都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「バスキアを見たか。」 Pen(2019年10月1日号)
雑誌「Pen」2019年10月1日号、「ニューヨークを揺さぶった天才画家 バスキアを見たか。」を読んでみました。
「ニューヨークを揺さぶった天才画家 バスキアを見たか。」Pen(ペン)2019年10月1日号
https://www.pen-online.jp/magazine/pen/482-basquiat/
1960年にニューヨークに生まれ、ウォーホルらと友人関係を築きながら、若くしてアート界を席巻したジャン=ミシェル・バスキア(1960~1988)。27歳にして薬物の過剰摂取により没するも、約10年間あまりに1000点以上もの絵画を残し、近年も欧米を中心に回顧展が行われるなど、人気が衰えることはありません。
また日本では2017年、頭蓋骨のような頭部を激しい筆致で描いた「Untitled」が、約123億円で落札されたことも話題となりました。とは言え、国内でバスキアは過去、数回展示が行われたに過ぎず、必ずしも現在、作品を見る機会が多いとは言えません。
さらに何かと知名度の高まる中、意外にもバスキアについて書かれた日本語の文献や資料が殆どありませんでした。実際にも、バスキアに関した日本語の書籍の多くは、古書でしか入手出来ないそうです。
リリースの「いま読める唯一のバスキア大特集」もあながち誇張ではありません。雑誌「Pen」最新号にてバスキアが大きくクローズアップされました。
【バスキア特集の見どころ】
・27歳で世を去った、彗星のごとき天才の生涯。
アート界に彗星のごとく現れ、27歳という若さで亡くなったバスキアの生涯をたどる。
・出発点は、ストリートに描いたグラフィティ
1970年代後半のニューヨーク。10代だったバスキアは、友達とふたりで「SAMO©」という署名を添えた言葉を、廃墟の壁にスプレーペイントしていった。
・初期に才能を認めていた、ギャラリストの証言。
バスキアの才能に早くから着目していたひとり、ギャラリスト・美術評論家のジェフリー・ダイチが、バスキアのアートが世界で人々を惹きつけている理由を語る。
・ジャズにインスパイアされて、誕生した傑作の数々。
チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピーなど、黒人のジャズ・ミュージシャンをモチーフとした作品について。
・差別への怒りが、黒人アスリートを描く原動力。
野球選手ハンク・アーロン、ボクサー カシアス・クレイ(モハメド・アリ)やジョー・ルイス、陸上選手ジェシー・オーエンスなどを描いた作品について。
・レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿が、心を捉えた。
多くのアートを積極的に学んだバスキア。特にルネサンスの万能の人、レオナルドの手稿にある絵や言葉を作品に取り込んでいった。
・日本との意外な関係を知る、大展覧会が開催。
待望の日本初の大型展『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』の見どころを、キュレーターのディーター・ブッフハートに聞いた。
まず冒頭ではバスキアの生涯を、作品の図版や年譜などで辿りつつ、ウォーホルやデヴィット・ボウイなどの様々なアーティストとの関係を紐解き、バスキアが如何にして制作活動を行ったのかについて詳細に解説していました。多方面に渡るバスキアの交流の軌跡などが一覧出来るのではないでしょうか。
さらに黒人のアスリートモチーフとした作品を取り上げ、当時のアメリカが抱えた人種問題などの社会状況がバスキアに与えた影響についても浮き彫りにしていました。それこそ「差別への怒り」とありますが、かの時代の社会への強い批判精神を持ち得ていたからこそ、バスキアは次々とエネルギッシュな作品を生み出していったのかもしれません。
一連の特集の中で特に興味深く感じたのは、バスキアがレオナルド・ダ・ヴィンチについて深い関心を寄せていたことでした。しかもいわゆる絵画ではなく、レオナルドが膨大に残した手稿の中の人体の図を自作に取り込んでいて、バスキアが幼少期に見て影響を受けたとされる解剖学書と深く関係しているようでした。
ジャズとの関わりも大変に重要で、バスキアが多くのジャズミュージシャンからインスピレーションを受けて制作した作品も多く紹介されていました。バスキアの作品からはどこか音楽的な即興性も感じられますが、その源泉はリズミカルなジャズにあるのかもしれません。
さて最後にバスキアの展覧会についての情報です。9月21日(土)より、六本木の森アーツセンターギャラリーにて「バスキア展 メイド・イン・ジャパン」が開催されます。
「バスキア展 メイド・イン・ジャパン」(@fujitvart) 森アーツセンターギャラリー
