都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
ファビオ・ビオンディ&エウローパ・ガランテ 「ヴィヴァルディ:四季」他 2/20
ファビオ・ビオンディ&エウローパ・ガランテ東京公演
ヴィヴァルディ:「バヤゼット」序曲
モーツァルト:交響曲第11番(K.84)
テレマン:組曲「ドン・キホーテのブルレスカ」(TWV55)
ヴィヴァルディ:「和声と創意への試み」より「四季」(作品8)
指揮・ヴァイオリン ファビオ・ビオンディ
演奏 エウローパ・ガランテ
2006/2/20 19:00~ 東京オペラシティコンサートホール2階
チケットポンテにて格安チケットが出ていたので、急遽初台まで行って聴いてきました。イタリア古楽界の中ボス(?)、エウローパ・ガランテの来日コンサートです。
ビオンディとガランテによる、一般的なバロック音楽のイメージを吹き飛ばすような先鋭的な演奏は、私も良く聴くOpus111のボックスで楽しむことが出来ますが、実際にそのスリリングな演奏を前にすると、やはりじっと座って聴くのが馬鹿らしくなるほどに躍動感に溢れています。ジェットコースターに乗っているような猛烈な緩急の落差と、長剣をバンバン振り回しているような半ば暴力的な弦のボーイング、(美音など野暮と言わんばかりの…。)そして極限のピアニッシモからまるでハンマーで殴ったようなフォルテッシモのアタッカまで、ともかくこれほどに揺さぶられる音楽もありません。全身で音楽を表現するビオンディの挑発的な力強いソロから、ノリに乗ったヴィオラやチェロ、そして実に軽やかに音を刻み込むチェンバロまで、全てが一つになってヴィヴァルディの超有名曲をお手軽に料理していきます。そしてもちろんそれが曲に新鮮さを与えるのです。モーツァルトの交響曲第11番もテレマンも、たった今ロックかジャズとして誕生したばかりのようなノリの良さ。ハチャメチャさを通り越して出現した力強い説得力。イタリアンバロックの過激さを浮き彫りにさせた、最高のエンターテイメントに仕上がっていました。面白過ぎます。
そしてそのエンターテイメントとして最高に楽しませてくれたのは、やはりメインの「四季」でしょう。「春」の冒頭にて既に大荒れの春の嵐でしたが、時折フッと力を抜くようにして響きを和らげる様が実に印象的でした。また「夏」のプレストはもちろん台風。チェロとヴィオラが強烈な横殴りの雨を表現したとすれば、ビオンディのソロは土砂降りの雨の中で台風に抵抗するかのように頑張る一人の人間でしょうか。各パートの自由自在なリズム感と、漫才のような巧みな掛け合いの妙にはただひたすらに驚かされるばかりです。アンコール2曲目はこの楽章のアレンジバージョン(?)でしたが、ここでは快速が新快速になったように(?)さらにスピードアップしていって場を盛り上げます。目にもとまらぬ、息もつかせぬとは、まさにこのことです。
会場は一階席こそ七割弱は埋まっていましたが、二階三階は閑散としていました。タケミツメモリアルは美しい響きを聴かせてくれるホールではありますが、非常に小さく凝縮されてまとまったガランテの響きを鑑みると、ややキャパシティが大き過ぎたのかなという気もします。バロック音楽の快感へ強く誘う、まるで危なっかしい薬を飲ませるような烈しい演奏でした。
ヴィヴァルディ:「バヤゼット」序曲
モーツァルト:交響曲第11番(K.84)
テレマン:組曲「ドン・キホーテのブルレスカ」(TWV55)
ヴィヴァルディ:「和声と創意への試み」より「四季」(作品8)
指揮・ヴァイオリン ファビオ・ビオンディ
演奏 エウローパ・ガランテ
2006/2/20 19:00~ 東京オペラシティコンサートホール2階
チケットポンテにて格安チケットが出ていたので、急遽初台まで行って聴いてきました。イタリア古楽界の中ボス(?)、エウローパ・ガランテの来日コンサートです。
ビオンディとガランテによる、一般的なバロック音楽のイメージを吹き飛ばすような先鋭的な演奏は、私も良く聴くOpus111のボックスで楽しむことが出来ますが、実際にそのスリリングな演奏を前にすると、やはりじっと座って聴くのが馬鹿らしくなるほどに躍動感に溢れています。ジェットコースターに乗っているような猛烈な緩急の落差と、長剣をバンバン振り回しているような半ば暴力的な弦のボーイング、(美音など野暮と言わんばかりの…。)そして極限のピアニッシモからまるでハンマーで殴ったようなフォルテッシモのアタッカまで、ともかくこれほどに揺さぶられる音楽もありません。全身で音楽を表現するビオンディの挑発的な力強いソロから、ノリに乗ったヴィオラやチェロ、そして実に軽やかに音を刻み込むチェンバロまで、全てが一つになってヴィヴァルディの超有名曲をお手軽に料理していきます。そしてもちろんそれが曲に新鮮さを与えるのです。モーツァルトの交響曲第11番もテレマンも、たった今ロックかジャズとして誕生したばかりのようなノリの良さ。ハチャメチャさを通り越して出現した力強い説得力。イタリアンバロックの過激さを浮き彫りにさせた、最高のエンターテイメントに仕上がっていました。面白過ぎます。
そしてそのエンターテイメントとして最高に楽しませてくれたのは、やはりメインの「四季」でしょう。「春」の冒頭にて既に大荒れの春の嵐でしたが、時折フッと力を抜くようにして響きを和らげる様が実に印象的でした。また「夏」のプレストはもちろん台風。チェロとヴィオラが強烈な横殴りの雨を表現したとすれば、ビオンディのソロは土砂降りの雨の中で台風に抵抗するかのように頑張る一人の人間でしょうか。各パートの自由自在なリズム感と、漫才のような巧みな掛け合いの妙にはただひたすらに驚かされるばかりです。アンコール2曲目はこの楽章のアレンジバージョン(?)でしたが、ここでは快速が新快速になったように(?)さらにスピードアップしていって場を盛り上げます。目にもとまらぬ、息もつかせぬとは、まさにこのことです。
会場は一階席こそ七割弱は埋まっていましたが、二階三階は閑散としていました。タケミツメモリアルは美しい響きを聴かせてくれるホールではありますが、非常に小さく凝縮されてまとまったガランテの響きを鑑みると、ややキャパシティが大き過ぎたのかなという気もします。バロック音楽の快感へ強く誘う、まるで危なっかしい薬を飲ませるような烈しい演奏でした。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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彼らの演奏を聴いて、「刺激的な」という形容詞がいまだにまったく白々しくならないというのはすごいことなのだと改めて感じました。
>時折フッと力を抜くようにして響きを和らげる様
ここは私も引き込まれました!まったく同感です。
彼らの緩急のつけ方はますます磨きがかかってきていると思います。それが曲調を乱す場合でもあえて溝を作って、まるで初めからそうなっていたかのように聴衆に納得させてしまう…魔法ですね
>曲調を乱す場合でもあえて溝を作って、まるで初めからそうなっていたかのように聴衆に納得
そうですね。
かつて録音されたCDよりも、
さらに緩急に落差があるような気もしました。(もちろんライブと言うこともあるのでしょうか。)
2階サイドに座って聞いていたので舞台が良く見えたのですが、
音楽に心底酔うように演奏していたビオンディが印象的でした。
「ほれほれ、ここ聴いてね!」のようなサービス精神も満点で、
エンターテイナーとしても素晴らしいなと思います。
ああいう精神、日本の楽団にも欲しいですよね。