人びとが、本国で対立するのは当然あり得ることとはいえ、それが海外へまでも飛び火して、異国で互いに醜い争いを繰り返してきました。
こういのを「代理戦争」と呼ぶようですが、いろいろ考えてみましょうか。
▲禁酒法やらマフィアの暗躍があった100年前のアメリカ。
ヨーロッパでイギリス系とドイツ系・イタリア系が対立するのは当然です。
しかし移民先の異国アメリカでも、ヨーロッパでの対立を再現した代理戦争があったのです。
どこでも、少し先に来ただけで偉そうにするのは、けしからんものですが、本国であぶれたヤクザっぽい人たちがあふれていたアメリカ。
今でも憲法で自分の身を守ることが保証されており、州によっては銃の携帯が認められているらしい、といえば納得するかたも多いことでしょう。
その後、時代が変わりましたが
2017年1月にトランプが米大統領に就任してからは、今まで大きく取りあげられなかった米国の問題が表面化しました。
同じ共和党の中でも大きな対立があるとはいえ
概して言えば「ニセ進歩主義の民主党」と「腐敗した共和党」の対立がアメリカ国民を巻き込んだ代理戦争へと発展してきました。
トランプは、フィリピンのドゥテルテや中国の習近平と同じように、不法な手段でアメリカを正そうとしていますが、しょせんは権力欲がその源(みなもと)なのでしょうか。
その点で言えば、トランプ・プーチン・ドゥテルテ・習近平、みんな似ているように思われてしかたがありません・・・・・・。
いままでは一企業の主として平気で行政をだましてまで権力と富を得てきましたが、大統領になれば「無数の批判」を受けなければなりません。そういう批判を「ウソニュース」だと断定するのは、気持ちは分らないでもありませんが、この調子でいくと1年もつかどうかという感じです。
▲もっと分りやすいのが、朝鮮半島の南北対立。
韓国内では、脱北者にも2通りあるようで、北朝鮮に批判的な人たちと、韓国へやってきてなじめないどころか反韓国になった人たちで、これらがもともと韓国にいた親北派や反共派と、互いに協力・反目しあって、醜い争い・対立を続けております。
韓国を分りやすく、右派と左派にわけて考えると
- 右派:左派のことを、親北・独裁・北朝鮮のかいらい政権と叫ぶ(北朝鮮・中国べったら漬け)
- 左派:右派のことを、腐敗・独裁・米国のかいらい政権と叫ぶ(米国べったら漬け)
いずれも敵が「独裁」「かいらい政権」なんですが、自分の世界で一番正しい選択をしていると、疑いもなく信じています。だからそれに反対するものは許せないのですね。いや、反対しなければ負けてしまい、悲惨な目に会うのでしょうか。
右派は
少なくとも、朝鮮半島を統一したいと思うことにおいては左派と違いがないものの、左派がまるで北朝鮮主導で統一を望んでいるようにみえ、その場合、政権が一党独裁の北朝鮮の影響下、大きく言えば中国の影響下になってしまう、とみえるのでしょう。
日本という外部からみると、右派は、何かにつけて自分たちに反発する左派を「許せない」とみているようにみえます。
左派は
韓国よりもっと惨めな北朝鮮のはずなのに、それを独裁とは思ってないようで、まさに中国の儒教に洗脳されていると言えます。だからこそ右派政権をアメリカのかいらい政権だとみなし、「それよりはマシ」となるのでしょう。どちらが「マシ」なのでしょうね。
しかし昨今の成り行きからみて、朴槿恵政権の後にはこちらが新しい大統領を排出し、金大中~盧武鉉の「悪夢の10年間」を再現しそうです。
韓国左翼陣営の野党(いまのところ)がマレーシアでの金正男(キム・ジョンナム )暗殺を、北朝鮮が起こした事件だと判断してもよさそうなのですが、まだ明確に北朝鮮の犯行とは認めたくないようで「もしも北朝鮮の犯行とすれば・・・・・・」とする始末。
私の、取るに足らない考えでは、
この左派・右派の両方が間違っていると思います。
それは別として、韓国内では南北代理戦争があることを知っておきたいと思います。
ところがこの対立が
遠い海外の日本でも代理戦争として勃発しました。一口で「在日韓国人・朝鮮人」と言いますが、その醜い争いについて南北代理戦争を抜きにしては語れません。
これは更に飛び火して
マレーシアで金正男(キム・ジョンナム )が北朝鮮工作員によって殺害されたとみられる事件でも見られました。ヤクザの内部抗争に似た「北朝鮮の内部抗争」に過ぎないのが、中国や韓国を巻き込んでしまい、特に韓国を通じて代理戦争に至ったというのはまっことつらいことです。
アメリカでは
韓国を見限った脱北者ならぬ「脱南者」たちが多いようで、当然ここでは北朝鮮に関しては誰も興味を示さないようなので、韓国系の人たちが趣を変えて「反日闘争を繰り広げる」という新しい生き甲斐を見つけているようです。
いわばアメリカでの日韓代理戦争ですね。
ただし今アメリカでは、大統領トランプの出現でそれどころではなさそうで、もっと重大な国内関心事があり、代理戦争よりそちらの方に焦点が移ったようです。
▲戦前の中国
イギリス・ドイツ・フランスなどが、中国で植民地獲得合戦を繰り広げましたが、中国内での内戦が激しくなるにつれ撤退し始め、代わりにアメリカやソ連が中国へ介入するようになりました。アメリカとソ連が中国の主要な勢力へ荷担し、中国の内戦と見せかけた代理戦争をしていたようです。幕末の日本で、英仏が対立する勢力双方に武器を販売して戦わせたのを思いだしますか?
