104つの奇跡

見えてるのかな、これ?

あきらめたら、そこで試合終了だよ 4

2005年11月22日 13時30分23秒 | Comics
 ちょいと間が空いてしまいましたが、このスラムダンクシリーズはまだまだ終わりません。今回はある意味作中最大のヤマ場とも言えるIH決勝リーグ最終戦、湘北vs陵南戦の感想をば。なるだけサッパリといこうと思いますが、何分ジャンプコミックスでも5巻に渡るのでこれまで以上に長くなります。それでは早速(ちなみに、上の画像は完全版なので、本文の巻数とは異なります)。


◇17巻後半:陵南戦その1
 陵南と海南が戦っている間になんと湘北の名監督、安西先生が倒れてしまいます。入院してしまったので、IH予選の最終戦は安西先生不在という厳しい状況で戦わねばなりません。
 武里が海南にサクッとやられた様子を前座にしてIH決勝の最終戦、湘北vs陵南の試合が始まります。両チームとも一勝一敗、勝った方がIHへいけるというなんとも分かりやすい構図。この演出は上手いな~。しかも練習試合で一度当たってるとはいえ、湘北サイドは宮城と三井、そしてゴール下を手に入れた桜木を要しているのでかなりのパワーアップ。対する陵南も恐るべき攻撃力を持つ福田が復帰したので行く末はサッパリ分かりません。それを盛り上げるべく、試合前に両チームのスタメン発表の場までよういされてます。ここで陵南の田岡監督がその昔、三井、宮城、そして流川を陵南にスカウトしようとしていた事実が明かされます。三井と宮城は安西先生がいるということから、流川はなんと「近いから」と言う理由で名門の陵南行きを蹴ったことが判明します。それが今では最大の敵として立ちはだかってるんだから因果なものです。そして試合開始。
 ジャンプボールでは赤木は足を怪我しているので、陵南のキャプテンで2mを誇る魚住に競り負けてしまいます。仙道にボールが渡り、福田へとパス、それをシュート。早速得点かと思われたのですが、なんと桜木がリングより上のボールを叩き落とします。しかし、これはインターフェアという反則で相手に2点が入ります。が、審判は「高校の試合でインターフェアをコールしたのは初めて」だそうです。桜木の潜在能力の高さが垣間見えます。
 その後、宮城のスティールでボールを奪い、桜木にパスされます。ゴールまでノーマークで駆け上がりそのままダンクかと思われたのですが、ここは落ち着いてゴール下特訓の成果を出します。観戦していた海南の選手達が一様に驚きます。何せ、海南戦の時は外しまくっていたのですから(海南の面々はこの後もジャンプシュート
特訓のあとも驚いてくれます)。海南も福田がシュートを狙いに行きますが、三井の名演技でファウルをとられ、18巻へ続きます。


◇18巻:陵南戦その2
 前巻の最後でファウルをもらったので湘北ボールでスタート。桜木と福田はマンツーマンで対決します。福田は攻撃力に目を見張るものがありますが、ディフェンスはザルなので、桜木の見え見えのフェイクにも動揺します。そこでいい気になった桜木の「天才とは99%の才能と1%の努力」という名言が飛び出します。これ、実際にはセリフがページを跨いでいるんですね。しかも言い終わると同時に後ろからボールを取られます。いいな~、このシーン。宮城のフォローが入って得点は免れます。
 その後も一進一退の攻防が続きますが、赤木は集中力を欠いています。1週間前に怪我した足を心配しすぎてのことなのですが、それが徐々に全体へと広がっていきます。マッチアップしている魚住にいいように抜かれ、ゴールを決められます。挙句、ワンスローまで献上してしまいます。が、桜木に呪いをかけられた魚住はフリースローを外します(単にヘタというだけですが)。いや~、真剣な中に時折笑いを潜り込ませるのが本当に上手いですね。赤木のいつもと違うプレイに苛立ちを覚える湘北はたまらずタイムアウトを取ります。そこで桜木が赤木に突然頭突きをかまします(赤木に殴り返されますが)。いや、中途半端なギャグマンガよりおもろいわ。しかも、この頭突きは「必要なこと」なので尚更。他にもタイムアウト時に流川が得点していないことを指摘するのもうまいな~(←伏線)。
 立ち直った赤木は早速ゴリラダンクを狙いますが、魚住と仙道に立て続けにブロックされます。桜木もその後を継いでゴリラダンクⅡを狙いますが、体ごと魚住に叩き落されてしまいます。桜木はキレるのですが、桜木軍団の機転で我に返ります。そろそろシリアスに戻って欲しいな~。桜木は1本目のフリースローを決め、2本目を外します。リバウンドを取った流川は赤木にパス。そしてゴリラダンクを決めて完全復活をアピールします。3ページも1人で使って非常に贅沢。
 赤木の復活に危険を感じた田岡監督はタイムアウトを取ります。ここで軽く福田のバックグラウンドが語られます。気合を入れなおした福田はバンバンシュートを決めます。登場率も恐ろしく高くなっております。仙道が解説役になってしまってますから。桜木はゴールでの競り合いに負けて記者席へ突っ込み、流血してしまいます。福田のオフェンス能力の高さを物語る上でこれ以上ない演出でしょう。点差も12点まで開き、もうダメかと思ったその時、炎の男・三井寿の3ポイントが火を噴きます。その後、もう一本決めて6点差にまで縮めて前半終了。19巻へと続きます。


