「芹沢けい介の世界展」 日本橋高島屋8階ホール

日本橋高島屋8階ホール
「生誕120年記念 デザイナー 芹沢けい介の世界展」
9/10-9/23



日本橋高島屋で開催中の「デザイナー 芹沢けい介の世界展」を見て来ました。

いわゆる型絵染の人間国宝としても知られる芹沢けい(金へんに圭)介。生誕120年を記念しての展覧会です。芹沢の創作活動を紹介します。

さて展覧会、芹沢の業績をいくつかのキーワードでひも解いていますが、その一例としても挙げられるのが「文字と遊ぶ」。ようは文字を意匠に取り込んだ染色の作品です。


「いろは文六曲屏風」 東北福祉大学芹沢けい介美術工芸館

「四季曼荼羅二曲屏風」では春夏秋冬の文字を屏風に取り込む。また「染分けいろは文着物」では縦にグレー、イエローの色をストライプ状にに配し、その合間にいろはの文字を上下に並べています。流麗な仮名が連なる様はもはや抽象的とも言って良い。芹沢のデザイナーとしての卓越したセンスを伺い知れるものがあります。


「縄のれん文のれん」 柏市

その一方で民藝ならぬ伝統的な工芸への強い関心が見られるのもポイントです。「筍文のれん」はどうでしょうか。中央に筍を描いたのれん。また「縄のれん文のれん」も美しい。「御滝図のれん」では藍色に染まったのれんの中央で滝の白い筋が落ちています。のれんが言わば滝の借景として利用されています。

「飛の字のれん」にも魅せられました。「飛」という文字をあしらったのれん、漢字がまるで鳥の羽根が舞うような形となっている。一つの漢字から新たなイメージが生み出されています。


「琉歌愛踊」 個人蔵

芹沢の代名詞と言っても良いでしょう。紅型です。また沖縄の品々に関しては一部再現展示もあります。芹沢の沖縄への愛情を知る思いがしました。

さて会場は二部構成です。前半が芹沢の手、ようは彼の生み出したものとすれば、後半は目、すなわち彼の見て愛でたものの展示と言えます。


「カチナ仮面」(アメリカ・ホピ族) 東北福祉大学芹沢けい介美術工芸館

ここでは江戸期の「浜松扇面流し図屏風」からアイヌの草履や首飾り、さらには朝鮮の手箱にパプアニューギニアの仮面などが並びます。

いずれも芹沢のコレクション。コートジボアールの「神殿の扉」も面白いのではないでしょうか。今年春に国立新美術館で行われた「イメージの力」展を彷彿させるものがありました。


「型絵染筆彩着物」 柏市

出展は芹沢作品が70点弱、彼の収集品が50点強です。静岡市立芹沢けい介美術館及び東北福祉大学芹沢けい介美術工芸館、またかつて芹沢の作品を収集していた砂川七郎氏のコレクションを受け継ぐ柏市の所蔵品が目立ちます。

ところでその静岡の芹沢けい介美術館、もう10年近く前ですが、一度行ったことがあります。


右手が静岡市立芹沢けい介美術館(収蔵庫部分)。左は登呂博物館です。(博物館はこの後、2010年にリニューアルしたそうです。)

有名な登呂遺跡に隣接する美術館、本館の設計は松濤美術館を手がけた白井晟一です。石を積み上げた重厚感のある外壁に覆われた独特の内部空間。下へと潜り込むかのように開かれたエントランスを進み、池の廻りを囲んだ展示室で作品を見やる。白木の組天井も趣き深いもの。コレクションはもとより建物自体も非常に魅力的な美術館でした。


静岡市立芹沢けい介美術館敷地内。(写真はいずれも2006年に撮影したものです。)

現在はコレクターとしての芹沢に焦点を当てた「収集家・芹沢けい介」展が行われています。なかなか出向く機会も少ないのですが、また改めて見たいものです。

さて高島屋に戻ります。いわゆるデパートでの企画展です。当然ながら物販に関しても抜け目ありません。

芹沢展横の催会場では民藝展を開催中。全国津々浦々の民藝品が展示、販売されています。

「洋と美のこころ 民藝展」@日本橋高島屋8階催会場(9/10~23)

また会期中には各種トークイベントも行われています。かつては民藝運動にも賛同して民藝品の展覧会(昭和9、10年)を開いたこともある高島屋ならではの企画です。ここはあわせて楽しみました。

[芹沢けい介の世界展巡回予定]
横浜高島屋8階ギャラリー:9月25日(木)~10月6日(月)
京都高島屋7階グランドホール:2015年1月7日(水)~19日(月)
大阪高島屋7階グランドホール:2015年1月21日(水)~2月2日(月)

「芹沢けい介 文様図譜/コロナ・ブックス/平凡社」

9月23日まで開催されています。

「生誕120年記念 デザイナー 芹沢けい介の世界展」 日本橋高島屋8階ホール
会期:9月10日(水)~9月23日(火・祝)
休館:会期中無休。
時間:10:00~20:00 *入場は閉場の30分前まで。最終日は18時閉場。
料金:一般800円、大学・高校生600円、中学生以下無料。
住所:中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋8階
交通:東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅B1出口直結。都営浅草線日本橋駅から徒歩5分。JR東京駅八重洲北口から徒歩5分。
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