文春文庫 368ページ 657円+税
話題となっているTVドラマ「半沢直樹」の原作本 2冊目。
東京中央銀行 営業第二部という旧財閥担当部署の次長となった半沢直樹は、百数十億円の損失を出した老舗の伊勢島ホテルの再建を押しつけられる。さらにそこに悪名高い黒崎検査官による金融庁検査が入る。伊勢島ホテルへの融資とその損失隠蔽が発覚すると東京中央銀行の業務にも支障が出る。絶対に負けられないところに追い込まれた半沢。また半沢の同期入行の近藤が出向しているタミヤ電機では二重帳簿が見つかり粉飾決算が明るみになってくる。
自分の失敗を他人に押しつけ、顧客ではなく自分の出世ばかりを考える銀行員。これに対して半沢が前作同様に、真っ向から立ち向かっていきます。そして一対一や会議、そして取締役会議にても自分にふりかかる火の粉は顧みず正論を吐き、正しいことをなそうとします。ひとつの言葉で、溜飲が下がるとはまさにこういうことだと感心、感動の繰り返しです、痛快な企業小説です。
本作では本流の傍らを流れるストーリーとして半沢の同期入社でタミヤ電機に出向させられている近藤の奮闘ぶりも描かれます。総務部長という職にあるが、課長は言うことを聞かない、社長は自分の提案を聞かない。こういう中で、不正を嗅ぎつけ会社のためにこれを正そうと立ち上がります。ここにも半沢の分身が登場しました。
メモ
・これだけの損失を出しながら、財務関係の役員はそのまま留まっているというのもいただけません。
・「だから君にやってもらいたい。君以外に適任はいない」 部下に仕事を押しつけるときの常套句である。
・「一方的な批判なら誰でもできる。理由なき批判は、中傷に近い」
・「反社会的税理士」
・「人生は変えられる」 野田の平板な眼の中で、小さな驚きが鋭く弾けた。近藤は続けた。「だがそれには勇気がいる。いまのあんたはいじけたサラリーマン根性丸出しの、見苦しいオヤジだ。ノーに比べたら、イエスは何倍も簡単なんだ。だけどな、オレたちサラリーマンがイエスとしかいえなくなっちまったとき、仕事は無味乾燥なものになっちまうんだよ」
・「あんたはいつも客に背を向けて組織のお偉いさんばかり見ている。そして、それに取り入り、気に入られることばかり考えている。そんな人間が立てた再建計画など無意味なんだよ。」
・「銀行に時効はない」
本作では旧三菱と東京銀行の2派閥の抗争も含めて、銀行のよどんだ体質に半沢が立ち向かっていきます。
これも 本当に面白かった。
お薦め。
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