「古代ギリシアの名作をめぐって 人 神々 英雄」 ルーヴル - DNP ミュージアムラボ

ルーヴル - DNP ミュージアムラボ
「古代ギリシアの名作をめぐって 人 神々 英雄」 
2/1-9/1



ルーヴル - DNP ミュージアムラボで開催中の「古代ギリシアの名作をめぐって 人 神々 英雄」のプレスプレビューに参加してきました。

ルーヴル美術館のコレクションを大日本印刷(DNP)のマルチメディアコンテンツを使って紹介する「ルーヴル - DNP ミュージアムラボ」。2006年から続くプロジェクト、これまでにもエジプト美術や西洋絵画などの様々な優品が展示されてきました。

第2期の最終展示に当たる今回のテーマは古代ギリシア美術。ギリシア陶器の傑作として知られる「アンタイオスのクラテル」を筆頭に、ルーヴルより4点の美術品が来日。それを双方向のデジタルメディアで直感的に楽しむことが出来ます。


左:「赤像式萼形クラテル」、通称「アンタイオスのクラテル」
 陶器画家エウフロニオスによる署名、陶工エウクシテオス作といわれる/アテナイ、紀元前515‐紀元前510年頃
 粘土/高さ44.8 cm、直径 55 cm/チェルヴェーテリ(イタリア) 出土/カンパーナ・コレクション、1861年 パリ、ルーヴル美術館
右:「赤像式の杯」
 陶工エウフロニオスによる署名、陶器画家オネシモス作といわれる/アテナイ、紀元前500‐紀元前490年頃
 粘土/高さ9.6cm、幅49cm、直径39.9cm/チェルヴェーテリ(イタリア)出土/1871年取得 パリ、ルーヴル美術館


と言うわけで、早速「アンタイオスのクラテル」から。現存するところ僅か10点、古代ギリシア陶器の作家では最も革新的というエウクシテオスの作品、ともかくは英雄ヘラクラスが巨人アンタイオスを退治する様子を描いた鮮やかな紋様に目を奪われはしないでしょうか。

ちなみにクラテルとは酒と水とワインを曲げ合わせるための容器。古代ギリシアの宴会で良く用いられ、これ一つで45リットル、ワインボトルに換算すると30本分は入るそうです。


「アンタイオスのクラテル」鑑賞システム(画面)

そして作品をより深く理解させてくれるのがデジタル鑑賞システム。陶器の精緻な拡大図像はもとより、アトリビュートの意味、さらには作家の署名の場所などを紹介。これらはいずれもタッチパネル方式、操作も簡単です。


「アンタイオスのクラテル」鑑賞システム(画面)

中でも驚かされるのは、肉眼では見落としてしまう髭の立体的な表現まで確認出来ること。確かに髭がボツボツと浮き上がっているではありませんか。


「ディオニュソスの仮面」
 ボイオティア、紀元前450‐紀元前400年頃
 粘土/高さ30cm/ボイオティア(ギリシア) 出土/1895年取得 パリ、ルーヴル美術館


また「ディオニュソスの仮面」ではかつて施されていた装飾なども分かりやすく解説。通常、文字情報であることの多いキャプションを、そのまま視覚イメージに置き換えて見られるわけです。

さてワインを入れたクラテルに酒の神として知られるディオニュソス(ローマ神話ではバッカス)。この両者の共通点は何なのか。


鑑賞システム「シュンポジオンへようこそ」

簡単です。実は本展はギリシアの宴会、いわゆる「シュンポジオン」も重要なテーマ。会場では宴会の様子を3面プロジェクションスクリーンで再現。踊り子や楽師の中、横になって寛ぎながら酒を飲む男たちを等身大スケールで体感出来ます。


鑑賞システム「シュンポジオンへようこそ」(画面)

ちなみにお気づきかもしれませんが、図像は先の「アンタイオスのクラテル」に描かれたモチーフ。またシステムはインタラクティブです。近づくと人物が動いたりします。また耳を澄ませば古代ギリシア音楽が。これらは当時のパピルスなどに残された曲を、再現した楽器で演奏したものだそうです。


鑑賞システム「ギリシアの神々や英雄を見分ける」(画面)

またこの他には、覚えるだけでも大変、ギリシア神話に登場する多様な神々をアトリビュートなどで見分けるシステムも。こちらもタッチパネル。なおこれはルーヴル美術館でも特に人気のミロのヴィーナスの展示室に設置されることが決まったそうです。

ラストは身体を動かしてギリシア彫刻を楽しむコーナー。


鑑賞システム「男性の裸像 完璧を求めて」

これが鑑賞者自身が装置の前に立ち、CG映像に沿って、ギリシア彫刻のポーズを真似しながら、造形について理解しようとするコンテンツ。ちなみに真似したポーズはそのままお土産として写真でいただけます。


鑑賞システム「男性の裸像 完璧を求めて」

まさに至れり尽くせりの体感型鑑賞プログラム「ルーヴル - DNP ミュージアムラボ 古代ギリシアの名作をめぐって」。入場には事前予約(WEBサイト、もしくは電話。)が必要ですが、これが全て無料というのは本当に太っ腹。頭が下がります。

ちなみに今回で2010年からの第2期が終了しますが、既に第3期の開催も決定。2014年から3年間のスケジュールで行われるそうです。


「ルーヴル - DNP ミュージアムラボ 古代ギリシアの名作をめぐって 人 神々 英雄」展示室入口 

毎回のラボに参加して感じるのは、DNPのデジタルシステムが進化していること。次のシリーズではさらにどのような新しい試みが待ち受けているのか。そちらにも期待したいと思いました。

ロングランの展覧会です。9月1日まで開催されています。

「古代ギリシアの名作をめぐって 人 神々 英雄」 ルーヴル - DNP ミュージアムラボ
会期:2月1日(金)~9月1日(日)
休館:金・土・日曜のみ開館。月~木、及び金曜が祝日の場合は休館。
時間:金曜 18:00~21:00、土・日曜 10:00~18:00。
料金:無料。完全事前予約制→「展覧会公式サイト」または「ルーヴル ‐ DNP ミュージアムラボ カスタマーセンター」(03-5435-0880)にて。
 *[電話受付時間] 月~木 11:00~17:00/金 11:00~21:00/土・日 9:00~18:00(月~金の祝日、年末年始は休み)
住所:品川区西五反田3-5-20 DNP五反田ビル1F
交通:JR山手線(西口)・都営浅草線(A2出口)・東急池上線五反田駅徒歩6分。東急目黒線不動前駅徒歩7分。

注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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