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窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

私のきもの革命!日本のきものを未来へつなぐためにー第138回YMS

2022年06月09日 | YMS情報


 2022年6月8日、mass×mass関内フューチャーセンターにて第138回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。



 今回は、3年前の第114回YMS以来となる着物のお話しです。講師は、創業103年の着物専門店おがわ屋の小川淳様。小川様は今回のタイトルに「私のきもの革命!日本のきものを未来へつなぐために」とある通り、「きもので日本を元気にする!」、「きもので世界中の人々を幸せにする!」をミッションに掲げ、着物パーティ開催、着付け講座、オリジナル小物制作、きもの研究会、粋人倶楽部(男性着物倶楽部)等を主宰するなど、民族衣装「着物」を広め伝えるため活躍していらっしゃいます。

 さて、現在に至る着物の原型は平安時代に遡ると言われます。遣唐使廃止などで、日本独自の文化が花開くようになった時代です。その後、鎌倉時代にはほぼ現在の着物に近くなり、江戸時代の元禄期に着物文化は頂点に達しました。当時もちろん写真は存在しませんが、浮世絵から当時の特に女性の着物が実に多様であったことを伺い知ることができます。残念ながらここに掲載することはできませんが、今では見たこともないような図柄、技法は、当時の日本人がいかに衣装に情熱を傾けていたか、またそれを可能にする富の蓄積がなされていたかを現在に伝えています。ご興味がおありの方は、下記のサイトなどが面白いかもしれません。

日本服飾史
きものの文様の歴史

 面白かったのは、江戸の豪商石川六兵衛の妻と京の難波屋十右衛門の妻の東西衣装対決のエピソード。今で言えばセレブによるファッション対決ですが、それ位ファッションに対するブームが過熱していたということですね。さてこの対決、緋繻子(ひじゅす)に洛中図をあしらった小袖の十右衛門の妻に対し、六兵衛の妻は、黒羽二重南天柄。一見すると派手なのは十右衛門の妻だったのですが、何と六兵衛の妻の南天は一つ一つ珊瑚を縫い付けたものだったそうです。勝負は石川六兵衛の妻に軍配が上がりました。因みに、この石川六兵衛の妻は豪奢が行き過ぎたために将軍綱吉の逆鱗に触れ、財産没収の上、遠島を命じられました。

 その後、幕政改革で度々奢侈禁止令が出されました。その結果、「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)」と言われるように、地味な色の種類がやたらと増えることになりました。即ち、庶民が着ることを許される着物の色が茶・鼠・藍に制限されたので、許される範囲での新色が次々と登場したというわけです。また、表地は取り締まられているので、裏地に凝るといったことも行われたようです。

 なお、庶民の間では古着としての着物、今でいうリユースが盛んにおこなわれたようです。この辺は以前当ブログで「江戸の古着屋」としてまとめていますので、そちらをご覧ください。

 それほどまでに当時の日本人が情熱を傾けた着物ですが、現在は技法もデザインもカジュアル化。そして着物市場は全盛期の1/10にまでなってしまったそうです。当然、作り手が疲弊してしまうわけですが、着物は分業制の進んだ産業であるため、工程の一部が失われてしまうだけでも、全体の技術が衰えてしまいます。一方で工業的に量産された着物もありますが、着物に対する美意識、感性は失われるばかりです。

 現代日本人が着物を着なくなった理由としては、着る機会がない、どこで買えばよいか分からない、高い、手入れの方法が分からない、着方が分からない、保管場所がない等、様々あるようですが、小川さんがおっしゃるには、着物を着る場面は何も冠婚葬祭に限定する必要はないということです。むしろ着物不可という場面はほとんどなく、大抵の場合好意的に受け止めてもらえるそうです。

 シリコンバレーで事業を営んでおられる男性で、敢えてビジネスシーンで着物を着るという方がいらっしゃるそうです。理由は、グローバル化した世界だからこそ、自分が何者なのかをハッキリさせる必要があるから。着物は日本人であることのメッセージそのものだと言えます。現在、着物を着るのは9割が女性。小川さんは、男性にもっと着物を着てもらえるよう、「3分で着れるオトコのきもの」を開発し、普及に努めていらっしゃいます。

 僕自身、思えば12年前の九条館での煎茶会以来、着物から遠ざかっています。来年には50歳を迎えるにあたり、そろそろ着物もいいかなと思いました。

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わが子すら七人七色、況や…-第137回YMS

2022年05月16日 | YMS情報


 2022年5月11日、mass×mass関内フューチャーセンターにて第137回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。



 今回の講師は、株式会社NANASE代表、ものづくりコーディネーター、キャリアコンサルタントの石田七瀬様。石田さんには以前こちらでもお話を伺いました。テーマは、 「なぜ関わり方って必要なのか?社員を活かすも殺すもあなた次第」です。

 早速、「関わり方が大事なのか」についてです。労働人口、若年人口が減少し、大学生の就職内定率がバブル期をも超える数字となっている一方、中小零細企業は総じて人材不足に悩まされている傾向にあります。そうした環境の中、いつの時代にも一定数いる「従来の企業におけるコミュニケーションが通じない」人たちとの関わり方を考えなければ、人材確保が難しくなっています。石田さんはこうした悩みを抱える特に製造業を中心とする中小零細企業に対して、現場環境改善と同時に企業と伴走しながら「人づくり」をされています。正確に言うと、人づくりというより、その人が本来持っているものを引き出す、たまたま曇っている人を磨いて光を取り戻させる取り組みと言った方が良いかもしれません。

 そのきっかけの一つは、ご自身があるメーカーでお仕事をされていた時の経験でした。右も左も分からないまま、その会社の購買業務を任されるようになり、ベテラン社員から指導を受けていたものの、その社員がわずか1ヶ月で退職。仕方なく現場に入って図面の見方から勉強されたそうです。しかし、逆に現場をゼロベースで見られたことが、会社の中の常識にとらわれていた現場を変えていくことになります。僕もそうですが、渦中にいると問題を問題とも感じなくなる可能性があるのですね。その会社は作れば作るほど赤字を出す町工場だったのですが、購買の立場から最大85%のコストダウンに成功し、納期短縮で黒字化を成し遂げました。

 もう一つ、人材育成のきっかけは、その部署が他の部署で都合の悪い人材の寄せ集めだったことでした。しかし石田さんは自身もお子さんを片道1時間かかる保育園に送り迎えしなければならない事情があり、どんな人であれ頼らざるを得ませんでした。つまり、レッテルを貼っている余裕などなかったということです。例えば、挨拶すらまともにできない若手社員。前回のYMSの言葉で言えば、発達障害と呼ばれる人だったのかもしれません。しかし、その若者に頼り、寄り添って1ヶ月半から3ヶ月後、彼の才能が開花します。主に整理整頓の部分で力を発揮し、それまでお客様からの支給品さえなくしてしまうような会社、20人しかいないのに40人がかりで棚卸に3日かかっていた会社が、関連会社に応援を頼むことなくわずか半日で棚卸を終えられるところまで改善しました。その彼はお客様からも「変わったね」と変化を認められるようになったそうです。