期間:2019年9月21日(土)~11月17日(日)
*9月24日のみ休館
時間:10:00~20:00(9月25日、26日、10月21日は17時まで。)
*入館は閉館の30分前まで
場所:六本木ヒルズ森タワー52階(港区六本木6-10-1)
料金:一般2100(1900)円、大学・高校生1600(1400)円、中学・小学生1100(900)円
*( )内は15名以上の団体料金。
今回の「バスキア展」では、度々、バスキアも来日しては個展やグループ展を開いた日本との関係にも着目し、約130点にも及ぶプライベートコレクションが公開されます。いわゆる国際巡回展ではなく、日本のオリジナルな展覧会でもあります。
そして誌面のバスキア特集でも、「バスキア展」のキュレーターのインタビューや、一部の出展作品も掲載されていました。まさに来るべき「バスキア展」の前に、一通りアーティストについて知る良い機会とも言えるのではないでしょうか。私もこの特集を踏まえた上で、「バスキア展」を見に行きたいと思います。
なお紙版に合わせ、デジタル版も刊行されましたが、今号に限っては2000ダウンロード限定のみの発売になります。ひょっとすると途中で販売終了となるかもしれません。
「Pen(ペン) /ニューヨークを揺さぶった天才画家 バスキアを見たか。」
雑誌「Pen」No.482、特集「ニューヨークを揺さぶった天才画家 バスキアを見たか。」は、9月17日に発売されました。
「Pen(ペン) 2019年10/1号 [ニューヨークを揺さぶった天才画家 バスキアを見たか。]」(@Pen_magazine)
出版社:CCCメディアハウス
発売日:2019/9/17
価格:700円(税込)
内容:ジャン=ミシェル・バスキアについては、インパクトのある頭部や王冠の絵、あるいはドキュメンタリーや映画を通して知っているという人も多いだろう。だが作品をじっくり見たことはあるだろうか?過去、日本での展覧会は数回きりだ。ここ数年、欧米では画期的な回顧展が開かれバスキア再発見の機運が高まっている。なぜならシンプルで直接的に見える作品の背後にはさまざまな意味があり、黒人のアイデンティティをモチーフとした重要な作品であることが示されたからだ。今年、待望の大規模展が日本で開かれる。バスキアを見る―いまこそ、その時だ。
「ニューヨークを揺さぶった天才画家 バスキアを見たか。」Pen(ペン)2019年10月1日号
https://www.pen-online.jp/magazine/pen/482-basquiat/
1960年にニューヨークに生まれ、ウォーホルらと友人関係を築きながら、若くしてアート界を席巻したジャン=ミシェル・バスキア(1960~1988)。27歳にして薬物の過剰摂取により没するも、約10年間あまりに1000点以上もの絵画を残し、近年も欧米を中心に回顧展が行われるなど、人気が衰えることはありません。
また日本では2017年、頭蓋骨のような頭部を激しい筆致で描いた「Untitled」が、約123億円で落札されたことも話題となりました。とは言え、国内でバスキアは過去、数回展示が行われたに過ぎず、必ずしも現在、作品を見る機会が多いとは言えません。
さらに何かと知名度の高まる中、意外にもバスキアについて書かれた日本語の文献や資料が殆どありませんでした。実際にも、バスキアに関した日本語の書籍の多くは、古書でしか入手出来ないそうです。
リリースの「いま読める唯一のバスキア大特集」もあながち誇張ではありません。雑誌「Pen」最新号にてバスキアが大きくクローズアップされました。
【バスキア特集の見どころ】
・27歳で世を去った、彗星のごとき天才の生涯。
アート界に彗星のごとく現れ、27歳という若さで亡くなったバスキアの生涯をたどる。
・出発点は、ストリートに描いたグラフィティ
1970年代後半のニューヨーク。10代だったバスキアは、友達とふたりで「SAMO©」という署名を添えた言葉を、廃墟の壁にスプレーペイントしていった。
・初期に才能を認めていた、ギャラリストの証言。
バスキアの才能に早くから着目していたひとり、ギャラリスト・美術評論家のジェフリー・ダイチが、バスキアのアートが世界で人々を惹きつけている理由を語る。
・ジャズにインスパイアされて、誕生した傑作の数々。
チャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピーなど、黒人のジャズ・ミュージシャンをモチーフとした作品について。
・差別への怒りが、黒人アスリートを描く原動力。
野球選手ハンク・アーロン、ボクサー カシアス・クレイ(モハメド・アリ)やジョー・ルイス、陸上選手ジェシー・オーエンスなどを描いた作品について。
・レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿が、心を捉えた。
