「ロマネスクと工芸1 修道院」 工芸青花(一水寮悠庵)

工芸青花(一水寮悠庵)
「ロマネスクと工芸1 修道院」
8/24〜9/10(木〜日のみ)

神楽坂の一水寮で開催中の「ロマネスクと工芸1 修道院」を見てきました。

昭和前期に建てられた一水寮は、かつて大工寮として使われた住居建築です。随所に意匠の凝った大工技法も見られることから、文化庁の登録有形文化財に指定されました。



神楽坂駅よりさほど距離はありませんが、ともかく狭い裏路地を抜けた先の小さな建物です。私もスマホの地図アプリを頼りに、初めて辿り着くことが出来ました。



テーマは中世ロマネスク美術と修道院です。「工芸青花」を刊行し、茶会や花会のほか、各種講座を展開している青花の会が企画しました。また監修をロマネスク美術の専門家で、美術史家の金沢百枝さんが務めました。



まず目立つのは修道院で用いられた工芸品でした。オランダの「スリップウェア鳥文鉢」に並ぶのは、フランスのラ・グランド・シャルトルーズ修道院に伝来する「十字架文鉢」です。一瞬、漢字の「土」に見えるかもしれませんが、確かに器の中央に十字架が刻まれています。



ガラスのボトルも個性的です。メキシコ由来の聖水ボトルですが、全体の形が聖母マリアの姿に象られています。写真では分かりにくいかもしれませんが、上部に顔があり、その下で手を合わせる姿を見ることが出来ました。



アルザスの「スリップウェア祝婚楕円皿」も可愛らしいのではないでしょうか。これもロマネスクに影響を受けた模様なのかもしれません。ハート型のモチーフが仲睦まじく重なって結びついていました。



オランダのスリップウェアはイギリスのスリップウェアの源流に当たるそうです。その系譜は日本の民芸にも連なっていくのかもしれません。



フランスの木製民具には温もりも感じられます。古色を帯び、傷んだ道具からは、長らく使われた痕跡を知ることが出来ました。



フランスの13〜15世紀の聖堂タイルも貴重な作品です。なお奥の書籍は金沢先生のコレクションでもあるそうです。



「ロマネスク美術には、モダンアートや西洋以外の美術との共通性があります。それは、人間にじかに語りかけようとする美術であることです。」(出展リストより)



展示品の多数は購入も可能です。出展リストがプライスリストを兼ねています。ほかにもヨーロッパの修道院より取り寄せたロマネスク美術の絵葉書、切手、アクセサリ、はちみつなどが販売されていました。



期間中、木曜日から日曜日のみオープンしています。月曜日から水曜日はお休みです。ご注意下さい。



出展は70点弱。一室での小さな展覧会です。なお建物内部の佇まいも趣きがありました。一見の価値があります。


入場は無料です。9月10日まで開催されています。

「ロマネスクと工芸1 修道院」 工芸青花(一水寮悠庵)@kogei_seika
会期:8月24日(木)〜9月10日(日)
 *上記期間のうち木〜日のみ開場。
休館:月〜水曜日。
時間:12:00~19:00
料金:無料
住所:新宿区横寺町31-13 一水寮101
交通:東京メトロ東西線神楽坂駅1番出口より徒歩3分。
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