◇JC19巻:陵南戦その3
 ハーフタイム、両チームのロッカーでの様子が描かれます。ここで前半の流川がおとなしいということがクローズアップされます。すごく伏線張られてますね。
 後半開始、今度のジャンプボールは赤木が取り、流川にボールが渡ります。ここでエンジン全開、仙道を抜いてシュートを決めます(突破すると見せかけてその場でドリブルのアレです)。前半に頑張りすぎた海南戦での教訓が活かされてますね。その後も、ディフェンスに定評のある池上にマークされてシュートを打てない三井からボールをスイッチされてシュートを決めます。しかもワンスローももらい、それもキッチリ決めます。練習試合で仙道に負けてるだけに凄い気迫、さすが絵になる男。フリースロー時に桜木の呪いがかかって(!)ましたが、決めます。魚住がヘタだっただけです。挙句、仙道と真っ向からぶつかってクイックモーションのシュートも決めます。最高に絵になります。
 仙道も負けてはいません。先ほど流川が自分を抜いた技をそのまま真似て、流川を抜き去り、シュートを決めます。仙道の方がレベルが一つ上だと言うことをこのワンプレーで証明する手法は上手いな~。その後、3分ほど無得点の時間が流れますが、またもや仙道が流川と赤木のブロックを掻い潜ったシュートも決めます。が、直後に流川が仙道の目の前で3ポイントを決めます(決めた後、陵南ベンチの前で流川が挑発するシーンがやけに好き)。主役の桜木がかすんでしまって仕方が無い。
 焦る桜木は福田をフェイクで抜き、自ら切り込んでシュートを放つも外れ、リバウンドを自ら取ります。落ち着いてゴール下を狙うも魚住がファウルで止めます。このプレイで陵南の大黒柱・魚住は4ファウルとなり、一旦ベンチ下がります。陵南にピンチが到来。このチャンスをモノにし、湘北は三井の3ポイントで逆転します。
 ベンチの魚住は1年の頃を思い出します。そうです、ビッグ・ジュンの回想シーンです。田岡監督のあの名ゼリフです。「体力や技術は身につけさすことはできる・・・だが・・・お前をでかくすることはできない。たとえオレがどんな名コーチでもだ。」のアレです。スラムダンクに名ゼリフは数あれど、私はこれが一、二を争うぐらい好きですね。
 ですが、現実は残酷です。赤木が流川とアリウープ(パスボールを取ってそのままダンクする技)を決めて湘北のリードを決定付けます。陵南も桜木の自殺点で2点追加するも、赤木がさらにリードを戻します。仙道が味方を励ます姿がやけに哀しい・・・。湘北は得点を重ね、陵南は仙道ですらブロックされる。点差は開いていきますが、田岡監督は魚住を投入しません。我慢だと言い続けて20巻へ。


◇JC20巻:陵南戦その4
 湘北のリードはまだ続きます。大黒柱の魚住が4ファウルでベンチに引っ込んでいるので、控えのセンター菅平がコートにいますが赤木の相手は務まりません。赤木だけでなく魚住の強さも再認させられます。福田も赤木に付きますが、2人を抜いて赤木はシュートを決めます。攻撃で赤木にスポットが当たるのは珍しい? 赤木のワンマンだった湘北時代がチラッと流れますが、当時の牧の髪型が気になって仕方がありません。高1でリーゼント気味って。
 点差が13にまで開いた時、田岡監督が動きます。魚住退場のリスクを背負ってでも危機を脱する必要を感じたのでしょう。陵南自体もそうですが、何より仙道の負担が限界だったのでしょう。田岡監督の「流れはもう一度ウチにくる」の言葉を信じて魚住はコートに立ちます。が、魚住へのパスを宮城がカット。宮城、流川、桜木の湘北最高速トリオ(メガネくん命名)が仙道に襲い掛かります。仙道は桜木か流川にパスすると踏んでましたが、なんと宮城が強引に突っ込んでシュート。この対決はかなりレアです。ってゆ~かこのシーンだけじゃないかな? 魚住復帰で希望を抱く陵南の出鼻を挫きます。
 が、魚住は冷静です。ファウルギリギリの当たりをしながらも赤木と無理に勝負はせず、周りにボールを散らして反撃の機会を伺います。そのバックで1年前に湘北と陵南の対決があったことが描かれます。ってことは、一昨年の陵南決勝リーグにいけなかったのか? 魚住の動きに応えるかのように仙道と福田が連携して反撃を開始します。その後もファウルギリギリの当たりでリバウンドを取ったり、シュートをブロックしたりと魚住が目立ちまくります。仙道も負けじと得点を狙います。やはり仙道はバシバシとゴールを決める方が合いますね。
 仙道はエンジン全開。流川へのパスをカットすると桜木を抜いてダンクを決めます。しかも、このシーンは見開きのちょうど真ん中にいる桜木が全く目立ちません。陵南に流れが傾いてきました。「1分間に1ゴールずつ」というセリフがさも当然のように思えてくるのが仙道のすごいところです。ここから陵南の反撃、そして田岡監督による湘北の不安要素が語られます(このしばらく後のドラマを引き立てるだけになるんですがね)。
 湘北も流川がリードを広げるも仙道がすぐに追いつき、次第に仙道が会場全体を支配してきます。別に美形キャラでもないのに、仙道に女性ファンが多いのは「有無を言わさぬ強さ」という魅力があるからなんでしょうね。
 仙道の猛攻を抑えるべく、赤木や流川が奮闘しますがそれを物ともせず仙道は得点を重ねます。最高にカッコいいですね。赤木は4つめのファウルを取られ、ピンチに立たされます。その上、三井がスタミナ切れで倒れると言う最悪の状況を迎えたところで21巻へ。もう息つく暇がありません。