 そうした製造現場の人と環境の変わりゆく様を身をもって経験されてきた石田さんですが、ご自身が21歳から1歳まで何と7人のお子さんを持つ母親であることの経験も大きかったと言います。自分から生まれたとはいえ7人いれば7人とも全く違う。同じことを伝えても通じる子もいれば通じない子もいる。わが子さえ関わり方をカスタマイズすることが重要なのに、増して他人の集まりである企業組織が関わり方に無頓着なのか?言われてみれば不思議なことです。

 さて、以上のような経緯を踏まえて、今回の事例に移ります。こちらも中小の製造業ですが、コンサルテーションにあたり200社以上のコンペを行ったそうです。その中で株式会社NANASEさんが受注された理由が、社長曰く、「『社長に問題があります』と言ったのはNANASEさんだけだった」とのこと。しかし、そうした諫言を受け入れ任せる度量と、何としても現状を変えて生きたいという思いを持つその社長さんも立派だと思います。

 その会社は年々作業効率が下がり、従業員は言い訳を並べ、モチベーションが低い。退職者が続出し、社長と従業員との意見の乖離が大きいといった状態だったそうです。石田さんがまず取り組んだのは、やはり直接現場に入り、従業員の本音を聞き出すこと。社内相関図を作成し、関係を洗い出すこと。従業員の本音と社長の考えをすり合わせ、真の問題の把握することでした。

 幸い、前述のように社長には「絶対変わる!」という意識があり、できるところから小さな変化を起こしていきました。詳しくは書きませんが、行うことは徹底した粘り強いコミュニケーション、「関わり」を諦めないことです。その結果、導入しただけで全く使われていなかったシステムの稼働率が、半年後には90%以上に上がり、現場が主体的に整理整頓を行うようになりました。

 ここでも「自分は認められていない」と卑屈になっていた中年社員の変化がありました。認められることによって、今までは「自分の仕事がない」と危機感なく過ごしていたのが進んで3Sや作業改善を行うようになり、自ら売上意識を持ち、手の空いた時間をスキルアップのために仕事を覚えたいと申し出るようになりました。注意点は、変わり始めても人の心には必ず波があるので、サポートは必要だということです。自転車もまずは補助輪付きから、というのと同じですね。心の波が下がった時にいかにフォローするかが大事。人の良いところを引き出すコツの一つは、その人の好きなことに絡めて話すと良いとのこと。

 もちろん、現実はきれいごとでは済みません。改善の過程では良くないこともありますし、全てが受け入れられることばかりでもありません。例えば、どんなに関わり方を変えても、物事を人のせいにしかできない人は一定数います。完璧はあり得ないのです。不完全であってもPDCAを回し続けることが大事で、小さな変化が次第に影響を及ぼしていくようになります。

最後に、本日のまとめの一言。

「他者を認めることは簡単ではない。どんな人にも光るものがある。それを生かすも殺すもあなた次第」

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身体から心を癒す、身体知の力―第136回YMS

2022年04月14日 | YMS情報


 2022年4月13日、mass×mass関内フューチャーセンターにて第136回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。今回は『刑事塾』3回シリーズの最終回、株式会社kibi代表取締役、榎本澄雄様より「元刑事が見た発達障害と身体知 自傷・他害・パニックを防ぐ90日アクションプログラム」と題してお話しいただきました。

【これまでのYMS×刑事塾】
第58回YMS「刑事塾:ビジネスで役立つウソや人間心理の見抜き方」
第94回YMS「元刑事が教えるウソ〔人間心理〕の見抜き方〜実践編 人狼ゲームで見抜く〜」
第126回YMS「サイバー犯罪担当元刑事が教える「SNS調査術」~ネット情報を駆使して人や会社の本質を見抜く」
第134回YMS「リスク管理の課題とヒント」
第135回YMS「自社を守り強くする。人事労務に役立つ!誰でも簡単に学べる!身につく!『刑事スキル7つの法則』」



 アイスブレイクを経て、早速お話しが始まりました。最初に取り上げられたのは、同じ自閉症の男の子、AさんとBさんのエピソード。Aさんはおむつが取れず、何時間も水遊びに耽る。他人に関心がなく会話もできない。嫌なことがあると支援員の腕に嚙みつくといった子だったそうです。一方Bさんもおむつが取れず、何時間も水遊びに耽る。こちらは他人に関心があり会話はできます。嫌なことがあるとパニックを起こすタイプの子だったそうです。

 一見、同じように見え治らないと思われていた二人ですが、榎本さんが20日間支援を担当したAさんの方に、著しい変化が起こりました。20日後、Aさんは水遊びをしなくなり、おむつが取れ、人のまねをするようになり、自ら絵カードを持ち出して会話を始めたそうです。支援員に噛みつくことは無くなり、社会性が生まれました。尤も、社会性の代償として人の好き嫌いも生まれたそうですが。一方、Bさんの方が残念ながらその後も大きな変化は見られませんでした。

 榎本さんはAさんに何をしたのか?Aさんは腎臓機能に障害があると見られ、水分を身体から排出することが上手くできませんでした。その結果、おむつが必要でしたし、周囲も水分の調整が上手くできないので、なるべく水を与えないようにしていました。驚くべきことにAさんは、四六時中水遊びをすることを通じて、皮膚から水分を吸収していたのだそうです。そんなAさんに榎本さんは運動で発汗を促し、水分を摂取させるようにしました。Aさん本当は運動が好きだったようで、「できる」という成功体験から自信が芽生えるようになりました。そしてある時、自らイラストの入ったカードを持ち出し、自己主張を始めるようになったというのです。これが治らないと思われていた自閉症の子に、わずか20日間で起こった変化でした。

 榎本さんがAさんに運動を促したのには、もう一つの狙いがありました。Aさんが他人に関心を示さないのは、ミラーニューロンの未発達が原因と考えられ、結果として人とのコミュニケーションが取れなかったのです。榎本さんは運動を通じて、運動神経、ミラーニューロンを育てたのです。考えてみると、人は赤ちゃんの時、周囲のまねを通じてコミュニケーション力を育みます。他者をまねることはコミュニケーションの基本なのかもしれません。

 このお話を伺って感じたことが3つあります。これらはいずれも密接に関わっているのですが、一つ目は、頭で指示したり、投薬によって顕在化している症状を押さようとするのではなく、身体と脳の不可分の関係性から根本の原因である身体にアプローチした点です。既に述べたように、Aさんの行動の原因は腎機能の不全、ミラーニューロンの未発達など、すべて身体と結びついていました。排泄が上手くできない、ずっと水と触れている、噛みつくといった行動は、結果に過ぎません。結果だけにアプローチしてもそれは良くて対処療法に過ぎないということです。このことは、薬剤師でありながら薬に頼るのではなく、食物や行為を生活に上手に取り入れることで体質を改善し、病気を予防することを唱えた第91回YMSの沖原さんのお話を思い出させます。心と身体に密接なつながりがあることは、私たちは文字通り「頭で」は分かっていますが、その割にあまりにも身体を疎かにしているようです。

