アーティゾン美術館にて『パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂』が開かれています

ルイ14世によって1669年に設立されたパリ・オペラ座は、現在に至るまでさまざまなオペラやバレエを上演し、作曲家や台本作家、また歌手やオーケストラ、はたまた美術家といった表現者たちが深く関わっていきました。



そのパリ・オペラ座の魅力と歴史を紐解く『パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂』の見どころについて、イロハニアートに寄稿しました。

フランスから200点の作品が来日!かつてないスケールの展示でたどるパリ・オペラ座の歴史 | イロハニアート

今回の展覧会では、フランスのオペラやバレエ関係の資料を多く所蔵するフランス国立図書館から約200点の作品と資料がやって来ていて、あわせてオルセー美術館のエドガー・ドガの『バレエの授業』といった国内外から集結したオペラ座に因む作品が紹介されていました。


ジャン=アントワーヌ・ヴァトー『見晴らし』 1715年 ボストン美術館

またルイ14世の時代の舞台装飾家や衣装デザイナーから、19世紀のグランド・オペラの作曲家やロマンティック・バレエのダンサー、さらに21世紀の演出家に至るまで、パリ・オペラ座にて活躍した表現者を丹念に辿っていて、さまざまな分野の芸術が関わって初めて成立する総合芸術としてのオペラが浮き彫りとなっていました。


右:エドゥアール・マネ『オペラ座の仮装舞踏会』 1873年 石橋財団アーティゾン美術館 左:エドゥアール・マネ『オペラ座の仮面舞踏会』 1873年 ワシントン、ナショナル・ギャラリー

フランスの画家、マネもオペラ座を題材とした作品を制作していて、会場ではアーティゾン美術館の所蔵する『オペラ座の仮面舞踏会』と、ワシントン・ナショナル・ギャラリーの所蔵する同名の作品が隣り合わせに並んで公開されていました。


エドガー・ドガ『舞台袖の3人の踊り子』 1880〜1885年頃 国立西洋美術館

このマネの『オペラ座の仮面舞踏会』をはじめ、ドガの『舞台袖の3人の踊り子』、さらにウジェーヌ・ジローの『オペラ座の舞踏会』やボナールの『桟敷席』といった作品も目立っていて、絵画表現よりオペラ座を取り巻く諸相を見ることができました。

このほか、音楽ファンとしてはモーツァルトやヴェルディ、ロッシーニにワーグナーらの自筆譜が展示されていたのも見逃せないポイントと言えるかもしれません。

またワーグナーに関しては、ルノワールの描いた『タンホイザーの場面(第1幕)』といった絵画をはじめ、『ニュルンベルクのマイスタージンガー』の舞台デザインのための模型、さらに『タンホイザー』の衣装小物として使われた冠なども見どころだったのではないでしょうか。


左:テオフィル・アレクサンドル・スタンラン『夢(ル・レーヴ)』のポスター 1890年 兵庫県立芸術文化センター

これほど豊富な作品と資料でパリ・オペラ座を紹介する展覧会は、かつて一度も開かれたことがなかったかもしれません。質量ともに想像以上に充実していました。


2023年2月5日まで開催されています。

『パリ・オペラ座−響き合う芸術の殿堂』 アーティゾン美術館@artizonmuseumJP
会期:2022年11月5日(土)〜2023年2月5日(日)
休館:月曜日。*1月9日は開館。12月28日〜1月3日、1月10日は休館。
時間:10:00~18:00
 *毎週金曜日は20時まで。
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:【ウェブ予約チケット】一般1800円、大学・高校生無料(要予約)、中学生以下無料(予約不要)。
 *事前日時指定予約制。
 *ウェブ予約チケットが完売していない場合のみ当日チケット(2000円)も販売。
住所:中央区京橋1-7-2
交通:JR線東京駅八重洲中央口、東京メトロ銀座線京橋駅6番、7番出口、東京メトロ銀座線・東西線・都営浅草線日本橋駅B1出口よりそれぞれ徒歩約5分。
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