都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「芹沢けい介のいろは」 東京国立近代美術館工芸館
東京国立近代美術館工芸館
「芹沢けい介のいろはー金子量重コレクション」
3/5-5/8
東京国立近代美術館工芸館で開催中の「芹沢けい介のいろはー金子量重コレクション」を見てきました。
日本を代表する染色家の芹沢けい(金へんに圭)介。都内でこれほど芹沢の作品を見られる機会は滅多にないかもしれません。
出品は200点超。うち中核となるのが金子量重氏のコレクションです。金子氏はアジア民族造形学の専門家。昨年、東京国立近代美術館へ芹沢の作品を寄贈します。そして今回、まとめてお披露目されることになりました。
芹沢けい介「木綿地六行いろは文二曲屏風」 1973年 綿・型染 東京国立近代美術館 ほか
コレクションを通して芹沢の幅広い活動を知ることが出来るのもポイントです。と言うのも、作品は衣料よりも、調度、染紙、カレンダー、本、書画、装幀の方が多い。まさしく多種多様な芹沢コレクションが揃っているのです。
さて芹沢の「いろは」。入門編という意味もあるのでしょうか。会場内では魅力を伝えるべく3つのキーワードが用意されています。
芹沢けい介「型染伊呂波文六曲屏風」 1958年 麻・型染 金子量重コレクション
まずは「模様」です。とりわけ文字の模様に注目しています。文字を介しては自然の情景を反映し、さらにかなを通じて音の響きを連想させる芹沢作品。例えば「型染伊呂波文六曲屏風」です。いろはにほへとと連なる文字屏風、それぞれ文字には絵画ならぬモチーフが添えられていますが、かなの音と連動しているのです。分りやすいのは「は」でしょうか。ずばり大きな葉がだらりと垂れています。それに「こ」も鯉のぼり、さらにその下の「え」はエビです。さも謎かけのようで楽しい。遊び心も感じられます。
芹沢けい介「カレンダー」 1948年、1963年 紙・型染 金子量重コレクション ほか
二つ目は「もの」でした。芹沢が手がけた様々なものの世界。装幀やカレンダーもその一つと言えるかもしれません。受け手が触れて、使うことにより、芹沢が見出した「美と向き合う」(キャプションより)ことにもなり得えます。それにしても芹沢の感性が投影したものの領域は幅広い。カレンダーは特に人気を博します。何でも多い年には12万枚も出荷されたそうです。
「芹沢けい介のいろは」会場風景
最後が「旅」です。芹沢は旅先でスケッチを繰り返しては、当地の景色を引き寄せ、そこから自身の「模様心」(キャプションより)を掻き立てていました。見たもの、感じたものを、染色の模様として落とし込んでいたのでしょうか。確かに芹沢の作品には何らかの風景が反映されたものも少なくありません。
とはいえ、これらのキーワードはあくまで鑑賞の一つの参考になるためのもの。もっと自由に惹かれる作品を探して歩くのも楽しいのではないでしょうか。
芹沢けい介「型染うちわ絵帖 上下」 1971年 紙・型染 金子量重コレクション ほか
実際私も多くの芹沢作品を前にしてテンションがあがるばかり。あれもこれもと目移りしてしまいます。団扇もご覧の通り。たくさんの絵柄です。思わず一枚手にとっては扇ぎたくなってしまいます。
芹沢けい介「大吟醸 いろは」 年代不詳 紙・印刷 金子量重コレクション ほか
お酒のラベルを手がけていたとは知りませんでした。「大吟醸 いろは」と「球磨焼酎 六調子」です。「いろは」では白いボトルも個性的です。ラベルのいろはの色は朱に紫に緑でしょうか。さらに同じくいろはの風呂敷や焼きのり容器などもあります。テーブルに一つあればさぞかし目を引くかもしれません。
「芹沢けい介のいろは」会場風景
肉筆の書画が思いの外に充実していました。芹沢は常にポケットにノートを入れて歩いていました。スケッチ魔だったのでしょうか。板絵は来客への土産用。金子氏が選んだ言葉を芹沢が描いた書画なども展示されています。二人の間には深い「信頼関係」(公式サイトより)があったそうです。芹沢の全集の編集委員も務めています。それゆえの充実したコレクションと言えそうです。
「芹沢けい介のいろは」会場風景
なお本展は特別展ですが、全ての作品の撮影が可能です。撮影をご希望の方はカメラをお忘れなきようお持ちください。
「芹沢けい介のいろは」会場風景
5月8日まで開催されています。もちろんおすすめします。
「芹沢けい介のいろはー金子量重コレクション」 東京国立近代美術館工芸館(@MOMAT60th)
会期:3月5日(土) ~5月8日(日)
休館:月曜日。但し3月21日、28日、4月4日、5月2日は開館。3月22日(火)は休館。
時間:10:00~17:00
*入館は閉館30分前まで
料金:一般550(350)円、大学生350(150)円、高校生以下無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
場所:千代田区北の丸公園1-1
