都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ピーター・ラビット展」 Bunkamura ザ・ミュージアム
Bunkamura ザ・ミュージアム
「ビアトリクス・ポター生誕150周年 ピーター・ラビット展」
8/9~10/11
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/f7/1feb8aecb5492cd8e08156e21d6da236.jpg)
Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の「ビアトリクス・ポター生誕150周年 ピーター・ラビット展」を見てきました。
シリーズ累計2億5000万冊を超え、全世界で愛されているピーターラビット。今年、原作者のビアトリクス・ポターが生誕150周年を迎えました。
ビクトリア朝の裕福な家に生まれたビアトリクス・ポター。まずは18歳の日記でした。内容は当時の生活や自身の記録ですが、何と記述が暗号。しかも非常に難解です。結果的に解読されたのはビアトリクスの死後、15年も経ってからのことでした。
ビアトリクスは小さい頃からペットを飼い、数多くの動物たちをスケッチしていたそうです。ピーターラビット誕生のきっかけは1893年、元家庭教師の少年であるノエルに宛てた絵手紙でした。直筆の手紙の写しも展示されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/ee/17c0239e5d3b0e985dd3de563c7b8cc5.jpg)
ビアトリクス・ポター 素描「ピーターラビット」 英国ナショナル・トラスト
最大の見所は「ピーターラビットのおはなし」の私家版の原画です。時は1901年。全部で44枚です。当時は自費出版でした。ほか私家版のためのインク画や素描も並んでいます。特に素描が興味深い。かなり写実的です。ウサギの丸まった身体や毛並みまでが細かに表されています。当時は博物学の隆盛の時代でした。ビアトリクスも先のペットだけではなく、キノコなどの観察にも熱心に取り組んでいたそうです。そうした観察眼あってこそのピーターラビットかもしれません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/b1/c396a1cd15597a3dcf3320d3345e49f7.jpg)
ビアトリクス・ポター 私家版「ピーターラビットのおはなし」の挿絵のためのインク画 英国ナショナル・トラスト
ちなみに私家版が全点揃うのは日本で初めてのことです。さらに翌年には初版を刊行。予約のみで完売します。その後は2年で5万部に達しました。大変な注目を浴びていたようです。ビアトリクスは一躍、人気の絵本作家となりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/68/1722fa41a2657ddfbf542dad6e3c57cc.jpg)
ビアトリクス・ポター 「ベンジャミン バニーのおはなし」の挿絵のための水彩画 英国ナショナル・トラスト
展示の大半を占めるのはピーターラビットの各シリーズのための挿絵原画です。さすがは水彩の国だけあり、ともかく色に瑞々しい水彩の小品が多い。中でもピータのいとこのベンジャミンを描いた「ベンジャミン・バニーのおはなし」などは惹かれる方も多いかもしれません。
ビアトリクスの生み出した絵本シリーズは膨大です。実のところ初めて知る作品も少なくありませんが、各々に簡単な解説パネルも付随。大まかなストーリーを追うことも出来ます。さらに嬉しいのは「早わかりピーターラビット」ならぬキャラクターの関係図です。ピーターとの関係などが絵入りで一覧出来ます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/31/f1a04178a3c80e7427f4b19a1a9982db.jpg)
ビアトリクス・ポター 1929年用「ピーターラビットの暦本」の挿絵のための水彩画 英国ナショナル・トラスト
変わったところでは「ピーターラビットの塗り絵帖」や「ピーターラビットの暦」も面白いのではないでしょうか。暦本は1929年の作品です。原画の来日は初めてでもあります。
ビアトリクスが愛したのは湖水地方です。特にウィンダミア近郊にある小村、ニア・ソーリーでした。ここに彼女は1905年、農場のヒルトップを購入。ロンドンと度々行き来しながら経営するとともに、自然や動物に触れながら、絵本のインスピレーションを得ます。また自然環境保護活動にも参加していたそうです。
そのニア・ソーリーでの生活を浮かび上がらせるブーズがありました。ヒルトップハウスの再現展示です。ここではビアトリクスゆかりの文物を紹介。愛用の木靴やメガネをはじめ、スケッチブックや絵付けの皿に絵具箱、それにウサギを描いたグリーティングカードなどが展示されています。また農場経営の足跡を示す資料でしょうか。芋の品評会のための賞状なども出ていました。
