「加藤美佳展」 小山登美夫ギャラリー

小山登美夫ギャラリー江東区清澄1-3-2 7階)
「加藤美佳展」
2006/12/16-2007/1/20

横浜美術館の「アイドル!」展にも出品があった、加藤美佳の個展です。新作の油彩3点と、木炭画数点、それに人形1点が展示されています。そのポップな画風に潜む、冴えた技巧もまた見応え十分でした。



「海辺に打ち寄せられたグラスビーズを使って作られたオブジェをモチーフとした」(パンフレットより。)という「みんなのお墓」(2006)からして魅力的です。リアリティーを追求せず、むしろそのガラスの放つ妖し気な光沢感を多分に表現した作品のようですが、そのパステル調のマチエールと、遠目から見るとさながら印象派を思わせるような温かい雰囲気が優れています。(タイトルは謎めいていますが…。)また、ビーズの塊が床に反射して写った姿や、右上のガラス玉に降り注ぐ光の筋(あたかも粒子が描き込まれているかのようにキラキラと舞っています。)が輝いていました。これは引き込まれます。

木炭画も充実していました。こちらは油彩よりもリアリズムに富んでいて、どれもその高いデッサン力を垣間みられる作品ばかりです。モノの質感が軽やかに、しかしながら鮮明に伝えられていました。素直に美しいと思います。

「アイドル!」展に出ていた作品とはまた趣きが異なっていたそうです。おすすめしたいです。(1/13鑑賞)

*関連リンク
「アイドル!」展(横浜美術館):出品作家・作品紹介
五島記念文化賞美術新人賞(H13)受賞
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「仙谷朋子『Touch of Sight』」 ZENSHI

ZENSHI江東区清澄1-3-2 6階)
「仙谷朋子『Touch of Sight』」
2006/12/16-2007/1/20

ZENSHIの開廊展でも印象深かった仙谷朋子の初個展です。とある公園の木陰を捉えた写真が、闇の中で微睡んでいる光の美しさを表現します。闇と光のブレンドが心地良い作品です。



仙谷の写真では、光と闇がともに対峙することなく、まるでコーヒーにクリームを入れた瞬間のようにゆっくりと混ざり合い、お互いの頬を撫でるかの如く優しく触れ合っています。作品は日中に撮影されたもののようですが、鬱蒼と生い茂る緑の下では、光はあくまでも闇を追い出すことなく控えめに揺らいでいるだけでした。葉のプカプカと浮かぶ日陰の沼に光が差し込んだとき、水面がメタリックな質感を帯びて輝き出し、葉が微かにキラキラと煌めきます。その光景から感じられるささやかな幸福感が魅力的です。

20日までの開催です。(1/13鑑賞)
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