都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「アンリ・ルソーと素朴な画家たち」 市川市芳澤ガーデンギャラリー
市川市芳澤ガーデンギャラリー
「世田谷美術館コレクションによる アンリ・ルソーと素朴な画家たち」
7/23-9/19
世田谷美術館のコレクションによって素朴派の系譜を辿ります。市川市芳澤ガーデンギャラリーで開催中の「アンリ・ルソーと素朴な画家たち」へ行ってきました。
現在、改修中のため、長期休館中(2012年3月末まで)の世田谷美術館ですが、その由縁もあり、定評のある館蔵の素朴派絵画コレクションがここ市川市の芳澤ガーデンギャラリーへやってきています。
出品数は40点弱です。展覧会としては極めて小粒ですが、ボーシャン、ルソーにははじまりボンボワ、モーゼス、さらには日本の素朴派からデビュッフェまで至る展開は、思いの外に見応えがありました。
アンドレ・ボーシャン「花」1952年
冒頭はボーシャン、ルソーです。ともに4点ずつの出品でしたが、まさに旧約のアダムとイブの世界を思わせるボーシャンの「地上の楽園」の他、極端なまでの遠近感でパリの街角を描いたルソーの「サン=ニコラ河岸から見たシテ島」などは印象に残りました。
アンリ・ルソー「サン=ニコラ河岸から見たシテ島」1887-88年頃
しかしこの彼方に橋を望むルソーの一枚を見ると、それこそ橋のある風景を描いた松本竣介を思い出します。そう言えば、何年か前、世田谷美術館でルソー展を見た際も一番惹かれたのが松本の絵画でしたが、ともかくもどこか物悲しい雰囲気を漂わせていました。
さてこうした素朴派の画家を見出した人物として有名なのが、ドイツ人の画商ウィルヘルム・ウーデです。そして彼との交流を描いた映画「セラフィーヌとの庭」でも注目されたルイ・セラフィーヌの作品も一枚ほど出ています。
その「枝」と名付けられた絵画には大きな実をたくさん付けた木の枝が力強いタッチで描かれていました。全体の黄色い配色はどこか漲る生命感を感じさせてなりません。ここは見入りました。
展示はフランスからイギリス、イタリア、そしてロシアへと広がります。ペテルブルク生まれで額縁職人でもあったラコス、イギリスのデヴォンで船具商をつとめ、後のベン・ニコルソンにも見出されたウォリス、さらには靴のデザイナーとして名を馳せ、オーケストラではトロンボーン奏者をつとめていたというイタリア人画家、メテルリの作品などが紹介されていました。
山下清「晩秋」1940-56年
ご当地、市川とも縁のある山下清の他、谷内六郎など、日本人の画家の作品が数点あるのも展示の特徴と言えるかもしれません。最後にはウォーホルと親交のあったというバスキアのオブジェなども出品されていました。
デュビュッフェの「砂丘のアラビア人と荷を積んだラクダ」が忘れられません。アンフォルメルで有名な彼の作品を素朴派の文脈で語るのも興味深いところですが、まさに荒涼とした砂漠のような暗がりに沈むラクダの姿は頭から離れませんでした。
ジャン=ミシェル・バスキア「無題」1985年
なお本展は巡回展です。既に先行した小樽展は終了しましたが、市川展の後は以下のスケジュールで岡山と愛知へ巡回します。
笠岡市立竹喬美術館 11月5日(土)~1月9日(月・祝)
文化フォーラム春日井 2002年1月21日(土)~3月18日(日)
芳澤ガーデンギャラリーはJR市川駅から1キロ以上離れた住宅地の中に位置する小さな展示施設です。駅からは歩いて約20分ほどですが、お出かけの際はあらかじめ地図を参照された方が良いかもしれません。
吉澤ガーデンギャラリーアクセス案内 *市川駅近くの駐輪場に市営無料レンタサイクルあり。
講演会:「創造の源泉 八幡学園と山下清」
日時:9月3日(土) 15:00~16:30
講師:三頭谷鷹史(名古屋造形大学教授)
先着50席 入館料のみ必要
9月19日まで開催されています。
「世田谷美術館コレクションによる アンリ・ルソーと素朴な画家たち」 市川市芳澤ガーデンギャラリー
会期:7月23日(土)~9月19日(月)
休館:月曜日
時間:9:30~16:30
住所:千葉県市川市真間5-1-18