 二つ目は、Aさんを養護すべき相手ではなく、共に触れあい、ダンスなど一緒に身体を動かしたという点です。榎本さんは刑事時代から取り調べの相手を容疑者としてではなく、クライアントとして扱うことで、相手と波長を合わせることを大事にしていたそうです。相手と波長を合わせるための大事な要素が、前述の「まね」です。従来のやり方は、このまねという非言語の部分を軽視し過ぎていたのではないかと思います。肌を触れ合い、共同作業として共に身体を動かし、達成感を分かち合い、模倣をする。こうした非言語の行為によって人は本質的に自分と他者との境界を取り払い、社会性を育んでいくのだと思います。言語的コミュニケーションももちろん大切ですが、Aさんに起こったことから推察するに、それはより高度な社会性を築くための手段、発達段階から見ればもっと後のことなのではないでしょうか。

 このことで思い出すのは、以前お話を伺った名古屋大学大学院准教授、川合伸幸先生の著書『心の輪郭―比較認知科学から見た知性の進化』に書かれていた次のようなエピソードです。



 上の動画に見られるような「インファノイド」と呼ばれる人型ロボットと遊んだ高機能自閉症の男の子が、そのロボットを気に入り、母親の携帯を通じて、「インフィー(ロボットの名前)によろしく」とメッセージを送ってきたのだそうです。それから半年経った後も、その子はインファノイドに愛着があったようで、再開した時には40分以上も一緒に遊んでいたそうです。ロボットは、人間が見ているとことに必ず目を向け、視線や指差しによって対面する人間の注意を喚起し、視界から人間が消えれば、顔を動かして探します。逆に視界に人間を捉えれば、そちらを振り向きます。プログラムされたロボットは、こうした非言語行動を徹底して行うのです。その結果、感情がなく、人間の感情を理解することもないロボットに対し、高機能自閉症の子供が心を開いたのでした。



 三つ目は、Aさんの変容がわずか20日で起こったことです。私たちは多かれ少なかれ日常生活で様々な人間関係の問題に直面し、自分や他者の変容の課題に悩みます。変容を望むなど永遠の課題ではないかと思われるほどです。しかし、治らないと思われたほどの自閉症のAさんに短い期間で起こった奇跡のような変容は、私たちが本質的に重要な要素を見逃していることを教えてくれています。その要素とは、上で述べた身体、情動、非言語の三つです。これに気づいたことは、大きな希望です。



 そして非常に大切だと思ったのは、当事者でない我々が今回のようなお話を聞いて、発達障害とはどのようなものであるのか、彼らを取り巻く環境にどのような問題があるのかを理解することです。何故なら、たとえ悪意はなくとも、偏見は無知・無理解から生じうるからです。





 今回は、昨年11月以来久しぶりに懇親会も行いました。そこでは、セミナーでは伺えなかったさらに深いお話し、受講者が抱いた様々な疑問に対する意見交換などがなされました。やはり、これがあってこそのYMS、触れ合いこそ社会性の基本であり、私たちはこれを失ってはいけないのだと改めて実感しました。

過去のセミナーレポートはこちら

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『刑事塾』シリーズ②なぜBCPが必要なのか?-第135回YMS

2022年03月15日 | YMS情報


 2022年3月9日、mass×mass関内フューチャーセンターにて第135回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。予定していた懇親会は、神奈川県の蔓延防止等重点措置延長により已む無く中止となりました。

 さて、『刑事塾』3回シリーズです。2回目の今回は、社会保険労務士の惠島美王子様より、「自社を守り強くする。人事労務に役立つ!誰でも簡単に学べる!身につく!『刑事スキル7つの法則』」と題し、特にBCP(事業継続計画)の基礎についてお話しいただきました。惠島先生は、最初の勤務地がわが地元横浜市南区だったとのことで、まず非常にローカルな話題でお話ができました。

【これまでのYMS×刑事塾】
第58回YMS「刑事塾:ビジネスで役立つウソや人間心理の見抜き方」
第94回YMS「元刑事が教えるウソ〔人間心理〕の見抜き方〜実践編 人狼ゲームで見抜く〜」
第126回YMS「サイバー犯罪担当元刑事が教える「SNS調査術」~ネット情報を駆使して人や会社の本質を見抜く」
第134回YMS「リスク管理の課題とヒント」



 まず、なぜBCPが必要なのかについてですが、私たちの会社を取り巻く環境には、自然災害、今まさに起こっている、新型コロナやロシアによるウクライナ侵攻といった社会的リスク、ビジネスのリスク、前回の堀先生のお話でもあったような(上の「第134回YMS」のリンクをご覧ください)、業務上のリスクといった様々なリスクが潜んでいます。中でも今回は、自然災害を中心にお話しいただきました。自然災害と言えば、僕の仕事でも、2019年に連続して訪れた台風15号、19号により、沿岸部の防潮堤が決壊するいったことがありました。わが社の工場は海から1㎞近く離れていたのですが、それでも40㎝の浸水がありました。幸い工場の床面を高くしていたので、最小限の被害で食い止めることができましたが、沿岸部にあった友人の会社では大きな被害がありました。つまり、リスクは非常に身近なところにあるということです。

 そうした有事の際に、果たして自分の会社は生き残ることができるでしょうか?これを考えることがリスク管理の基本になります。しかし、その際、私たちは次のようなバイアスがその妨げになり得ることを頭に入れておかなければなりません。

1.正常性バイアス:災害など非常時が身近にあっても、「自分は大丈夫」と思い込む心理
2.同調性バイアス:周囲と同調した行動をとることが安全だと考える心理

 いわゆる「アリの一穴」から大惨事につながる、それがリスクというものです。

 さて、しばしば混同されますが、防災計画とBCPの違いについてです。

1.防災計画:人命を守ることに主眼
2.BCP:事業が継続するための対策、計画

 つまり、防災計画はBCPの一部であり、BCPは最初に挙げた様々なリスクを包含した、より広い概念です。事例として挙げられた徳島県のある病院では、ランサムウェアの攻撃により、2ヶ月間業務が停止するという事態に陥りました。しかし、2ヶ月の業務停止で済んだのはむしろマシな方だったというのです。この病院では、システム上の問題も想定したBCPマニュアルを策定していたことが、天文学的被害に繋がりかねなかった事態を最小限に食い止めることに繋がりました。



さて、BCP策定の実務について、今回初めてBCPについて聞いたという参加者も少なからずいらっしゃいましたので、まず上の写真のような簡単なチェックリストで、自社の緊急事態に対する備えを確認しました。実際のBCP策定は、以下のようなプロセスで進められます。

