都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「知の回廊」 東京大学総合研究博物館
東京大学総合研究博物館
「知の回廊」
5/14〜
東京大学総合研究博物館で開催中の「知の回廊」を見てきました。
1996年に国内初の「教育研究型ミュージアム」(公式サイトより)として誕生した東京大学総合研究博物館。今年で開館20周年です。この5月に「知の回廊」としてリニューアルオープンしました。
一部の展示室を除き、撮影が可能でした。
まず目に飛び込んでくるのが巨大なガラスケースです。名は「知の回廊コレクションボックス」でした。
中には多種多様な標本がずらり。古墳時代の埴輪や古代イラクの壺が目立ちます。宙で弧を描くのがクジラの肋骨です。やはり大きい。ほかにも北アフリカないし中近東の木製農具などが吊り下がっています。
奥にはエチオピアのアウストラロピテクスの立体復元や、愛知から出土した縄文人の頭骨なども展示されていました。ジャンルでの区別はありません。いわば博物館全体を象徴する標本コレクションが収められています。
先に進みましょう。長くのびる廊下は「標本回廊」です。サブタイトルは「太陽系から人類、そして文明へ」。冒頭は「小惑星イトカワの模型」です。さらに鉱石、恐鳥モアの卵殻、ヌマワニの心臓、カワウソの骨格と続きます。貴重な標本も少なくありません。
第3室では「Qafqaz Neoliti (カフカズ ネオリティ)」なる展示が行われていました。舞台はアゼルバイジャンです。狩猟から農耕へと転換した最初の地域である西アジア、いわゆる三日月地帯を、東大チームが現地の科学アカデミーの協力を経て調査しました。
その成果の一部を報告しています。標本はアゼルバイジャンより付与されたものです。さらに調査プロセスについても映像などで紹介。単に標本を並べるだけではなく、研究の現場、ないしあり方にも踏み込んで見せています。
この研究の現場を展示するというのもコンセプトの一つです。その際たる例が「AMS公開ラボ」。AMSこと加速器質量分析装置が稼働する様子を見ることが出来ます。
大規模な装置です。高電圧を用いて放射性炭素を測定。そこから標本の年代を特定します。また実際のサンプルでしょうか。太い幹の断片も展示されていました。環境変動について知見を得られるそうです。
圧巻なのは「無限の遺体」のセクションでした。数多く並ぶ大型動物の剥製に骨標本。一体、何体あるのでしょうか。例えばシロサイ。かつて神戸市王子動物園で飼育されていたサイです。ナナコと呼ばれていました。2012年に寄贈を受けます。サイの骨格は貴重なため、研究や教育に活躍しているそうです。
ウシやアルパカの剥製も迫力があります。ウシはホルスタイン。最大級の個体です。家畜改良センターより提供されました。
それにしても知の回廊が扱う学問は幅広い。動物学、人類学、考古学、文化資源学などと、まさしく様々な知の分野を横断しながら展開しています。
沖ノ鳥島のサンゴの標本も目を引くのではないでしょうか。ほか関東地方の縄文土器も興味深い。縄文中期、後期、晩期と時代の異なる土器が並んでいました。
収蔵する標本は全400万点。うち一部が公開されているに過ぎませんが、それでも膨大です。中には標本が整理された棚そのものが展示物であったりします。リニューアルに際しては、収蔵と展示の機能を併せ持つ「収蔵型展示」(博物館ニュースより)を目指したそうです。「知の回廊」は博物館であると同時に研究室でもあります。
オープンを記念し、ほぼ毎週末、研究者による「記念連続講演会」(スケジュール)も行われています。こちらも参加無料です。あわせて出かけるのも良いかもしれません。
入場は無料です。東京大学総合研究博物館は2016年5月14日にリニューアルオープンしました。
「知の回廊」 東京大学総合研究博物館
会期:2016年5月14日(土)~
時間:10:00〜17:00。
*入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日。但し月曜が祝日の場合は翌日、そのほか館が定める日。
料金:無料。
住所:文京区本郷7-3-1 東京大学本郷キャンパス内
交通:都営地下鉄大江戸線本郷三丁目駅より徒歩3分。東京メトロ丸ノ内線本郷三丁目駅より徒歩6分。東京メトロ南北線東大前駅より徒歩15分。
