『ドリーム/ランド』 神奈川県民ホールギャラリー

神奈川県民ホールギャラリー
『ドリーム/ランド』
2022/12/18~2023/1/28



ランドとドリームの2つのキーワードを起点に、現代アーティストが作品を展示する展覧会が、神奈川県民ホールギャラリーにて開かれています。



それが『ドリーム/ランド』で、青山悟、枝史織、角文平、笹岡由梨子、林勇気、山嵜雷蔵、シンゴ・ヨシダの各アーティストが、刺繍や油絵、日本画、彫刻、映像などの幅広いジャンルの作品を公開していました。



工業用ミシンを用い、精緻な刺繍を素材にした作品を手がける青山悟は、1万円札と1ドル札をモチーフとしたインスタレーションを展開していて、ジュラルミンケースの中では刺繍を制作する様子を捉えた映像も見ることができました。



生花と顔面をモチーフにした人形たちが歌う笹岡由梨子の『パンジー』も賑やかかもしれません。色とりどりの電飾などで彩られた人形たちは、奇怪でありながらも親しみも覚え、ユーモラスでかつ哀愁を帯びた表情をしていました。



奇岩ともいえるような島を岩絵具で描いたのが、複数の視点から捉えた空間を繋ぎ合わせた風景画のシリーズで知られる日本画家の山嵜雷蔵でした。



いずれもほぼ揺らぎのない水面の上に、まるで宙に浮くかのようにして島が静かに横たわっていて、幻想的な雰囲気に包まれていました。それこそ島へ向かえばもう戻ることのできない彼岸が広がっているようにも感じられました。



日常的な素材を用いつつ、本来のものの持つ機能や意味をずらし、新たな意味を与える彫刻を制作する角文平の『Monkey trail』と題したインスタレーションも充実していたのではないでしょうか。



さまざまなオブジェが一本の道の左右にジオラマのように広がっていて、最奥部には惑星を思わせる巨大な球体とアンテナをつけた家などの建造物が宙に浮いていました。



ハイライトを飾るのが、階段のある吹き抜けの大空間にて展示された林勇気の映像インスタレーション、『another world - vanishing point』でした。



自ら撮影した膨大な量の写真をコンピュータに取り込み、切り抜き重ね合わせることで映像を作る手法で知られる林は、ここで5000ものアイテムを空間全体へ投影していて、暗闇の中で次第にスピードを加速させるようにぐるぐると巡っていました。


その無数のアイテムの回転に身を委ね、速度を上げては渦巻く光景を目にしていると、いつしかアイテムの波に飲まれて自身も消えゆくような錯覚に陥りました。この特徴的な巨大空間だからこそ成し得た迫力ある映像インスタレーションといえるかもしれません。

水曜日がお休みです。1月28日まで開催されています。

『ドリーム/ランド』 神奈川県民ホールギャラリー@kanaken_gallery
会期:2022年12月18日(日)~2023年1月28日(土)
休館:水曜日、年末年始(12月30日~1月4日)
時間:11:00~18:00
料金:一般800円、学生・65歳以上500円、高校生以下無料。
住所:横浜市中区山下町3-1
交通:みなとみらい線日本大通り駅3番出口より徒歩約6分。JR線関内、石川町両駅より徒歩約15分。横浜市営地下鉄関内1番出口より徒歩約15分。
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