交通:JR線市川駅より徒歩16分、京成線市川真間駅より徒歩12分。
「世田谷美術館コレクションによる アンリ・ルソーと素朴な画家たち」
7/23-9/19
世田谷美術館のコレクションによって素朴派の系譜を辿ります。市川市芳澤ガーデンギャラリーで開催中の「アンリ・ルソーと素朴な画家たち」へ行ってきました。
現在、改修中のため、長期休館中(2012年3月末まで)の世田谷美術館ですが、その由縁もあり、定評のある館蔵の素朴派絵画コレクションがここ市川市の芳澤ガーデンギャラリーへやってきています。
出品数は40点弱です。展覧会としては極めて小粒ですが、ボーシャン、ルソーにははじまりボンボワ、モーゼス、さらには日本の素朴派からデビュッフェまで至る展開は、思いの外に見応えがありました。
アンドレ・ボーシャン「花」1952年
冒頭はボーシャン、ルソーです。ともに4点ずつの出品でしたが、まさに旧約のアダムとイブの世界を思わせるボーシャンの「地上の楽園」の他、極端なまでの遠近感でパリの街角を描いたルソーの「サン=ニコラ河岸から見たシテ島」などは印象に残りました。
アンリ・ルソー「サン=ニコラ河岸から見たシテ島」1887-88年頃
しかしこの彼方に橋を望むルソーの一枚を見ると、それこそ橋のある風景を描いた松本竣介を思い出します。そう言えば、何年か前、世田谷美術館でルソー展を見た際も一番惹かれたのが松本の絵画でしたが、ともかくもどこか物悲しい雰囲気を漂わせていました。
さてこうした素朴派の画家を見出した人物として有名なのが、ドイツ人の画商ウィルヘルム・ウーデです。そして彼との交流を描いた映画「セラフィーヌとの庭」でも注目されたルイ・セラフィーヌの作品も一枚ほど出ています。
その「枝」と名付けられた絵画には大きな実をたくさん付けた木の枝が力強いタッチで描かれていました。全体の黄色い配色はどこか漲る生命感を感じさせてなりません。ここは見入りました。
展示はフランスからイギリス、イタリア、そしてロシアへと広がります。ペテルブルク生まれで額縁職人でもあったラコス、イギリスのデヴォンで船具商をつとめ、後のベン・ニコルソンにも見出されたウォリス、さらには靴のデザイナーとして名を馳せ、オーケストラではトロンボーン奏者をつとめていたというイタリア人画家、メテルリの作品などが紹介されていました。
山下清「晩秋」1940-56年
ご当地、市川とも縁のある山下清の他、谷内六郎など、日本人の画家の作品が数点あるのも展示の特徴と言えるかもしれません。最後にはウォーホルと親交のあったというバスキアのオブジェなども出品されていました。
デュビュッフェの「砂丘のアラビア人と荷を積んだラクダ」が忘れられません。アンフォルメルで有名な彼の作品を素朴派の文脈で語るのも興味深いところですが、まさに荒涼とした砂漠のような暗がりに沈むラクダの姿は頭から離れませんでした。
ジャン=ミシェル・バスキア「無題」1985年
なお本展は巡回展です。既に先行した小樽展は終了しましたが、市川展の後は以下のスケジュールで岡山と愛知へ巡回します。
笠岡市立竹喬美術館 11月5日(土)~1月9日(月・祝)
文化フォーラム春日井 2002年1月21日(土)~3月18日(日)
芳澤ガーデンギャラリーはJR市川駅から1キロ以上離れた住宅地の中に位置する小さな展示施設です。駅からは歩いて約20分ほどですが、お出かけの際はあらかじめ地図を参照された方が良いかもしれません。
吉澤ガーデンギャラリーアクセス案内 *市川駅近くの駐輪場に市営無料レンタサイクルあり。
講演会:「創造の源泉 八幡学園と山下清」
日時:9月3日(土) 15:00~16:30
講師:三頭谷鷹史(名古屋造形大学教授)
先着50席 入館料のみ必要
9月19日まで開催されています。
「世田谷美術館コレクションによる アンリ・ルソーと素朴な画家たち」 市川市芳澤ガーデンギャラリー
会期:7月23日(土)~9月19日(月)
休館:月曜日
時間:9:30~16:30
住所:千葉県市川市真間5-1-18
交通:JR線市川駅より徒歩16分、京成線市川真間駅より徒歩12分。
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