1.基本方針の立案
2.重要商品の検討
3.被害状況の確認
4.事前対策の検討
5.BCPの定着

 4.の具体的な「事前対策の検討」部分ですが、いわゆる「ヒト、モノ、カネ、情報」という経営資源の観点から緊急時の対策を考えます。例えば、「ヒト」であれば、代替要員の確保や緊急連絡網の整備、平素からグループでの業務を運用するなどです。非常時における適法な時間外・休日労働については、事後的な労働局への届け出で良いそうです。また、非常時は「事業者の責めに帰すべき事由」に該当しないため、賃金不支給が認められる場合もありますが、雇用維持の努力は必要で、無条件に解雇が認められるわけではありません。こういった、様々に曖昧な部分があるからこそ、非常時を想定した対策を確認しておく必要があるのです。

 さて、『刑事塾』シリーズなので、警察関係の小話をひとつ。白バイ隊員はなぜ首に白いスカーフをまいているのでしょうか?理由はいざという時、止血用の包帯として使えるからだそうです。そういえば、仮面ライダーも1号と2号はスカーフを巻いていた気がしますが、V3以降は早くもサボっていますね。リスク対策は時の経過とともに風化していくということかもしれません。それ自体もまたリスクとして、定期的な見直しや訓練が必要だと思いました。わが社もできていること、できていないこと、まだやれることなど様々な気づきがありました。

 また、今回オンライン中継のトラブルで、冒頭のかなりの時間をその対処に割かれる事態となりました。いみじくも、YMSもリスク管理が必要であることが浮き彫りとなりました。

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身近にあるリスクとその管理―第134回YMS

2022年02月14日 | YMS情報


 2022年2月9日、mass×mass関内フューチャーセンターにて第134回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。神奈川県の蔓延防止等重点措置により懇親会は中止となりました。

 さて、今回から『刑事塾』3回シリーズです。その第1回目は、ベストブレイン株式会社の堀尚弘様より、「リスク管理の課題とヒント」と題してお話しいただきました。

【これまでのYMS×刑事塾】
第58回YMS「刑事塾:ビジネスで役立つウソや人間心理の見抜き方」
第94回YMS「元刑事が教えるウソ〔人間心理〕の見抜き方〜実践編 人狼ゲームで見抜く〜」
第126回YMS「サイバー犯罪担当元刑事が教える「SNS調査術」~ネット情報を駆使して人や会社の本質を見抜く」

 堀さんは警視庁に入られ、長く公安部におられました。少なくとも我々の世代であれば誰もが知る大型経済事件やテロ事件に関わってこられました。退官後起業され20年になるそうです。

 我々企業人の身近に潜む様々なリスクの中で、今回は以下の点についてお話しいただきました。

1.社員・職場関係のリスク
2.業務・取引関係のリスク
3.両者に重なるリスク

 生々しい事例が数多く登場しましたが、ここに書くこともできませんので以下ではお話しの要点をまとめたいと思います。



1.社員・職場関係のリスクについて

 業務以外の個人飛行についての教訓(ある有名企業幹部の事例)。

 本人の証言に合理性はあるのか?
 誰が第三者的に判断するのか(本人の一方的証言のみで判断してよいのか)
 「性弱説」(注)を持って見直す必要

注:人は基本的に悪いことを積極的にしようと考えているわけではないが、非常に脆く弱い存在であり、状況や環境によっては悪いことをしてしまう(つまり魔が差すこともある)ものであるという認識のこと。

 被害者の泣き寝入りがあってはならない、会社の問題として捉えなければ大きなリスクに発展する可能性がある。
 加害者の「覚えていない」は通用しない(実際、裁判所は被害者の証言をもって有罪判決を下しました)

2.業務・取引関係のリスクについて

【社内】
 通報制度は密告とは違う、社員を守る行為である
 社内コミュニケーション(特に上司と部下の)委縮の解消
→部下に「相談しても大丈夫」と感じさせる「3つの一言」(良い所の気づき、存在を感じさせる、失敗しても頭ごなしに怒鳴らない)
 相談、ヒアリングのスキルを上げる(上手な相談は拡散する。また、不正を正当化する行為に対する牽制にもなるなど、複数の効果が期待される)
 ヒアリングは取り調べではない。難しく考える必要がないが、思い込みに注意。
 世間話→確認・査定→締めのプロセスを辿る。各段階で相手の反応を観察、裏にある感情を探る
 会社が変わるという期待感が醸成された段階で、「兆候アンケート」を実施(リスク管理に取り組んだポジティブな成果として、社員の定着率が上がったということがあった)。

【社外】
 増加する悪質クレーム、カスタマーハラスメント、炎上
 本社総務の警察OBが顧客を反社と決めつけたことが火に油を注ぎ、大事件に発展したことがあった

※「反社」の定義は曖昧
指定暴力団・・・法令で認定要件が具体的に決まっている
非指定暴力団・・・法令で認定要件
反社会的勢力・・・・法令で決まっていない

 過剰な特別扱いしない、異常な相手の理解や共感を求めない
→ただし、本当に悪質なクレーマーは稀なケース
 公平・公正な手続きを踏む
 無理難題が通じないことを気づかせる
 大切なのは道義的謝罪(「謝ってはいけない」というのは誤り)→事実・要求の確認(挙証責任(注)を意識)→締め括り(氏名、連絡先の確認)

注:訴訟上、ある事実の存否が確定されない場合、そのことによって一方の当事者が受ける不利益な負担のこと。民事訴訟では事項により原告と被告とに分配され、刑事訴訟では原則として検察官が負う。証明責任、立証責任ともいう。

 対応を中断する基準を定めておく。場合によっては警察を呼んでも良い
 悪人はアイコンタクトが優れている 同調と豹変で相手を疲弊させる

【ケーススタディ】
※以下のようなケースへの対応
「誠意を見せろ!」
「以前は良かった、差別か?」
「分かったんだな?」
「土下座しろ!」

※逆に言ってはいけないこと
炎上ワード:差別、政治、衛生に関するもの
地雷ワード:誤解を招いたとしたら 「~としたら…」

 知識不足がトラブルに発展することもある、早めにアドバイザーに相談することも必要。

3.両者に重なるリスクについて(リスク管理のポイント)

 違和感の有無をチェックする
 登記、名刺、話し方 客観性のある違和感に要注意
 アドバイザーは必要
 企業防衛指針の3つのレベル(すぐやめろ 注意しろ 経過観察しろ)
 普段どう予防するか(リスクオタクのマニュアルは役に立たない)
 最悪事態(注)にいかにダメージを最小化するか、収束時、どう信用回復に努めるかを考える
 4つの責任を意識

予見(想定)
回避(対処)
説明(記録)
社会的責任(法的責任とは違う)