きっと今のシリア内戦を思い出す人も、いるでしょう。まさにシリアでは、大統領アサドの無策もあり、ロシアを内戦に参加させましたが、それ以前からアメリカなどの有志連合連合がシリア内戦に荷担していました。
戦後の米ソ冷戦の始まりは、ひょっとしたら中国において始まったのかも知れません。
これらを含め順不同で言えば、中国内戦・ベトナム戦争・アフガニスタン紛争・ソ連崩壊にともなう東欧諸国のロシア離脱と東西ドイツ統一・ウクライナ領クリミア半島問題などなど米ソに関係しない紛争など、考えられません。
▲この代理戦争は日本でも日常的に見られます。
普段は仲が良さそうにみえる家族が、ある部外者を通じて、妙な対立に至ることがあります。大きな問題がなかったのに、意図的かそうでなかったかは別として、第三者のせいで波風が立ち始めることなど日常茶飯事。この場合、部外者が代理戦争を引き起こしたと考えられます。
「選挙」が近くなると、よくみられます。日頃何もなかったように見えてても、きっと屈折したところがあったのでしょうか、あることをきっかけにして、激しくののしり合い、「親戚の縁をきる、もう絶交だ」となりやすいのが「選挙」。
選挙前ならたとえ親戚縁者同士であっても、それぞれの事情があるでしょうから、対立があってもいいのですが、「選挙が終わったら対立をやめて元のさやにおさまる」べきなのに、ついつい言葉が嵩じて「絶縁」に至り、それが長く続いてしまうのでした。この場合、選挙が代理戦争を引き越したと言えます。
▲沖縄問題も似ています。
本州で敗れ去った旧社会党などの「革新政党」が(何が「革新」か知りませんが)、沖縄へ逃げ込んで沖縄の問題を複雑にしているのか、それとも沖縄での対立を利用して生き残りを賭けて戦っているのかは、分かりませんが、こういった対立も代理戦争とみることもできます。
とにかく「朝日新聞 が右翼新聞にみえる」ほど極端な沖縄(特に本島あたり)では朝鮮半島に似て一色に染まりがちです。
沖縄は「革新」地域ではなく、旧態依然とした対立を繰り返すだけの「保守」地域なんでしょう。
▲一般な海外での話ですが
国内では恐らく一生出会えなかった人たちが海外で出会う奇跡などよく見られます。この場合、出身地での地域差を越えて懐かしく思うはずですが、そうならないこともあり、国内・同一地域での対立が激しいところから異国へやってきた場合、まったく知らない人同士でもよっぽどしっかりした考えがない限り、このような代理戦争に巻き込まれてしまいがちです。
私たちは、世界中で起るあらゆる対立・争い・戦争を見聞きする時
- こういった代理戦争になっていないかどうかを考えることで、ささやかでも対立緩和に役立つことがあります。この場合、本人には、その代理戦争の意識がないかも知れないことに留意したいものです。身近な利益にとらわれていると、やや大きな代理戦争の犠牲者に成り下がってしまうでしょう。
- もし代理戦争の意識があるとすれば、その深意をさぐることでより事実に即した判断ができるはずで、少なくとも「代理戦争」の意味が分らなかった時よりは、的確な判断ができるはずです。
さてさて、皆様はどう思われますか。