興味深いのはシュタイフ社によるピーターラビットのぬいぐるみです。ビアトリクスは手作りでぬいぐるみを制作。そのデザインを商標として登録します。こうした絵本のキャラクターのぬいぐるみで登録を受けたのはビアトリクスが初めてのことだそうです。なかなか戦略的ではないでしょうか。
ピーターラビットが日本にもたらされたのは1910年前後。かなり早い段階で日本語訳が世に出回ります。うち最初期とされるのが1906年の「お伽小説 悪戯な小兎」です。さらに1915年には「幼年の友」なる雑誌に「ピータロー兎」が掲載されます。そうした当時の資料もあわせて展示されていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/9a/1b61e38bd3ac32f8b1dba463147a9217.jpg)
ビアトリクス・ポター 「ベンジャミン バニーのおはなし」の挿絵のための水彩画 英国ナショナル・トラスト
会期第1周目の祝日に行きましたが、館内はなかなか賑わっていました。原画はいずれも小さな作品ばかりです。近くに寄れなければ見られません。僅かとはいえ、最前列確保のための列も発生していました。
「ピーターラビットのおはなし/ビアトリクス・ポター/福音館書店」
人気のピータ・ラビットです。会期後半に向けて混雑も予想されます。時間に余裕をもってお出かけ下さい。
物販コーナーが通常の2倍以上のスペースでした。ぬいぐるみやトートバックなど限定グッズも少なくありません。こちらも盛況でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/37/9be9698bb086fb4169939869a1f02ba7.jpg)
10月11日まで開催されています。
「ビアトリクス・ポター生誕150周年 ピーター・ラビット展」(@petergengaten) Bunkamura ザ・ミュージアム(@Bunkamura_info)
会期:8月9日(火)~10月11日(火)
休館:会期中無休。
時間:10:00~19:00。
*毎週金・土は21時まで開館
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1400(1200)円、大学・高校生900(700)円、中学・小学生600(400)円。
*( )内は20名以上の団体料金。要事前予約。
住所:渋谷区道玄坂2-24-1
交通:JR線渋谷駅ハチ公口より徒歩7分。東急東横線・東京メトロ銀座線・京王井の頭線渋谷駅より徒歩7分。東急田園都市線・東京メトロ半蔵門線・東京メトロ副都心線渋谷駅3a出口より徒歩5分。
「ビアトリクス・ポター生誕150周年 ピーター・ラビット展」
8/9~10/11
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/f7/1feb8aecb5492cd8e08156e21d6da236.jpg)
Bunkamura ザ・ミュージアムで開催中の「ビアトリクス・ポター生誕150周年 ピーター・ラビット展」を見てきました。
シリーズ累計2億5000万冊を超え、全世界で愛されているピーターラビット。今年、原作者のビアトリクス・ポターが生誕150周年を迎えました。
ビクトリア朝の裕福な家に生まれたビアトリクス・ポター。まずは18歳の日記でした。内容は当時の生活や自身の記録ですが、何と記述が暗号。しかも非常に難解です。結果的に解読されたのはビアトリクスの死後、15年も経ってからのことでした。
ビアトリクスは小さい頃からペットを飼い、数多くの動物たちをスケッチしていたそうです。ピーターラビット誕生のきっかけは1893年、元家庭教師の少年であるノエルに宛てた絵手紙でした。直筆の手紙の写しも展示されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/26/ee/17c0239e5d3b0e985dd3de563c7b8cc5.jpg)
ビアトリクス・ポター 素描「ピーターラビット」 英国ナショナル・トラスト
最大の見所は「ピーターラビットのおはなし」の私家版の原画です。時は1901年。全部で44枚です。当時は自費出版でした。ほか私家版のためのインク画や素描も並んでいます。特に素描が興味深い。かなり写実的です。ウサギの丸まった身体や毛並みまでが細かに表されています。当時は博物学の隆盛の時代でした。ビアトリクスも先のペットだけではなく、キノコなどの観察にも熱心に取り組んでいたそうです。そうした観察眼あってこそのピーターラビットかもしれません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/b1/c396a1cd15597a3dcf3320d3345e49f7.jpg)
ビアトリクス・ポター 私家版「ピーターラビットのおはなし」の挿絵のためのインク画 英国ナショナル・トラスト