 2つの成果(効率性とポジティブ/ネガティブな効果)の効率的な獲得を目指す
 誹謗中傷はスルーが一番
 相手担当者に問題がある場合、その上司との関係を作る

注:起きてはならない事態にあってはならない原因が指摘される事態のこと。



 日頃中小企業に身を置いていると、「そんなことが本当にあるのか?」と思うような驚くべきことが日常で現実に起きていることに気づかされます。ただ、事例の根底にある様々な要素に目を向けると、決して我々も無関係なことではないと思いました。

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最強のメンタルトレーニングは「感謝」-第133回YMS

2022年01月14日 | YMS情報


 1月12日、mass×mass関内フューチャーセンターにて、第133回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。12年目を迎える、2022年最初のYMSです。



 今回の講師は、ボクシング第25代日本ライト・フライ級チャンピオンで、現在、神奈川渥美ボクシングジム会長の本田秀伸様。「願望とモチベーションープラス思考の落とし穴」と題してお話しいただきました。

1.選手として

 本田さんは宮崎県出身。小学生から中学生までは空手をやり、ボクシングの強豪校日章学園でボクシングを始められました。キャプテンを務められるほどでしたが、本人曰く、「運動が苦手で、足も遅い」とのこと。インターハイではあがり症を克服できず力を発揮できなかったそうです。

 卒業後、プロ転向を決意し、大阪のグリーンツダジムへ。後にWBA世界ライト・フライ級王者となる山口圭司選手のパンチが見えず、現実に絶望されたそうですが、とにかく3年はやると決意して精進。3ヶ月後にプロデビューを果たし、この時あがり症を克服したそうです。克服の秘訣は、「負けて一番悔しいのは自分」、「誰も僕に関心なんて持っていない」というマインドセットだったそうですが、逆にそれが限界にもなりました。

 2年後、日本ライト・フライ級王座獲得(6度防衛)。この頃、「ディフェンス・マスター」と呼ばれるようになったそうです。本当に運動が苦手だったのでしょうか…。

 その後、メキシコ、アメリカなどで修業。ラスベガスでは、あの3階級王者マルコ・アントニオ・バレラのスパーリング・パートナーもされたそうです。



 2002年、田中光輝選手との国内最強決定戦に勝利した後、WBCフライ級タイトルマッチに挑戦。当時97戦91勝のチャンピオン、ポンサクレック・ウォンジョンカムに判定負け。



 2003年には、WBAスーパー・フライ級タイトルマッチに挑戦。当時23戦23勝23KOのチャンピオン、アレクサンドル・ムニョスに判定負けしますが、ムニョスの連続KO記録をストップさせました。2010年、35歳で引退。

2.指導者として

 さて、ここからが今回のテーマである「願望とモチベーションープラス思考の落とし穴」のお話しです。まず、人生を反応的に生きるのか、主体的に生きるのかということですが、人間は「何をするのかを考えられる生き物」、つまりこれから起こると想定されること対してシミュレーション(=段取り)をすることができます。ボクシングにおいてもこの段取りが非常に大切だそうです。

 一方、未来のことについて考えられるだけに、人は実際起こってもいないことに対して心配になったり、後悔したりすることもできてしまいます。むしろ、危険に対する防衛機能としてネガティブに考えるようにできているとさえ言っても良いかもしれません。しかし、起こってもいないことに対して心配したり、「どうせだめだ」と結果が出る前から諦めてしまったりすることが人生にマイナスの影響を及ぼしてしまう側面もあります。

 このマイナス思考に対置されるのが、プラス思考です。プラス思考とは予祝(前祝いをして現実を引き寄せること)と楽観主義のことですが、ここに落とし穴があります。未来のことについて「どうやったらできる」と考えるのは良いのですが、都合の良いシミュレーション(希望的観測)に偏るという過ちをおかしがちだということです。

 いくら都合の良い未来をシミュレーションしても、現実は都合の良いことばかりではありません。そうすると、都合の悪い様々な障害に対する準備ができていないので、いざ試合になるとシミュレーションが全く役に立たないということになってしまいます。本田さんの経験では、先に述べたムニョス戦。この時、ムニョスの癖を見抜き、ことごとく強打を躱すことができたにもかかわらず、「勝つプランしか見ていなかった」そうです。そのため想定した相手の動きしか見えていなかったとのことでした。本当のプラス思考とは、「予祝をエネルギーとして、リスクも含めた仮説検証を繰り返す」ことだと、本田さんはおっしゃっています。

 大事なことは、自分でコンロトールできないものに対してまで心配しないこと。また、起きた出来事を変えることはできませんが、それに対する解釈は変えられるということです。プラスに解釈し、コントロールできることに集中します。

 とはいえ、コントロールできないものに対しても不安になってしまうのが人間。例えば、23戦23KOの強打の持ち主をどうにかしようと思っても、どうにもなるものではありません。しかし、誰だって殴られたくはないですよね?対処法は「なるようにしかならない」と考えることと、「感謝」することだそうです。感謝は強力なメンタルトレーニング、感謝している時には後悔、心配が小さくなります。対戦相手に感謝できるようになると、相手を必要以上に恐れることなく、等身大に見えるようになるのだそうです。一流選手が感謝を口にするのは、感謝が身についているからこそ一流のレベルに到達できたとも言えそうですね。

 そして「感謝」することも練習が必要。日頃身の回りにあることから感謝する癖をつけておかないと、それこそ先に述べたように都合の良い時だけ感謝しようと思っても無理だということです。この身近なことからできる感謝、非常に奥の深いことですが、子供の方がむしろ素直に受け止め、喜ぶのだそうです。

 ボクシングという厳しい世界で活躍されてこられた経験談から来るお話しは、当たり前のように思えることにも重みがありました。感謝することと、「いま・ここ・わたし」に集中すること、133回を迎えたYMSもその二点から見つめ直してみたいと思います。

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無事11年目のバトンを繋ぐことができましたー第132回YMS

2021年12月09日 | YMS情報


 12月8日、横浜中華街ローズホテルにて、第132回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。



 横浜中華街も気がつけば年末の装い。



 ローズホテルは忘年会として開催した第3回YMS、第15回YMS、そして第100回の記念パーティでもお世話になりました。写真左はちょうど10年前の第15回YMS、右は第100回記念パーティです。



 7ヶ月の中断を余儀なくされた昨年と比べ、今年は8月を除き無事開催することができましたが、それでも10月まで懇親会なし研修のみとならざるを得ませんでした。人数を絞っての開催ではありましたが、やはり懇親会あってのYMSだとしみじみ感じました。会場がmass×mass関内フューチャーセンターの1階から2階に移り、本格的にオンライン参加のオプションを導入した年でもありました。

 YMSは「誰もが講師」をモットーに、皆様からのご紹介を繋ぐことで11年開催してきました。これまでお話しをしていただいた講師のべ116名、参加者数はのべ2,413名を数えます。来年も第141回まで予定が決まっておりますが、「こんな面白い人がいる」という方、ぜひお待ちしております。