交通:東京メトロ東西線竹橋駅1b出口徒歩8分。東京メトロ半蔵門線・東西線・都営新宿線九段下駅2番出口より徒歩12分。
「芹沢けい介のいろはー金子量重コレクション」
3/5-5/8
東京国立近代美術館工芸館で開催中の「芹沢けい介のいろはー金子量重コレクション」を見てきました。
日本を代表する染色家の芹沢けい(金へんに圭)介。都内でこれほど芹沢の作品を見られる機会は滅多にないかもしれません。
出品は200点超。うち中核となるのが金子量重氏のコレクションです。金子氏はアジア民族造形学の専門家。昨年、東京国立近代美術館へ芹沢の作品を寄贈します。そして今回、まとめてお披露目されることになりました。
芹沢けい介「木綿地六行いろは文二曲屏風」 1973年 綿・型染 東京国立近代美術館 ほか
コレクションを通して芹沢の幅広い活動を知ることが出来るのもポイントです。と言うのも、作品は衣料よりも、調度、染紙、カレンダー、本、書画、装幀の方が多い。まさしく多種多様な芹沢コレクションが揃っているのです。
さて芹沢の「いろは」。入門編という意味もあるのでしょうか。会場内では魅力を伝えるべく3つのキーワードが用意されています。
芹沢けい介「型染伊呂波文六曲屏風」 1958年 麻・型染 金子量重コレクション
まずは「模様」です。とりわけ文字の模様に注目しています。文字を介しては自然の情景を反映し、さらにかなを通じて音の響きを連想させる芹沢作品。例えば「型染伊呂波文六曲屏風」です。いろはにほへとと連なる文字屏風、それぞれ文字には絵画ならぬモチーフが添えられていますが、かなの音と連動しているのです。分りやすいのは「は」でしょうか。ずばり大きな葉がだらりと垂れています。それに「こ」も鯉のぼり、さらにその下の「え」はエビです。さも謎かけのようで楽しい。遊び心も感じられます。
芹沢けい介「カレンダー」 1948年、1963年 紙・型染 金子量重コレクション ほか
二つ目は「もの」でした。芹沢が手がけた様々なものの世界。装幀やカレンダーもその一つと言えるかもしれません。受け手が触れて、使うことにより、芹沢が見出した「美と向き合う」(キャプションより)ことにもなり得えます。それにしても芹沢の感性が投影したものの領域は幅広い。カレンダーは特に人気を博します。何でも多い年には12万枚も出荷されたそうです。
「芹沢けい介のいろは」会場風景
最後が「旅」です。芹沢は旅先でスケッチを繰り返しては、当地の景色を引き寄せ、そこから自身の「模様心」(キャプションより)を掻き立てていました。見たもの、感じたものを、染色の模様として落とし込んでいたのでしょうか。確かに芹沢の作品には何らかの風景が反映されたものも少なくありません。
とはいえ、これらのキーワードはあくまで鑑賞の一つの参考になるためのもの。もっと自由に惹かれる作品を探して歩くのも楽しいのではないでしょうか。
芹沢けい介「型染うちわ絵帖 上下」 1971年 紙・型染 金子量重コレクション ほか
実際私も多くの芹沢作品を前にしてテンションがあがるばかり。あれもこれもと目移りしてしまいます。団扇もご覧の通り。たくさんの絵柄です。思わず一枚手にとっては扇ぎたくなってしまいます。
芹沢けい介「大吟醸 いろは」 年代不詳 紙・印刷 金子量重コレクション ほか
お酒のラベルを手がけていたとは知りませんでした。「大吟醸 いろは」と「球磨焼酎 六調子」です。「いろは」では白いボトルも個性的です。ラベルのいろはの色は朱に紫に緑でしょうか。さらに同じくいろはの風呂敷や焼きのり容器などもあります。テーブルに一つあればさぞかし目を引くかもしれません。
「芹沢けい介のいろは」会場風景
肉筆の書画が思いの外に充実していました。芹沢は常にポケットにノートを入れて歩いていました。スケッチ魔だったのでしょうか。板絵は来客への土産用。金子氏が選んだ言葉を芹沢が描いた書画なども展示されています。二人の間には深い「信頼関係」(公式サイトより)があったそうです。芹沢の全集の編集委員も務めています。それゆえの充実したコレクションと言えそうです。
「芹沢けい介のいろは」会場風景
なお本展は特別展ですが、全ての作品の撮影が可能です。撮影をご希望の方はカメラをお忘れなきようお持ちください。
「芹沢けい介のいろは」会場風景
5月8日まで開催されています。もちろんおすすめします。
「芹沢けい介のいろはー金子量重コレクション」 東京国立近代美術館工芸館(@MOMAT60th)
会期:3月5日(土) ~5月8日(日)
休館:月曜日。但し3月21日、28日、4月4日、5月2日は開館。3月22日(火)は休館。
時間:10:00~17:00
*入館は閉館30分前まで
料金:一般550(350)円、大学生350(150)円、高校生以下無料。
*( )内は20名以上の団体料金。
場所:千代田区北の丸公園1-1
交通:東京メトロ東西線竹橋駅1b出口徒歩8分。東京メトロ半蔵門線・東西線・都営新宿線九段下駅2番出口より徒歩12分。
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