都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「平田晃久展 Discovering New」 TOTOギャラリー・間
TOTOギャラリー・間
「平田晃久展 Discovering New」
5/24~7/15

1971年に大阪に生まれ、大学を卒業後、伊東豊雄建築設計事務所に勤めた平田晃久は、2005年に独立して国内外で数多くの建築設計に携わり、第13回ベネチアビエンナーレ国際建築展では金獅子賞(2012年)を受賞しました。
(*)
中でも特に知られるのが、群馬県の太田市の「太田市美術館・図書館」ではないでしょうか。2017年の4月にオープンした、美術館と図書館を併設した公共建築で、「内外に表裏のない建物」として、大いに注目を集めました。
(*)
私も、昨年、同美術館・図書館を見学してきましたが、ともかく螺旋を特徴とした構造と、美術館と図書館のスペースが入り混じった内部空間が個性的で、確かに内と外が絡み合うような建物に、強く感銘を受けたことを覚えています。

その建築家、平田晃久の個展が、乃木坂のTOTOギャラリー・間にて開催されています。

会場の中へ入って驚きました。なにせ無数の金属パイプが縦横無尽に張り巡らされ、合間に建築模型やスタディ、それにスケッチが設置されていたからです。模型は、パイプの上にやや不安定に置かれ、時に傾き、また上下にも展開しているため、中には近づいて見られないものもありました。一体、どういう理由なのでしょうか。

これが、平田の「思考の雲」(解説より)で、「新しいかたち」、「新しい自然」、「新しいコミットメント」の3つの軸が展開していて、各軸の周りには、さらに派生する4つのトピックの平面が広がる姿を表現していました。

よく見ると、金属パイプの随所には、確かに「ひだ」や「階層」といったトピックを表すプレートがついていました。全ては平田の著書であり、本展のタイトルでもある「Discovering New」の章立てに対応していて、一定の規則によって作られていました。

そのパイプによる「思考の雲」は、展示室を超え、屋外の中庭まで連続していて、室内と同様に、パイプが巡らされ、模型などが設置されていました。

いずれも思考、ないし概念によって建築を分類して見せる試みで、カフェや店舗、住宅、それに美術館が、互いに関係し合いながら、いわば「博物学的」(解説より)展開をもって示されていました。各建築を通し、平田の思考の欠片、ないし集積を辿っていく展覧会と言えるかもしれません。

一方、階上の展示室では、木製の構造体、「Timber Form+」が設置されていました。2011年に台湾のコンペで次点であったという「Foam Form」のモデルを縮小した作品で、長さは6メートル、高さも2メートルに及び、中に立ち入ることも可能でした。内部には何体かのディスプレイが吊るされ、そこでは平田の建築や展示の設営風景などが映し出されていました。
さらに奥の壁面には、「太田市美術館・図書館」などの映像も投影されていました。内部にも立ち入った映像で、臨場感もあり、建築の中へ入ったかのような体験を得ることが出来ました。

「私たちの建築は、建築やその背後にある人間の営みを、広義の生命活動として捉え直すところから始まる。」(解説より)

当初は、複雑に張り巡らされた「思考の雲」の前に戸惑いすら覚えましたが、あえて時系列などで提示することなく、建築を有機的に捉えて見せる試みは、なかなか刺激的とも言えるのではないでしょうか。しばらくすると「雲」の中で彷徨いながら、その絡まるパイプを追いつつ、建築模型に見入っている自分に気がつきました。
「太田市美術館・図書館へ行ってきました(前編:建物・施設)」(はろるど)
太田市美術館・図書館へもまた改めて出かけたいものです。
7月15日まで開催されています。
*印は太田市美術館・図書館の外観と内観。昨年、見学した際に撮影しました。ほかは「平田晃久展 Discovering New」会場風景。
「平田晃久展 Discovering New」 TOTOギャラリー・間
会期:5月24日(木)~7月15日(日)
休館:月曜日。
時間:11:00~18:00
料金:無料。
住所:港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F
交通:東京メトロ千代田線乃木坂駅3番出口徒歩1分。都営大江戸線・東京メトロ日比谷線六本木駅7番出口徒歩6分。
「平田晃久展 Discovering New」
5/24~7/15