 みなさま、良い年の瀬をお迎えください。 

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大阪と結んでの利他セミナー-第131回YMS

2021年11月11日 | YMS情報


 11月10日、mass×mass関内フューチャーセンターにて、第131回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。



 今回の講師は、YMS最多登壇(8回目)のお馴染み野原秀樹先生。インプロ(即興劇)を得意とされる野原先生の講座では、毎回歌ったり、踊ったり、芝居をしたりの連続(オンラインセミナーでさえ、「謎解き」でした)だったのですが、今回は何と「踊らない」セミナーです。

<過去の野原先生によるYMS>
第33回(2013年4月):「ドラマチックコミュニケーション~今、求められるコミュニケーションスキルとは?~
第44回(2014年3月):「『ドラマチックコミュニケーション』で非言語スキルアップ!!
第55回(2015年2月):「コミュニケーションを楽しもう!!エンジョイカード『ワイワイ』で話し上手・聞き上手
第66回(2016年1月):「インプロ(即興)で会話力を磨け!! 体感『ドラマチック・コミュニケーション』
第77回(2016年11月):「『インプロ』で楽しい時間を過ごしませんか?感度を磨いて創造しましょう!
第99回(2018年9月):「成果を創造するファシリテーションスキル
第118回(2020年7月):「オンラインでチームビルディング『謎解き』ワークを楽しもう!!



 テーマは「企業文化として根付かせたい『利他の精神』」、野原先生が展開する「利他メソッド」の概要と、今回新たな試みとして、利他メソッドを実践されている大阪の企業人の皆様とオンラインでつなぎ、生の体験談をうかがいました。平日のご多忙の中、ご参加いただいた大阪の皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。

 さて、さっそく野原先生より問いかけです。「利他の精神」と聞いてどのような印象を持ちましたか?

<会場の参加者より>
●最近よく聞く言葉。
●渋沢栄一の『論語と算盤』が注目されたように、古くて新しい言葉という印象。
●精神世界、宗教的イメージがある。
●日本には古くから「三方よし」の精神がある、多くの企業人が共有している精神ではないか?

 なぜ野原先生が企業に「利他の精神」を根付かせたいと考えているかと言うと、これからの時代は「人財」が企業価値を高めると考えられており、その人財づくりのために利他の精神が欠かせないためです。

 「人財」への注目は実際に近年の潮流としてあり、例えば財務情報だけでなく、環境・社会・ガバナンスなども考慮したESG投資が拡大する中、「人的資本経営」が注目されるようになっています。人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方のことを言い、企業に人的資本の情報開示を求めるガイドラインとして、2018年に国際標準化機構より「ISO30414」が設けられています。アメリカの証券取引委員会は2020年8月に、上場企業に対し開示を義務化しました。

 また、経済産業省は2020年9月に、「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書」(いわゆる人材版伊藤レポート)を発表しています。同報告書は、①経営戦略と人材戦略の連動、②As-is To-beギャップの定量把握、③企業文化への定着の3つの視点と、①動的な人材ポートフォリオ、②知・経験のダイバーシティ&インクルージョン、③リスキル・学び直し、④従業員エンゲージメント、⑤時間や場所にとらわれない働き方の5つの要素から構成されています。野原先生は、④従業員エンゲージメントが、「利他の精神」を企業文化として定着させることと密接にかかわると考えています。

 では、その「利他」とは何か?辞書的な定義ではなく、野原先生が企業での実践の中で導き出したのは、

「他のために」を念頭に置き、「自分という枠を取り払い」、「自律的に」行動し、感謝と喜びを実感している状態

 簡単に言えば、①他のために何かしたいと思う心であり、②役に立てて有り難い、嬉しいと思う心であり、③他の喜びを自らの喜びとする心のことです。この「利他の精神」が土台にあって、近年注目されている心理的安全性の醸成や、エンゲージメントの向上、ウェルビーングが可能となり、結果として生産性の向上へとつながります。

 「利他の精神」を企業に文化として定着させていくための方法論が「利他メソッド」であり、何よりも①経営者の想いを言語化し伝えることから始まり、②経営層と想いを共有し、③より良い人間関係を構築していくというステップを踏みます。

 さて、このステップについて、「利他メソッド」を実践されている大阪の中小企業(製造業)のA社長に聞いてみました。

「人間の本質として、誰かのために何かをした時、必ず何かの形(感謝)でかえってくる。自分が相手に対して行動を起こしたことが報われる。このやり取りを繰り返すことで信頼関係が築かれ、距離が縮まる。そして人が自主的に動き出し、経営実績が向上する。

当社には『唯一無二』という価値観がある。会社も個人も唯一無二であろうということである。それは何かをして、相手に想いが通じて初めて可能になるもの。したがって、そのベースになるものが『利他』だと考えている。利他の精神を根付かせようと取り組み始めた当初、『管理者とは何か?』を問うてもありきたりの答えしか返ってこなかった。そこで管理者の役割を『社員の幸せを考えること』と定義し、ベクトルを合わせていった。その結果会社が劇的に変わり、笑顔があふれる企業風土になった」


 つづいて、大手生命保険会社のB支社長のお話しです。

「自分は11店舗、400人の女性営業職員を統括している。支社長の在籍年数が2年~3年という職場にあって、社員との距離を縮める方法はないか?と考え、これまでのべ1,000人の職員にバースデーカードを送り続けている。女性職員は彼ら同士でもらったカードを見せ合う。そんな時、決まり文句を書いていては気持ちが通じない。そこで、1年目は、一人一人のこれまでの行動からカスタマイズされたメッセージを送る。2年目は目標達成状況を踏まえたメッセージを送る。この効果を数値化するのは難しいかもしれないが、職員はずっとカードを持っていてくれたり、お礼の電話をくれたりする」

 そこで、同社の女性職員Cさんに、実際どう感じたのかを聞いてみました。

「自分はその400人のうちの一人。他の支社長もバースデーカードをくれる。しかし、定型文だったり、直近の仕事の話だったりすることがほとんど。しかしB支社長はこれまでの実績を見てくれる。さらに、新人を含め全員にくれる。野原先生の研修を通じ、B支社長のお話をうかがい、心の底にある思いがさらに理解できるようになった」

 YMSの参加者にも聞いてみました、Dさん。

「今はコンピュータを相手にする仕事だが、かつては50名程度の女性の中で男性一人という職場で働いていたことがある。なじむためにクッキーを焼いて持って行ったことで、ちょっとしたことで人間関係が大きく変わるという経験をしたのを思い出した。彼らとは今でも付き合いが続いている」

