「伊庭靖子 Paintings」 MISA SHIN GALLERY

MISA SHIN GALLERY
「伊庭靖子 Paintings」
6/1-7/14



MISA SHIN GALLERYで開催中の伊庭靖子個展、「Paintings」へ行って来ました。

クッションやリネン、それに陶器からプリンなどの身近なモチーフを、光や空気はおろか、触感までを引き出すかのように描く伊庭靖子。

2009年の神奈川県立近代美術館鎌倉館の回顧展に接した方も多いかもしれません。

ともかく伊庭と言えば今挙げたように、白く淡い光に包まれた日常、シンプルな美意識と、それを支える半ば写実性の高い表現力に大きな魅力があります。

今回展示された新作は主に陶器のシリーズ、10点弱です。

いずれもが一見、以前と同様、例えばオブラートに包まれながら朧げな明かりを纏って描かれているように見えます。変わらぬ美しさ、久々の対面に思わず嬉しくなってしまいました。

しかしながらそれは結果としてあまりにも短絡的だったと言えるのかもしれません。

しばらく作品の前に立つと何とも不思議、これまでの伊庭作品には少なかった絵具の厚み、また各々の色面に境界とも言うべき切れ目があることが見て取れます。

ずばり今回の展示は描法の変化が重要なポイントです。

ギャラリーのリリース(PDF)を引用してみましょう。

模様の部分の輪郭をぼかしてグラデーションをつけて描く方法から、光の部分をはずして浮き立たせることで、あたかも「光が張り付いているような」な視覚表現を試みています。

まさにこの「光が張り付いている」感覚、それは主語を「絵具」に置き換えても良いのではないでしょうか。

つまりこれまでのぼかし、沈み込むような感覚から、もっと言わば明快で、色に光がくっきり浮かび上がるような表現へと変わっていたのです。

どちらが好きかと問われると、私としてはかつてのスタイルと答えてしまうかもしれませんが、ともかくこの変化、殆ど戸惑いすら覚えるほどに大胆でした。

またひょっとすると構図の観点でもトリミングの要素が強まり、より抽象的な展開に近づいているのかもしれません。

「伊庭靖子 1995-2008」

7月14日まで開催されています。

「志水児王 Elements」 MISA SHIN GALLERY
会期:6月1日(金)~7月14日(土)
休廊:日・月・祝
時間:12:00~19:00
住所:港区白金1-2-7
交通:東京メトロ南北線・都営三田線白金高輪駅4番出口より徒歩4分。
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