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世田谷美術館 「瀧口修造:夢の漂流物」 3/27

世田谷美術館(世田谷区砧公園)
「滝口修造:夢の漂流物 -同時代・前衛美術家たちの贈物1950~1970- 」
2/5~4/10

こんにちは。

日曜日に世田谷美術館で、詩人、美術評論家、そしてシュルレアリスムの紹介者として知られる瀧口修造のコレクション展を見てきました。サブタイトルに様々な物語をイメージさせるような「夢の漂流物」という名前が付けられていますが、会場にはかつて瀧口が交差したと思われる世界の美しい「残像」が並んでいました。

彼のコレクションは膨大です。その片鱗は、上にアップしたパンフレットにある彼の書斎の写真を見ても窺えると思います。山積みの蔵書に埋もれるかのように置かれる美術品やオブジェは、現在、多くが富山県立近代美術館に所蔵されているそうです。世田谷美術館では「これでもか!」と言わんばかりにコレクションを陳列して、瀧口の世界観を見事に構築していました。

以前、うらわ美術館でのフルクサス展で出会ったような、ガラクタとも受け取れる石や貝殻が並びます。また、芸術の枠に入るとされるものには、先日見たデュシャン展での「大ガラス」をモチーフにしたような作品もありました。どれも瀧口の創造の源泉となっていたのでしょうか。さらには、彼と親交のあった芸術家のインスピレーションを見出るような品も展示されています。コレクションとは、ある意味で私的な範疇に属するものだと思いますが、瀧口のそれも同様でして、時には謎めいた記号のような、彼の内面の奥底でしか捉えられないような「作品」が置かれていました。

瀧口の内面は、詩人でもある彼の言霊と、造形作家でもあったというその作品群で探ることができます。特に一番初めのセクションにあった一連の平面作品(「私の心臓は時を刻む」など。)は、心象と具象が交錯したような夢うつつの不思議な世界観があって、特に素晴らしいと思いました。鮮烈な色が印象的な大胆な構図は、例えばオーロラのように、またある時には、深々と雪が降り積もる大森林の静寂の光景のように、自然の様々な風景となって心に迫ります。これらを見ていると、ふと、ザオ・ウーキーの世界を思い出しました。どれも大変に小さな作品ですが、自由度が高いようでいて堅牢な構成感が感じられます。自然以外も、人間の影として動き出すような不気味な作品もあって、たくさんのイマジネーションを働かせることができました。

シュルレアリスムとしての彼と関係のあった芸術家の作品と、瀧口と同時代に生きたそれらの作品も多く並んでいます。1950年代の草間さんの作品や、サム・フランシス、フォンタナ、アルプ、それにミロやダリなどのあまり見たことのない作品群は、どれも興味深いものばかりです。これらを鑑賞するだけでも十分に魅力的な展覧会です。

デュシャンやフルクサス展はかなり手強く感じられましたが、この瀧口展は僅かでもそれらと共通する土壌がありそうなのに、小難しく構える必要のない内容でした。瀧口のコレクションを見せられることが、ある意味でとても幸福感を誘います。不思議です。彼の人となりに興味が湧きました。これは良い企画だと思います。
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gee03534@nifty.com (自由なランナー)
2005-03-30 08:06:38
こんにちは。

私も大いに、瀧口の「ひととなり」に興味を持ちました。個人のコレクションで、これだけの存在感は、ちょっと感動です。

ここ最近、開催されているデュシャン、アルプ、の展示との比較しながらみる観点も、面白そうなので、再訪しようと思っています。
 
 
 
Unknown (はろるど)
2005-03-31 01:04:29
自由なランナーさん、こんばんは。

コメントありがとうございます。



アルプは今度行こうと思っているので楽しみです。

コレクションを通して、色々な芸術家の作品を見るのは楽しいですね。
 
 
 
瀧口という人は・・・ (DADA.)
2005-04-06 06:43:05
ホントにどんな方だったのかな、と思います。

「集める」コレクションではなくて、「集まる」コレクションという感じだったので(瀧口自身が手に入れたものであっても)、なぜあれほど多くのアーティストが瀧口に届けたのか・・・やはりひとりの詩人・評論家の枠に収まらない「何か」を瀧口は持っていたのだろうな、と。



余談ですが・・・あのなかに相田みつをとかあったらすごくウケたなぁ、と。(笑)

また、瀧口コレクションで「Aランチ」というのも面白いかな、と。
 
 
 
Re.瀧口という人は・・・ (はろるど)
2005-04-06 23:11:46
DADA.さん、こちらにもコメントありがとうございます。



>詩人・評論家の枠に収まらない「何か」を瀧口は持っていたのだろう



そうですね。

ブログにも書きましたが、

コレクションはそもそも趣味の要素が強い私的なものですから、

それこそ瀧口の人となりが影響して、

その輪からたくさんのものが集まったのかもしれませんね。



>瀧口コレクションで「Aランチ」というのも面白いかな



良いですね!

ピッタリの企画ですね!

私なら取りあえず好きな作家から注文しそうですが。
 
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