 再びA社長です。

「自分の会社に入った時、20年以上赤字が続いていた事業部があった。そこは雰囲気が悪く、縦割りの色が濃かった。そんな事業部のメンバーが、野原先生の研修でインプロをこなすことにより、一人一人自分の殻を破り、お互いの距離が近づくようになった。何より、一つの目標に合わせて力を合わせることを覚えた。つまり、それまで人のせいにし合っていた製造、資材、開発、営業が、自発的にお互いの問題を解決しあうようになったのである。この事業部の先月の利益率は20%を超える。職場の雰囲気が明るい。社員が幸せそうであることが嬉しい」

 YMS参加者Eさん。

「銀行に勤めていた頃、15名ほどの部下と一人一人昼食をとっていた。特に成績の悪い部下ほど密に接するよう心掛けた。こうした試みは社員のモチベーションを上げると思う」

 YMS参加者Fさん。

「自分は社長だが、まだまだ好き嫌いが出てしまう。業界自体が伝統的に上から目線の高圧的な風土。自分の会社も先代まではそうだった。それを自分なりに変えてきたが、今日の話で納得することが多かった。意識改革のためもっとやれることがあるのではないかと思っている」

 YMS参加者Gさん。

「自分は臨床心理士として、経営者に関わる立場。確かに業績の上がっていない企業は、文化として信頼関係が築けていない。しかし、企業文化は長年築かれてきたものなので、社員の認知として定着してしまっているところに変える難しさを感じる。それでも取り組んでいかなければならないと感じている」

 マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授は、「結果の質」を高めるためにはまず「関係の質」を高めよという「組織の成功循環モデル」を提唱しました。その際にカギとなるのはやはり、上記3つのステップの内最初の2つが経営者に関するものであったように、「経営者」だということができます。

 では3つのステップの最後、「より良い人間関係を作る」のに大切なことは何でしょうか?様々な意見があると思いますが、野原先生は「自己開示」であると言います。この自己開示には、自分の自己開示と相手から自己開示してもらうことの両方が含まれます。また、挨拶、共感を示す、相手に何かを依頼するといった、「自分の感情や願望を相手に伝える行為」はすべて自己開示に含まれます。相手からの自己開示も含まれるということは、この自己開示は相手の自己開示を「受け止める姿勢」とセットということになります。野原先生の言う広い意味での「自己開示」が「相互理解」につながり、「相互理解」は「コミュニケーションを活発化」し、「自発的協力行動」が生まれ、さらに「相互理解」を深める好循環を生み出します。

 この点について、さきほどのB支社長に聞いてみました。

「自律と協働まで行けていれば理想的だが、心理的安全性までは(自分たちの職場は)行っていると思う。特にコロナ禍で顔と名前が一致しないという特殊な状況の中、バースデーカードは「人となり」を伝える媒体となっている。今は集まることが難しいが、前任地では飲み会の席でカードの話題が出ることもあった。

コロナ禍で毎日朝礼ができなくなったため、毎月5分ミニ動画を作成し、発信するようにしている。例えば、『頑張らなあかん』というときは法被を着たりして、想いをビジュアル化するような工夫をしている」


 先ほどのCさん。

「B支社長の行動が相互理解として受け止められているか?全員がそうではないかもしれないが、接触回数の多い人ほど伝わっていると思う」

つまり、根気よく繰り返しが大切だということですね。

 3つのステップからさらにブレイクダウンして、「利他」を感じるための取り組みには、次のようなものがあります。

①傾聴、共感、承認→自己肯定→他者肯定
②<ここからが難しいのですが>自ら願っての行動、実践→利他の実践
③お役立ちの実感→利他の心
④感謝する、感謝される→感謝の心

 最後に、A社長に「利他」を感じるための取り組みについてうかがいました。

「幹部職員が自主的に行っている朝会がある。当社には社員が作成した43項目からなるフィロソフィーがあり、小冊子にして社員が持っているが、こちらが何を言うでもなく、社員から自発的にこのフィロソフィーから好きなものを選んで発表する活動が始まった。もう一つ、『喜びノート』と呼ばれる、人にしてもらったことを素直に語る時間がある。最初は照れくさいが非常に効果がある。

人間関係は感謝し、感謝されることから始まる。先日、とある工場の社員が母親の危篤で実家の沖縄に帰らなければならなくなった。彼の仕事を肩代わりできる社員は別工場にいたが、そこは非常に忙しい工場であった。それにもかかわらず、その工場の仲間が力を合わせて穴埋めし、そのスキルを持つ社員を快く応援に送り出した。身内の不幸から戻ってきた社員は涙を流して感謝していた。

当社で働く意義は?昔なら生活のため、収入のためだった。それが今は『恩返し』に変わった。ある社員から再び『生活のため』という声もあった。しかし、その意味は昔のそれとは違うものだった。つまり、最早会社が自分の生活と切っても切り離せないものになったという意味だったのである。我々がやっていること自体は地道なこと、しかし必ず大きな喜びとなって返ってくると信じている」


 上のGさんに教えてもらったことですが、従業員が自発的に同僚を助け、その援助が集積することにより、組織の効率や機能が高まると考える「組織市民行動(Organizational Citizenship Behavior)」と呼ばれる心理学の概念があるそうです。オーガン(1983)によれば、組織市民行動とは「①任意の行動であり、②公式の報酬システムによって直接、もしくは明確に承認されているものではなく、③集合的に組織の効率を促進するものである」と定義されています。利他の精神はこの組織市民行動の基底にあるものであり、利他メソッドは人間が本質的に持っている利他の精神を組織市民行動に発展させる水先案内人の役割を果たすものと言えそうです。







 さて、自分の殻を破り、関係の質を高めるため、今年に入って初めて中断していた懇親会を再開しました。

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いつでも間に合う本気の婚活-第130回YMS

2021年10月14日 | YMS情報


 10月13日、mass×mass関内フューチャーセンターにて、節目となる第130回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。今回は、11年間ありそうでなかった婚活のお話です。



 講師は結婚相談First Bite、真辺多佳子様。大手結婚相談所を経て昨年12月に婚活コンサルタントとして独立されました。「35歳からの本気(マジ)の婚活を本気(マジ)で応援する」をモットーに、ご活躍されています。

 真辺さん曰く、婚活はマーケティングと同じで、一人一人に合った戦略が必要とのこと。お話の中心は便宜上男性の婚活についてでしたが、本質的なことは男性でも女性でも変わりません。

 データによれば35歳から結婚率は激減、35歳~40歳に結婚した人というのは全体のわずか4%に過ぎないそうです。生涯未婚率は上昇を続け(23%)、今や男性の4人に1人は独身。

 結婚を望んでいるけれども、結婚できない男性の共通点は①出会いがないこと、②女性が結婚相手に望む条件を把握していないことの二点だそうです。出会いがないというのは読んで字のごとくとして、では、「女性が結婚相手に望む条件」とは何か?様々あるでしょうが、要約すれば『「幸せな」結婚「生活」を送ること』と言えるそうです。「幸せな」と「生活」という二つの但し書きがミソで、結婚がゴールではないということですね。