1971年に大阪に生まれ、大学を卒業後、伊東豊雄建築設計事務所に勤めた平田晃久は、2005年に独立して国内外で数多くの建築設計に携わり、第13回ベネチアビエンナーレ国際建築展では金獅子賞(2012年)を受賞しました。

中でも特に知られるのが、群馬県の太田市の「太田市美術館・図書館」ではないでしょうか。2017年の4月にオープンした、美術館と図書館を併設した公共建築で、「内外に表裏のない建物」として、大いに注目を集めました。

私も、昨年、同美術館・図書館を見学してきましたが、ともかく螺旋を特徴とした構造と、美術館と図書館のスペースが入り混じった内部空間が個性的で、確かに内と外が絡み合うような建物に、強く感銘を受けたことを覚えています。

その建築家、平田晃久の個展が、乃木坂のTOTOギャラリー・間にて開催されています。

会場の中へ入って驚きました。なにせ無数の金属パイプが縦横無尽に張り巡らされ、合間に建築模型やスタディ、それにスケッチが設置されていたからです。模型は、パイプの上にやや不安定に置かれ、時に傾き、また上下にも展開しているため、中には近づいて見られないものもありました。一体、どういう理由なのでしょうか。

これが、平田の「思考の雲」(解説より)で、「新しいかたち」、「新しい自然」、「新しいコミットメント」の3つの軸が展開していて、各軸の周りには、さらに派生する4つのトピックの平面が広がる姿を表現していました。

よく見ると、金属パイプの随所には、確かに「ひだ」や「階層」といったトピックを表すプレートがついていました。全ては平田の著書であり、本展のタイトルでもある「Discovering New」の章立てに対応していて、一定の規則によって作られていました。

そのパイプによる「思考の雲」は、展示室を超え、屋外の中庭まで連続していて、室内と同様に、パイプが巡らされ、模型などが設置されていました。

いずれも思考、ないし概念によって建築を分類して見せる試みで、カフェや店舗、住宅、それに美術館が、互いに関係し合いながら、いわば「博物学的」(解説より)展開をもって示されていました。各建築を通し、平田の思考の欠片、ないし集積を辿っていく展覧会と言えるかもしれません。

一方、階上の展示室では、木製の構造体、「Timber Form+」が設置されていました。2011年に台湾のコンペで次点であったという「Foam Form」のモデルを縮小した作品で、長さは6メートル、高さも2メートルに及び、中に立ち入ることも可能でした。内部には何体かのディスプレイが吊るされ、そこでは平田の建築や展示の設営風景などが映し出されていました。
さらに奥の壁面には、「太田市美術館・図書館」などの映像も投影されていました。内部にも立ち入った映像で、臨場感もあり、建築の中へ入ったかのような体験を得ることが出来ました。

「私たちの建築は、建築やその背後にある人間の営みを、広義の生命活動として捉え直すところから始まる。」(解説より)

当初は、複雑に張り巡らされた「思考の雲」の前に戸惑いすら覚えましたが、あえて時系列などで提示することなく、建築を有機的に捉えて見せる試みは、なかなか刺激的とも言えるのではないでしょうか。しばらくすると「雲」の中で彷徨いながら、その絡まるパイプを追いつつ、建築模型に見入っている自分に気がつきました。
「太田市美術館・図書館へ行ってきました(前編:建物・施設)」(はろるど)
太田市美術館・図書館へもまた改めて出かけたいものです。
〈TOTOギャラリー・間〉で始まった『平田晃久展 Discovering New』。平田の建築のキーワード “からまりしろ”と、生物学者になりたかった昆虫少年の頃の記憶の関係とは? https://t.co/OwR8p0devF
— Casa BRUTUS (@CasaBRUTUS) 2018年6月9日
7月15日まで開催されています。
*印は太田市美術館・図書館の外観と内観。昨年、見学した際に撮影しました。ほかは「平田晃久展 Discovering New」会場風景。
「平田晃久展 Discovering New」 TOTOギャラリー・間
会期:5月24日(木)~7月15日(日)
休館:月曜日。
時間:11:00~18:00
料金:無料。
住所:港区南青山1-24-3 TOTO乃木坂ビル3F
交通:東京メトロ千代田線乃木坂駅3番出口徒歩1分。都営大江戸線・東京メトロ日比谷線六本木駅7番出口徒歩6分。
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