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文春文庫 290ページ 590円+税
2005年から2008年にかけて「オール読物」に掲載された短編6編。
・十年目のクリスマス
・セールストーク
・手形の行方
・芥のごとく
・妻の元カレ
・かばん屋の相続
本書の表題となった「かばん屋の相続」は京都のかばん屋 一澤帆布 の相続の争いをネタにして書かれた作品として有名。家業のかばん屋をちっぽけな商売としてそっぽを向いて都市銀行に就職していた長男と父親とともにかばん屋の仕事をしていた次男。父親の急死にて遺言状を開けると、家業を長男へと。会社を辞めて新たにかばん屋を始めた次男。そこにしく人たちが付いていく。一方の長男の会社は・・・。京都では有名な兄弟の骨肉の争いをモチーフとして面白い短編に仕上げています。
これ以外も、銀行にまつわる話の短編小説。銀行の裏表、銀行に勤める人、そして銀行と取引する人たちが血の通った人間として描かれます。特に「芥のごとく」が腹に応えました。当座預金の不足に対して、こんなに中小企業の経営者が走り回り、これを支える銀行マンが胃を痛めているということ。これは再認識しました。
読んで損のない短編集です。
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