「井上嗣也展 Beginnings」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー

ギンザ・グラフィック・ギャラリー
「第373回企画展 井上嗣也展 Beginnings」
2019/5/14~6/26



ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の「第373回企画展 井上嗣也展 Beginnings」を見てきました。

1947年に生まれたアートディレクターの井上嗣也は、広告、出版のみならず、音楽のジャケットやファッションとのコラボなど、幅広いジャンルで旺盛に活動してきました。

そして井上は2010年、「TALKING THE DRAGON」と題した初めての個展を、ここギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催しました。以来、おおよそ10年ぶりとなる個展です。会場内には新作の「The Burning Heaven」をはじめ、過去に井上が手がけてきたポスターやブックデザインなど約70点の作品が展示されていました。


奥:「The Burning Heaven」2019年 ADV ギンザ・グラフィック・ギャラリー

新作の「The Burning Heaven」が大変な迫力でした。太陽や月などの天体、あるいは水、油、そして植物などの写真を用い、「架空の宇宙」(解説より)を表したというもので、それこそ宇宙空間を高速で進む彗星のように、輝かしいまでの光を放っていました。その躍動感のある光景に思わず息をのんでしまうかもしれません。


上段:「Contemporary Ancient」2019年 ADV ギンザ・グラフィック・ギャラリー
下段:「Happy Time」2019年 ADV ギンザ・グラフィック・ギャラリー

同じく新作の「Happy Time」も強い存在感を見せていて、動物などのモチーフを、半ばプリミティブな造形に置き換えたかのようなイメージを作り上げていました。さらに仏像の着衣とスカートの襞を並べて写した「Contemporary Ancient」も魅惑的で、その意外な組み合わせが生み出す、思いも寄らないイメージに目を奪われました。


「Sakanaction」 2016年 ADV ビクターエンタテインメント

躍動感といえば、サカナクションのシングルのジャケットも忘れられません。白い馬が転げながら、跳ねる姿を写していて、どことなくシュールな雰囲気も感じられました。


「COMME des GARÇONS SEIGEN ONO」 2019年 ADV 日本コロムビア

また音楽関係では、オノセイゲンの「COMME des GARCONS SEIGEN ONO」のジャケットも鮮烈なデザインで、一羽の鳥が真っ赤な口の中を晒すように、猛々しいまでに嘴を開く様子を写していました。こうした動物のモチーフを用い、半ば野性味のあるイメージを作り上げるのも、井上のデザインの魅力の一つと言えるかもしれません。


「Whisky Old 監督シリーズ」 1987年 ADV サントリー ほか

旧作の広告ポスターも充実していました。1980年代のサントリーの「ウィスキーオールド」や「コム デ ギャルソン」をはじめ、まだ記憶に新しい2017年の「野生展」(21_21 DESIGN SIGHT)などが目を引くのではないでしょうか。ともかくいずれも引きの強いビジュアルで、一度見ると頭から離れることはありません。


オノセイゲンによるBGMも会場を盛り上げていました。これほど熱気を感じるデザイン展もなかなか他にないかもしれません。


「第373回企画展 井上嗣也展 Beginnings」会場風景

撮影も可能です。6月26日まで開催されています。

「第373回企画展 井上嗣也展 Beginnings」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー
会期:2019年5月14日(火)~6月26日(水)
休廊:日曜・祝日。
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
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