講談社文庫 264ページ 560円+税
真っ白な猫、タマオ。生まれたばかりでビニール袋に入れられ捨てられたのを救ってくれた理々子に恋をしている。理々子の家に住んで10年。ある夜怪しいクルマに追われた理々子を救おうとして飛び出したら、青年の姿に変身していた。夜だけ変身ができるようになっているが、変身すると寿命が縮むと黒猫のイヴに教えられた。
猫弁シリーズの大山淳子さんが猫の視点で書いた淡いラブストーリー。
タマオを救った理々子、理々子の祖母のおぬいばあ、父親の柳沢氏。作家の花園とその飼い猫のイヴ。こういう人たちをタマオの視線から書き綴っていきます。タマオは理々子が好きでたまらない。理々子を守るためには何でもしたい。しかし、猫の自分では。。。ある日、願いが叶って夜限定の人間への変身ができるようになる。
本作の終盤に猫弁のテヌが登場。タマオはテヌを「黒と茶と灰色が不規則にまじった、いわゆるサビ猫に出会った。サビ猫のデザインは目のやり場に困る。方向性の無い柄で、落ち着かない」と語っています。
猫の香箱の姿勢についての解説
香箱を組む。猫は安心するとこの姿をとる。四本の足をきちんとたたみ、まるでハコのようにまっすぐに腹這うのだ。この姿勢からはすぐに逃げることも攻撃することもできない。自分に気概を与えない相手といるとき限定の姿勢で、信頼の証しだ。
よく似た設定の小説に越谷オサムの「陽だまりの彼女」があります。こちらは、もっと濃厚な恋愛もの。本作は、性欲とはかけ離れた純愛。こういう淡い恋心も良いものです。
雪猫 (講談社文庫) | |
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