「所蔵水彩・素描展 - 松方コレクションとその後」 国立西洋美術館

国立西洋美術館台東区上野公園7-7
「所蔵水彩・素描展 - 松方コレクションとその後」(版画素描展示室)
2/23-5/30



国立西洋美術館で開催中の「所蔵水彩・素描展 - 松方コレクションとその後」へ行ってきました。

タイトルを見ても明らかですが、通常、保存の観点から出品頻度の低い館蔵品の水彩、素描を一堂に紹介する展覧会です。(出品リスト。全38点。)また寄託の一点を除いて写真の撮影が可能でした。以下、印象に残った作品をいくつか挙げてみます。

 
クロード・モネ「ベリールの海」(1889年)
モネがブルターニュに滞在した折、自身の芸術誌の記事の挿絵のために描いたというスケッチです。激しくうねる波の表現に、油彩では分かりにくいモネの力強いタッチを見ることが出来ました。


ポール・セザンヌ「舟にて」(1900-06年)
セザンヌの美しいブルーは水彩でもやはり魅力的です。軽妙でかつ透明感に溢れる色彩にて水面に浮かぶ舟の光景を描きました。


ポール・ゴーガン「マルティニック島の情景」(1887年)
明らかにジャポニスムの影響下にある扇面画です。前景にクローズアップして描かれた木立や人間と、後景の山や海の対比は、浮世絵の構図を連想させるものがありました。


エドガー・ドカ「髪をとかす女」(1896-99年頃)
ドガならではの躍動感に満ちたスケッチではないでしょうか。髪をたくし上げる手の動きに生気を感じました。

 
ギュスターヴ・モロー「聖チェチリア」(1885-90年頃)
今回の主役は言うまでもなくモローに他なりません。繊細な線描によるチェチリアの美しさは格別でした。

 
ギュスターヴ・モロー「聖なる象(ペリ)」(1882年)
ちらし表紙にも掲載されたモローの水彩の代表作です。淡いパステルカラーにチェチリア同様の細かな線描、そして甘美な主題による幻想的な光景に心奪われました。


ポール・シニャック「漁船」(20世紀初頭)
常設にも大作の油彩画が展示されていますが、それと比較して見るのも面白いシニャックの水彩画です。油彩にはない軽妙なタッチはむしろ好印象でした。

なお本展は常設展内のミニ企画展です。開催中のブラングィン展の半券はもちろん、常設展のみのチケットでも観覧出来ます。

敢えて欲を言えば、例えば前後期制にするなどしてもっと多くの作品を楽しめればとは思いましたが、モローの二点をはじめ、まずは定評のある西美の素描、水彩を一定数見られて満足出来ました。

また展示にあわせたミニカタログ(900円)が良く出来ています。そちらもお見逃しなきようご注意下さい。

5月30日までの開催です。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (すぴか)
2010-03-22 23:37:25
こんばんは。
モローほんとにすてきでした。水彩の魅力に
とりつかれそうです。
お写真よく撮れていて、いいですね。
わたしはもう一度自分のカメラで挑戦しなくては、
と思っています。
 
 
 
Unknown (はろるど)
2010-03-24 21:36:27
@すぴかさん

こんばんは。

>モロー

噂には聞いていましたが、まさかこれほどと思う美しさで驚きました。この2点だけでも大満足です!

>お写真

ありがとうございます。少々うつり込みがキツくて大変でした…。

会期も長いので特別展の折にでも何度か拝見したいですね。
 
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