「知の回廊」
5/14〜
東京大学総合研究博物館で開催中の「知の回廊」を見てきました。
1996年に国内初の「教育研究型ミュージアム」(公式サイトより)として誕生した東京大学総合研究博物館。今年で開館20周年です。この5月に「知の回廊」としてリニューアルオープンしました。
一部の展示室を除き、撮影が可能でした。
まず目に飛び込んでくるのが巨大なガラスケースです。名は「知の回廊コレクションボックス」でした。
中には多種多様な標本がずらり。古墳時代の埴輪や古代イラクの壺が目立ちます。宙で弧を描くのがクジラの肋骨です。やはり大きい。ほかにも北アフリカないし中近東の木製農具などが吊り下がっています。
奥にはエチオピアのアウストラロピテクスの立体復元や、愛知から出土した縄文人の頭骨なども展示されていました。ジャンルでの区別はありません。いわば博物館全体を象徴する標本コレクションが収められています。
先に進みましょう。長くのびる廊下は「標本回廊」です。サブタイトルは「太陽系から人類、そして文明へ」。冒頭は「小惑星イトカワの模型」です。さらに鉱石、恐鳥モアの卵殻、ヌマワニの心臓、カワウソの骨格と続きます。貴重な標本も少なくありません。
第3室では「Qafqaz Neoliti (カフカズ ネオリティ)」なる展示が行われていました。舞台はアゼルバイジャンです。狩猟から農耕へと転換した最初の地域である西アジア、いわゆる三日月地帯を、東大チームが現地の科学アカデミーの協力を経て調査しました。
その成果の一部を報告しています。標本はアゼルバイジャンより付与されたものです。さらに調査プロセスについても映像などで紹介。単に標本を並べるだけではなく、研究の現場、ないしあり方にも踏み込んで見せています。
この研究の現場を展示するというのもコンセプトの一つです。その際たる例が「AMS公開ラボ」。AMSこと加速器質量分析装置が稼働する様子を見ることが出来ます。
大規模な装置です。高電圧を用いて放射性炭素を測定。そこから標本の年代を特定します。また実際のサンプルでしょうか。太い幹の断片も展示されていました。環境変動について知見を得られるそうです。
圧巻なのは「無限の遺体」のセクションでした。数多く並ぶ大型動物の剥製に骨標本。一体、何体あるのでしょうか。例えばシロサイ。かつて神戸市王子動物園で飼育されていたサイです。ナナコと呼ばれていました。2012年に寄贈を受けます。サイの骨格は貴重なため、研究や教育に活躍しているそうです。
ウシやアルパカの剥製も迫力があります。ウシはホルスタイン。最大級の個体です。家畜改良センターより提供されました。
それにしても知の回廊が扱う学問は幅広い。動物学、人類学、考古学、文化資源学などと、まさしく様々な知の分野を横断しながら展開しています。
沖ノ鳥島のサンゴの標本も目を引くのではないでしょうか。ほか関東地方の縄文土器も興味深い。縄文中期、後期、晩期と時代の異なる土器が並んでいました。
収蔵する標本は全400万点。うち一部が公開されているに過ぎませんが、それでも膨大です。中には標本が整理された棚そのものが展示物であったりします。リニューアルに際しては、収蔵と展示の機能を併せ持つ「収蔵型展示」(博物館ニュースより)を目指したそうです。「知の回廊」は博物館であると同時に研究室でもあります。
オープンを記念し、ほぼ毎週末、研究者による「記念連続講演会」(スケジュール)も行われています。こちらも参加無料です。あわせて出かけるのも良いかもしれません。
入場は無料です。東京大学総合研究博物館は2016年5月14日にリニューアルオープンしました。
「知の回廊」 東京大学総合研究博物館
会期:2016年5月14日(土)~
時間:10:00〜17:00。
*入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日。但し月曜が祝日の場合は翌日、そのほか館が定める日。
料金:無料。
住所:文京区本郷7-3-1 東京大学本郷キャンパス内
交通:都営地下鉄大江戸線本郷三丁目駅より徒歩3分。東京メトロ丸ノ内線本郷三丁目駅より徒歩6分。東京メトロ南北線東大前駅より徒歩15分。
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