を下ろそうとはしていない郷里」です。
D-4 「多くの地方選出の保守系議員は今上陛下のお言葉を受け止めることができたのではないかと思う。」

(5)「リベラルは代替わりしつつあります」
E 「戦前回帰を戒め、天皇の影響力を極小化したい(※リベラルの)観点からは、今上のビデオメッセージによる直接の国民への呼びかけは心穏やかでない人もいるでしょう。」
E-2 今上が、「政策に関与しないと明言されたとはいえ、その自信に満ちたご風からは、都市リベラルは戸惑いを感じる向きもあるでしょう。」
E-3 「ですが、(※リベラルの)新しい世代は、より普遍的に物事を見たうえで、天皇家の人権という概念も受け入れる余地があります。もしくは今上の来し方から、すぐに戦前回帰という脊髄反射をしない傾向もあります。」

(6)「制度変更」(「譲位を制度化する」)
F 「天皇をどのように位置づけていくか」という問題。
F-3 「君主と国民主権と代議制民主主義という緊張関係を孕んだバランスのもとに、あらゆる人の人権を守っていくということは、天皇の独断も、多数の専制も、政治エリートの暴走も許さないということにほかなりません。」
F-4 「今上の人権に配慮しつつ、政治エリートと主権者である国民が議論をしていく必要があるでしょう。」

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