『ライアン・ガンダー われらの時代のサイン』 東京オペラシティアートギャラリー

東京オペラシティアートギャラリー
『ライアン・ガンダー われらの時代のサイン』
2022/7/16~9/19



東京オペラシティアートギャラリーで開催中の『ライアン・ガンダー われらの時代のサイン』を見てきました。

イギリス生まれのライアン・ガンダーは、コンセプチュアルアートの新しい表現を思考するアーティストとして知られ、オブジェ、インスタレーション、絵画、写真、映像などの幅広い作品を発表してきました。

そのガンダーの東京での初めてとなる大規模個展が『われらの時代のサイン』で、会場には新作を含め、全体が1つの作品として連動するようなインスタレーションが築かれていました。



これまでにも同ギャラリーではさまざまな作家によるインスタレーションが披露されてきましたが、今回ほど一見すれば謎めいた空間が作られていたことはなかったかもしれません。



というのも、入口先から床に黒い小さなシートが散らされ、壁からは数字の記されたシートが発券されると思うと、光のバーが動く黒い立方体が数多く並び、その奥には等身大の人形が立っているものの、解説などは一切なく、何を意図しているのか読み取るのが困難であるからでした。



しかし椅子の上に蚊の彫刻が震えるように動いていたり、壁の穴から機械仕掛けのネズミが顔を覗かせながら語りかけるなど、単的な動きからして面白い作品も多く、いつしか不可思議とも言える作品世界に引き込まれていくことに気づきました。



作品と素材の意外な関係も興味深いかもしれません。壁一面に満月のようなモチーフを描いた平面の作品も、ともすればキャンバスが地であるかと思いきや、なんと日本製のデニム生地にて作られていました。



またアンティークな鏡に白い布地がかけられているようなオブジェでは、布の部分が大理石の彫刻にてできているなど、思わぬ素材に目を見張るものがありました。



はじめは何ら情報や知識を得ずに鑑賞し、改めてガンダーの意図が記された解説冊子を読みながら見やると、時間や価値、教育、そして見えるものと見えないものといった、ガンダーが関心の抱いているテーマなどが取り上げられていることがわかりました。



既存の固定化した観念を打ち破り、さまざまな気付きをもたらすガンダーの作品は、知的でありつつ、ユーモアにも満ちていたのではないでしょうか。また思わず見落としてしまう場所に作品があるなど、「まさかここにも作品が?」というような驚きもある展覧会でした。



なお1つ上のフロアでは寺田コレクションをガンダー自らセレクトした『ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展』も開かれています。あわせて見ておきたいところです。



ネズミが語る!? 驚きと発見に満ちた『ライアン・ガンダー われらの時代のサイン』展|Pen Online


撮影もできました。9月19日まで開催中です。*写真は『ライアン・ガンダー われらの時代のサイン』、および『ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展』展示風景

『ライアン・ガンダー われらの時代のサイン』 東京オペラシティアートギャラリー@TOC_ArtGallery
会期:2022年7月16日(土)~9月19日(月・祝)
休館:月曜日。(祝日の場合は翌火曜日)、8月7日(日)*全館休館日
時間:11:00~19:00 
 *入場は閉館30分前まで。
料金:一般1400(1200)円、大・高生1000(800)円、中学生以下無料。
 *同時開催中の『ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展』、『project N 87 黒坂祐』の入場料を含む。
 *( )内は各種割引料金。
住所:新宿区西新宿3-20-2
交通:京王新線初台駅東口直結徒歩5分。
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