◇JC21巻:陵南戦決着
 貴重な3ポイントシューター・三井がスタミナ切れで倒れてしまいます。残り2分、1点差での三井の離脱は思った以上にダメージがあります。会場全体が陵南の応援に周り、湘北の切り込み隊長・宮城も厳しいマークでボールを運べません。逆転も時間の問題かと思われたその時、場内に神奈川県予選の優勝旗を持った湘北高校柔道部主将・青田(赤木のライバルらしい)の声が響き渡ります(知らない人は1巻あたりを読んでください)。
 これに鼓舞されて木暮(メガネくん)にパスが渡りますが、魚住に難なく弾かれます(キングコングのようだ)。仙道にルーズボールを拾われ、福田へのパス。もうダメかと思ったその時、桜木が立ちはだかります。なんか主役らしい動きです。福田は味方の越野へとパスし、越野がシュートを打ちますが赤木がブロック。三井もベンチに戻り、最終局面へと向かいます。いっぱい揃ってなんかカッコいいぞ。
 リバウンドボールを仙道が取り、またもや流川を抜き去ったところでなんと桜木がドリブルのボールを弾きます。おぉ、主役っぽい! 田岡監督の「何故桜木がいるー!?」の言葉と相まった盛り上げ方も最高です。ヘルドボール(要するにジャンプボール)のあと、ボールを保持した仙道はこの試合最高らしいパスを魚住へ通します。赤木の一瞬の虚を突いた魚住がシュートを決めようとしたところへまたもや桜木がブロックします。田岡監督も思わず「何故桜木がそこにいるんだぁ!?」と叫ばずにはいられません。ここに来て、桜木に恐怖します。両チームとも「勝ちたい」という気迫は十二分にあるのでどちらがそれを上回るかです。読んでる私もテンションが上がってきます。流川がボールを弾かれ、陵南の速攻と思われたその時、またもや桜木が現れてパスカットします。
 近くには流川と木暮。焦った陵南は流川に2人のマークが付きます。普通に考えれば、「木暮は補欠で流川はエース。ゆえに流川をマーク」となりますが、桜木が流川にパスを出すはずがありません。フリーになった木暮が試合を決定付ける3ポイントシュートを決めます。この翌週の#183は木暮が主役のお話。赤木との出会いからこれまでの回想が流れます。日は当たらなかったけれど3年間頑張ってきた男が最後の最後でヒーローになる。ベタですが、これほど燃える展開が他にあるでしょうか? 読者のテンションも最高潮のはずです。これで燃えなきゃ男じゃありません。
 残り58秒、ここから13ページに渡ってセリフが全くありません。流川と赤木、そして桜木を抜いた仙道が反撃の狼煙を上げたのが38秒前。赤木が魚住をかわしてシュートを狙うも福田に阻まれて外れる。リバウンドを桜木がキャッチし、両手でダンクを決める。練習試合の時のような油断はありません。残り1秒までしっかりとガードして70-66。湘北がIHへの切符を手に入れます。思わず赤木は涙しています。そこへ桜木が駆け寄り「さぁ、整列だ」と声をかけます。この構図、海南戦終了時とちょうど逆になるんですね。両チームとも泣き崩れています。その後の記者インタビューで陵南の田岡監督が「敗因はこの私!! 陵南の選手たちは最高のプレイをした!!」と応えて綺麗に締めくくりました。茂一、おいしいな~。
 表彰式を終え、安西先生の入院する病院へと湘北の選手達は押しかけます。そして病室で胴上げという荒技を披露。最後までやってくれます。これにてひとまず試合は終了。次は全国です。



 足掛け5冊にも渡った陵南戦。海南戦でも十分にアツイのですが、これも負けないぐらいのテンションで描かれています(個人的には海南戦のが好きなんですが)。バスケマンガでは間違いなく一番、スポーツマンガでも屈指の名勝負ではないでしょうか? スラムダンクが遺したものは、かなり大きいです。さて、次は豊玉戦をやろうかやるまいか・・・

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