ちなみに私家版が全点揃うのは日本で初めてのことです。さらに翌年には初版を刊行。予約のみで完売します。その後は2年で5万部に達しました。大変な注目を浴びていたようです。ビアトリクスは一躍、人気の絵本作家となりました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/68/1722fa41a2657ddfbf542dad6e3c57cc.jpg)
ビアトリクス・ポター 「ベンジャミン バニーのおはなし」の挿絵のための水彩画 英国ナショナル・トラスト
展示の大半を占めるのはピーターラビットの各シリーズのための挿絵原画です。さすがは水彩の国だけあり、ともかく色に瑞々しい水彩の小品が多い。中でもピータのいとこのベンジャミンを描いた「ベンジャミン・バニーのおはなし」などは惹かれる方も多いかもしれません。
ビアトリクスの生み出した絵本シリーズは膨大です。実のところ初めて知る作品も少なくありませんが、各々に簡単な解説パネルも付随。大まかなストーリーを追うことも出来ます。さらに嬉しいのは「早わかりピーターラビット」ならぬキャラクターの関係図です。ピーターとの関係などが絵入りで一覧出来ます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/15/31/f1a04178a3c80e7427f4b19a1a9982db.jpg)
ビアトリクス・ポター 1929年用「ピーターラビットの暦本」の挿絵のための水彩画 英国ナショナル・トラスト
変わったところでは「ピーターラビットの塗り絵帖」や「ピーターラビットの暦」も面白いのではないでしょうか。暦本は1929年の作品です。原画の来日は初めてでもあります。
ビアトリクスが愛したのは湖水地方です。特にウィンダミア近郊にある小村、ニア・ソーリーでした。ここに彼女は1905年、農場のヒルトップを購入。ロンドンと度々行き来しながら経営するとともに、自然や動物に触れながら、絵本のインスピレーションを得ます。また自然環境保護活動にも参加していたそうです。
そのニア・ソーリーでの生活を浮かび上がらせるブーズがありました。ヒルトップハウスの再現展示です。ここではビアトリクスゆかりの文物を紹介。愛用の木靴やメガネをはじめ、スケッチブックや絵付けの皿に絵具箱、それにウサギを描いたグリーティングカードなどが展示されています。また農場経営の足跡を示す資料でしょうか。芋の品評会のための賞状なども出ていました。
興味深いのはシュタイフ社によるピーターラビットのぬいぐるみです。ビアトリクスは手作りでぬいぐるみを制作。そのデザインを商標として登録します。こうした絵本のキャラクターのぬいぐるみで登録を受けたのはビアトリクスが初めてのことだそうです。なかなか戦略的ではないでしょうか。
ピーターラビットが日本にもたらされたのは1910年前後。かなり早い段階で日本語訳が世に出回ります。うち最初期とされるのが1906年の「お伽小説 悪戯な小兎」です。さらに1915年には「幼年の友」なる雑誌に「ピータロー兎」が掲載されます。そうした当時の資料もあわせて展示されていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/9a/1b61e38bd3ac32f8b1dba463147a9217.jpg)
ビアトリクス・ポター 「ベンジャミン バニーのおはなし」の挿絵のための水彩画 英国ナショナル・トラスト
会期第1周目の祝日に行きましたが、館内はなかなか賑わっていました。原画はいずれも小さな作品ばかりです。近くに寄れなければ見られません。僅かとはいえ、最前列確保のための列も発生していました。
![](http://ecx.images-amazon.com/images/I/41R4905RDQL._SL160_.jpg)
人気のピータ・ラビットです。会期後半に向けて混雑も予想されます。時間に余裕をもってお出かけ下さい。
物販コーナーが通常の2倍以上のスペースでした。ぬいぐるみやトートバックなど限定グッズも少なくありません。こちらも盛況でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/37/9be9698bb086fb4169939869a1f02ba7.jpg)
10月11日まで開催されています。
「ビアトリクス・ポター生誕150周年 ピーター・ラビット展」(@petergengaten) Bunkamura ザ・ミュージアム(@Bunkamura_info)
会期:8月9日(火)~10月11日(火)
休館:会期中無休。
時間:10:00~19:00。
*毎週金・土は21時まで開館
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1400(1200)円、大学・高校生900(700)円、中学・小学生600(400)円。
*( )内は20名以上の団体料金。要事前予約。
住所:渋谷区道玄坂2-24-1
交通:JR線渋谷駅ハチ公口より徒歩7分。東急東横線・東京メトロ銀座線・京王井の頭線渋谷駅より徒歩7分。東急田園都市線・東京メトロ半蔵門線・東京メトロ副都心線渋谷駅3a出口より徒歩5分。
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