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尾形光琳「松島図屏風」(ボストン美術館 日本美術の至宝展)

昨日、5/19のテレビ東京「美の巨人たち」にて放映のあった尾形光琳の「松島図屏風」。

今、東京国立博物館で開催中の「ボストン美術館 日本美術の至宝」展に展示されています。



「ボストン美術館 日本美術の至宝」 東京国立博物館(プレス内覧の様子をまとめてあります。)

元となるのはもちろん宗達の「松島図屏風」ですが、そちらは現在、アメリカのフリーア美術館で門外不出として取り扱われているため、残念ながら日本で実物を見ることは叶いません。


「松島図屏風」六曲一隻 尾形光琳 江戸時代・18世紀前半 ボストン美術館

宗達は六曲一双、金地の大画面の中へ荒波を受けて立つ岩と浜の松を描きましたが、光琳はその右隻に似た光景を、六曲一隻の中画面に表現しました。

番組でも紹介されていましたが、本作はかのフェノロサが直接大名家より購入した作品です。そのためか海外における琳派受容の先駆的存在とも知られてきました。


「松島図屏風」尾形光琳 江戸時代・18世紀前半 ボストン美術館
Photograph 2012 Museum of Fine Arts, Boston.


一方でこの松島図屏風は問題作です。というのも全体に補筆が多く、とりわけ群青や緑青はほぼ後から塗られ、さらには落款も後から入れたとされていることから、光琳自筆なのかという議論も行われています。

またその加筆部分を除くと酒井抱一の「光琳百図」により近くなるという指摘もあるそうです。

もちろんそこに造形美、例えば得意とする半円型のシャープな曲線美を多用した岩の描写など、光琳画ならではの魅力があるのも事実です。

ちなみに光琳はこの松島のモチーフで計4点の作品を残しています。さらに空間を狭めた二曲一隻の「松島図屏風」(大英博物館蔵)もよく知られた作品と言えるかもしれません。

なおこちらも同じく番組で言及がありましたが、そもそも宗達画由来の「荒磯屏風」と呼ばれていた本作を「松島図屏風」と名付けたのは抱一です。例の光琳顕彰の際にそう命名したわけですが、以来、この作品の名称として定着しました。


「芥子図屏風」宗達派 江戸時代・17世紀中頃 ボストン美術館

かつての東博大琳派展の際にも出品がなかったこともあり、国内では東近美のRIMPA展以来、久々のお披露目となりました。


左:「水禽・竹雀図」宗達派 江戸時代・17世紀 ボストン美術館

尾形光琳の「松島図屏風」は「ボストン美術館 日本美術の至宝」展で6月10日まで展示されています。

*お知らせ*
ボストン美術館 日本美術の至宝展のチケットが手元に5枚ほどあります。先着順で一枚ずつ差し上げますので、ご入用の方はharold1234アットマークgoo.jpまでご連絡下さい。

予定枚数に達したため終了しました。ご連絡ありがとうございました。

「ボストン美術館 日本美術の至宝」 東京国立博物館
会期:3月20日(火)~6月10日(日)
休館:月曜日。但し4月30日(月・休)は開館。
時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで) *毎週金曜日は20時、土・日・祝・休日は18時まで開館。
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。

注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント(10/1 コメント投稿終了予定)
 
 
 
行ってまいりました (さりふ)
2012-05-29 12:09:05
頂いたチケットで行ってまいりました。
蕭白の雲竜図は圧巻。鷹図も好みです。
運筆の緩急濃淡が素晴らしく、何よりユニークな視点が魅力です。
千葉市美術館の展示もあわせ、好きな作家になりました。
国宝室の絵巻は、思った以上に精巧な作りで感心しました。根気がいるので、チーム作業でしょうか。
ありがとうございました。
 
 
 
Unknown (はろるど)
2012-06-12 01:49:34
@さりふさん

こんばんは。ご丁寧にコメントをありがとうございます。

>運筆の緩急濃淡が素晴らしく、何よりユニークな視点

筆の変幻自在な様、この時代の他の絵師と比べても確かに隔絶しているかもしれません。

曾我蕭白、改めてプロの絵師だなと感心しました。

しかしボストン美術館展、会期末かなり賑わっていたようですね。
 
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