多くのアートを積極的に学んだバスキア。特にルネサンスの万能の人、レオナルドの手稿にある絵や言葉を作品に取り込んでいった。
・日本との意外な関係を知る、大展覧会が開催。
待望の日本初の大型展『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』の見どころを、キュレーターのディーター・ブッフハートに聞いた。
まず冒頭ではバスキアの生涯を、作品の図版や年譜などで辿りつつ、ウォーホルやデヴィット・ボウイなどの様々なアーティストとの関係を紐解き、バスキアが如何にして制作活動を行ったのかについて詳細に解説していました。多方面に渡るバスキアの交流の軌跡などが一覧出来るのではないでしょうか。
さらに黒人のアスリートモチーフとした作品を取り上げ、当時のアメリカが抱えた人種問題などの社会状況がバスキアに与えた影響についても浮き彫りにしていました。それこそ「差別への怒り」とありますが、かの時代の社会への強い批判精神を持ち得ていたからこそ、バスキアは次々とエネルギッシュな作品を生み出していったのかもしれません。
一連の特集の中で特に興味深く感じたのは、バスキアがレオナルド・ダ・ヴィンチについて深い関心を寄せていたことでした。しかもいわゆる絵画ではなく、レオナルドが膨大に残した手稿の中の人体の図を自作に取り込んでいて、バスキアが幼少期に見て影響を受けたとされる解剖学書と深く関係しているようでした。
バスキアの作品『プラスティックのサックス』には、あのジャズ・ミュージシャンが描かれていました!詳しくは9/17(火)発売「【完全保存版】ニューヨークを揺さぶった天才画家、バスキアを見たか。」にて!https://t.co/opf8ZZcS7X#バスキアを見たか #バスキア特集の決定版 pic.twitter.com/ZusnvQjUW1
— Pen Magazine (@Pen_magazine) September 18, 2019
ジャズとの関わりも大変に重要で、バスキアが多くのジャズミュージシャンからインスピレーションを受けて制作した作品も多く紹介されていました。バスキアの作品からはどこか音楽的な即興性も感じられますが、その源泉はリズミカルなジャズにあるのかもしれません。
さて最後にバスキアの展覧会についての情報です。9月21日(土)より、六本木の森アーツセンターギャラリーにて「バスキア展 メイド・イン・ジャパン」が開催されます。
「バスキア展 メイド・イン・ジャパン」(@fujitvart) 森アーツセンターギャラリー
期間:2019年9月21日(土)~11月17日(日)
*9月24日のみ休館
時間:10:00~20:00(9月25日、26日、10月21日は17時まで。)
*入館は閉館の30分前まで
場所:六本木ヒルズ森タワー52階(港区六本木6-10-1)
料金:一般2100(1900)円、大学・高校生1600(1400)円、中学・小学生1100(900)円
*( )内は15名以上の団体料金。
今回の「バスキア展」では、度々、バスキアも来日しては個展やグループ展を開いた日本との関係にも着目し、約130点にも及ぶプライベートコレクションが公開されます。いわゆる国際巡回展ではなく、日本のオリジナルな展覧会でもあります。
そして誌面のバスキア特集でも、「バスキア展」のキュレーターのインタビューや、一部の出展作品も掲載されていました。まさに来るべき「バスキア展」の前に、一通りアーティストについて知る良い機会とも言えるのではないでしょうか。私もこの特集を踏まえた上で、「バスキア展」を見に行きたいと思います。
なお紙版に合わせ、デジタル版も刊行されましたが、今号に限っては2000ダウンロード限定のみの発売になります。ひょっとすると途中で販売終了となるかもしれません。
「Pen(ペン) /ニューヨークを揺さぶった天才画家 バスキアを見たか。」
雑誌「Pen」No.482、特集「ニューヨークを揺さぶった天才画家 バスキアを見たか。」は、9月17日に発売されました。
「Pen(ペン) 2019年10/1号 [ニューヨークを揺さぶった天才画家 バスキアを見たか。]」(@Pen_magazine)
出版社:CCCメディアハウス
発売日:2019/9/17
価格:700円(税込)
内容:ジャン=ミシェル・バスキアについては、インパクトのある頭部や王冠の絵、あるいはドキュメンタリーや映画を通して知っているという人も多いだろう。だが作品をじっくり見たことはあるだろうか?過去、日本での展覧会は数回きりだ。ここ数年、欧米では画期的な回顧展が開かれバスキア再発見の機運が高まっている。なぜならシンプルで直接的に見える作品の背後にはさまざまな意味があり、黒人のアイデンティティをモチーフとした重要な作品であることが示されたからだ。今年、待望の大規模展が日本で開かれる。バスキアを見る―いまこそ、その時だ。
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