 したがって、婚活の確度を高めるには、「女性が求める男性像に近づくこと」が大切であって、かつ出会わないことには始まりませんので、出会いの数が大切ということになります。すなわち、

出会い×魅力

この数値を高めるための戦略を考えることが確度を高めることに繋がります。

 ところで、出会いの数はどのくらいで会えばよいのでしょう?データによると、なんと月4回出会っていても、上手くいくマッチング率はわずか20%に過ぎないそうです。確かに「出会いがない」という人は、そもそも出会うための具体的な行動に乏しいと感じることはありますが、それにしてもそれぞれ新たな人と月4回出会うというのはなかなか高いハードルではないでしょうか?35歳を過ぎているのならなおさらという気がします。それでも20%とは…。

 得心しました。だから、結婚相談所があるのですね。真辺さんが所属されている日本結婚相談所連盟(IBJ)には、全国7万人の会員がいるそうです。マッチングアプリと違う点は、さまざまなプロフィールが明確であること、つまり偽装のリスクが低いということです。

 これだけの頻度で出会うだけでもなかなか大変ですから、出会うからには有意義なものにしたいですよね。そこで二つ目の「魅力」が大切ということになるのですが、相手を変えることはできなくとも、自分を変えることはできます。そのためは、自分の現状を客観的に把握することが第一歩となります。

 いわゆる「魅力」というものを、外見力、行動力、思いやり、財力、会話力の5要素として見た場合、婚活におけるそれぞれの要素とは具体的に何を指しているのでしょう?

①外見力:外見は自分で作ろうと思えば作れる。何より清潔感と笑顔。
②行動力:他人より先に行動する、感謝・謝罪・挨拶を忘れない。
③思いやり:相手目線、相手の感情にのってあげる。自分の感情も言葉にして出す。結果ではなくプロセスを褒める
④財力:仕事に対して前向きか?
⑤会話力:何を話すかより、笑顔

 当たり前と思われた方もいるかもしれませんし、意外と盲点だったという方もいるかもしれません。また、自分が他人(特に男性であれば女性)から見てどのように見えるかというのはなかなか分からないかもしれませんので、人に聞いてみるというのも良いでしょう。

 その他、婚活の世界では自分のタイプを知る「ハートグラム診断」という性格診断ツールがあり、オンラインでも受けられるようです。

 婚活というのは、自分を知り、人を知るための活動と言えそうです。そしてそれは必ず相手のあることですので、相互作用によってお互いの魅力を高め、ひいてはその魅力から幸せになるための活動ということができそうです。その過程では辛いこともあるかもしれませんが、人生にとってプラスになる深い営みだと感じました。

 ※次回、11月10日開催予定の第131回YMSより、情勢を見て懇親会を再開する予定です。

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健康に王道なし-第129回YMS

2021年09月09日 | YMS情報


 先月はお休みでしたので、9月8日、2ヶ月ぶりに第129回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました(於:mass×mass関内フューチャーセンター)。今回のテーマは、「保健師が伝える『健康診断結果の見方』」。深川ギャザリアクリニック保健師の原田由佳様にお話しいただきました。

 個人的には、1年に1度会社で受診する健康診断は大きなイベントです。サボる年もあるのですが、毎年健康診断のある7月(今年は6月でした)をターゲットにダイエットをしています。これまでのダイエット法は食事制限をせず、ジムで膨大なカロリーを消費する、要するに力任せにやっていました。しかし、48歳になった今年、初めてPFCバランス(蛋白質、脂質、炭水化物の摂取比率)を意識した食事制限と、週3回、1回40分程度の自重トレーニング(腕立て、腹筋、スクワット、懸垂)によるダイエットに取り組みました。その結果、お正月には68.8kgsだった体重が7月9日には60.1kgsと過去15年で最低となり、しかもこれまでのダイエットで課題だった、骨格筋量を減らすことなく脂肪だけを落とすことに成功しました。現在は食事制限を緩和し、標準体重の63kgsに戻しています。

 閑話休題。さて、講義の中では健康診断の検査項目についての解説と健康のための注意点がありました。個人的には、脂質代謝系、肝機能系、尿酸値には注目していましたが、血圧などはずっと正常値であまり気にしていなかったため、勉強になりました。観察している肝機能系でも、今年は思ったほどLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が減らなかったなという反省があったのですが、お話しを聞いて、有酸素運動が少なすぎたのかなと思いました。1月~6月は月の半分程度摂取カロリーを制限していた(基礎代謝1,500kcalに対して、平均1,080kcal)ので、ひょっとしたら身体が飢餓状態と認識し、コレステロールを貯めていたのかもしれません。因みにHDLコレステロールとLDLコレステロールの比であるLH比は1.74でした(基準値2.0以下)。

 また、肝機能についても、γ-GTPばかりに目が行きがちですが、肝細胞がダメージを受けているかどうかを診るAST(GOT)やALT(GPT)もチェックしておいた方がよいとのことでした。これらの数値は、骨格筋細胞が損傷しても上昇するそうです。健康診断直前に激しいトレーニングは控えた方が良いのでしょうね。全然気にしていませんでした。

 各項目の「基準値」ですが、これは基準値=正常値ということでは必ずしもなく、基準も検査機関により異なるそうです。また、判定の名称についてもまちまちだそうです。従って、たとえ「異常なし」と判定されたとしても、体調に異変を感じたら検査を受けた方が良いとのことでした。また、「要精密検査」というのは名前から受ける印象ほど深刻でないことには安心しましたが、それでも検査結果が出たらなるべく早めに再検査した方が良いとのこと。一方、糖代謝や肝機能などが「要再検査」であって、3ヶ月ほど生活改善をしてから検査に行くというのでも構わないのだそうです。血圧であれば2週間ほど。



 それから、食事は3回にきちんと分けて取った方が良い。また、できる限り20時以降の食事は避ける。俗に「肥満遺伝子」とも言われる、脂肪細胞の中で脂肪酸・コレステロールの合成を活性化させる一方、脂肪酸の分解を抑制するBMAL1(ビーマルワン)が、16時頃より活性化し始め、22時から2時にかけて活動のピークを迎えるからだそうです。どうしてもお腹がすくようであれば、クルミなどナッツ類を摂る(食べ過ぎに注意)。そして、前述のPFCバランスですね(蛋白質13%~20%、脂質20%~30%、炭水化物50%~60%)。流行りのファスティングや炭水化物を極端に減らすダイエット法は、個人的にも疑問を持っていました。

 健康維持にあたっては食事とともに欠かせないのが運動。やはり健康に王道なしですね。僕もコロナ以降ジムは退会してしまいましたが、時間の確保が難しい方は、細切れの時間を使って1日数回に分けて運動するのでも、健康管理という視点から言えば構わないのだそうです。

 僕もそれなりの年齢になってきましたので、今まであまり気にしていなかった血液系や糖代謝系の値などにも注目していこうと思います。

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