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横山大観「無我」 東京国立博物館

東京国立博物館・本館18室
横山大観「無我」
1/2~2/12

東京国立博物館・本館18室にて、横山大観の「無我」が公開されています。



「無我」は明治30年、まだ若き大観が29歳の時に描いた作品で、老荘思想に発し、禅における悟りの境地を、無心の童子に表して描きました。背丈の長い草の生えた川辺近くの子どもは、俄かに表情を伺えず、まさに無心そのもので、だらりと肩を落としては、ぼんやりとした様で立っています。当時、禅の世界を童子に託す発想にも注目が集まり、大観の出世作として評価を得ました。

なお「無我」は全部で3点あり、ほかの2点は、足立美術館と水野美術館のコレクションとして知られています。サイズは足立美術館、水野美術館、東京国立博物館の順に大きく、後者の2点が鮮やかな彩色を持つ一方、足立美術館の作品のみが、墨絵の淡彩で描かれました。また足立美術館の作品は、童子の表情がやや険しく、どこか大人びた風情にも見えなくはありません。

ともかく印象に深いのは、童子のあどけない表情をはじめ、自然体とも言えるような全身の姿で、一切の力みが感じられないことです。また背後の水の青色が、思いの外に鮮やかなのも特徴ではないでしょうか。

今年は大観の生誕150周年です。よって大観に関する展覧会がいくつか行われます。


現在、開催中なのが、山種美術館の「生誕150年記念 横山大観ー東京画壇の精鋭」で、同館創設以来、初めて大観のコレクションが全点公開されています。

「生誕150年記念 横山大観ー東京画壇の精鋭」@山種美術館
会期:1月3日(水)~2月25日(日)

また4月からは、同じく生誕150年を期した「横山大観展」が、東京国立近代美術館にて開催されます。(以降、京都国立近代美術館へと巡回。)


「生誕150年 横山大観展」@東京国立近代美術館
会期:4月13日(金)~ 5月27日(日)
*京都国立近代美術館:6月8日(金)~7月22日(日)

2013年にも、横浜美術館で大規模な大観展(「横山大観展 良き師、良き友」)がありましたが、国立美術館としては、2008年の「没後50年 横山大観ー新たなる伝説へ」(国立新美術館)以来の開催となります。

ひょっとすると「無我」の展示も、今年の大観イヤーを意識してのことなのかもしれません。山種から近代美術館の大観展も、ともに追いかけたいと思います。

2月12日まで公開されています。

*写真は、横山大観「無我」 明治30(1897)年 東京国立博物館

横山大観「無我」 東京国立博物館・本館18室(@TNM_PR
会期:1月2日(火)~2月12日(月)
時間:9:30~17:00。
 *毎週金・土曜は21時まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
休館:月曜日。但し10月9日(月・祝)は開館。
料金:一般620(520)円、大学生410(310)円、高校生以下無料。
 *( )は20名以上の団体料金。
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
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