窪田恭史のリサイクルライフ

古着を扱う横浜の襤褸(ぼろ)屋さんのブログ。日記、繊維リサイクルの歴史、ウエスものがたり、リサイクル軍手、趣味の話など。

『刑事塾』シリーズ②なぜBCPが必要なのか?-第135回YMS

2022年03月15日 | YMS情報


 2022年3月9日、mass×mass関内フューチャーセンターにて第135回YMS(ヨコハマ・マネージャーズ・セミナー)を開催しました。予定していた懇親会は、神奈川県の蔓延防止等重点措置延長により已む無く中止となりました。

 さて、『刑事塾』3回シリーズです。2回目の今回は、社会保険労務士の惠島美王子様より、「自社を守り強くする。人事労務に役立つ!誰でも簡単に学べる!身につく!『刑事スキル7つの法則』」と題し、特にBCP(事業継続計画)の基礎についてお話しいただきました。惠島先生は、最初の勤務地がわが地元横浜市南区だったとのことで、まず非常にローカルな話題でお話ができました。

【これまでのYMS×刑事塾】
第58回YMS「刑事塾:ビジネスで役立つウソや人間心理の見抜き方」
第94回YMS「元刑事が教えるウソ〔人間心理〕の見抜き方〜実践編 人狼ゲームで見抜く〜」
第126回YMS「サイバー犯罪担当元刑事が教える「SNS調査術」~ネット情報を駆使して人や会社の本質を見抜く」
第134回YMS「リスク管理の課題とヒント」



 まず、なぜBCPが必要なのかについてですが、私たちの会社を取り巻く環境には、自然災害、今まさに起こっている、新型コロナやロシアによるウクライナ侵攻といった社会的リスク、ビジネスのリスク、前回の堀先生のお話でもあったような(上の「第134回YMS」のリンクをご覧ください)、業務上のリスクといった様々なリスクが潜んでいます。中でも今回は、自然災害を中心にお話しいただきました。自然災害と言えば、僕の仕事でも、2019年に連続して訪れた台風15号、19号により、沿岸部の防潮堤が決壊するいったことがありました。わが社の工場は海から1㎞近く離れていたのですが、それでも40㎝の浸水がありました。幸い工場の床面を高くしていたので、最小限の被害で食い止めることができましたが、沿岸部にあった友人の会社では大きな被害がありました。つまり、リスクは非常に身近なところにあるということです。

 そうした有事の際に、果たして自分の会社は生き残ることができるでしょうか?これを考えることがリスク管理の基本になります。しかし、その際、私たちは次のようなバイアスがその妨げになり得ることを頭に入れておかなければなりません。

1.正常性バイアス:災害など非常時が身近にあっても、「自分は大丈夫」と思い込む心理
2.同調性バイアス:周囲と同調した行動をとることが安全だと考える心理

 いわゆる「アリの一穴」から大惨事につながる、それがリスクというものです。

 さて、しばしば混同されますが、防災計画とBCPの違いについてです。

1.防災計画:人命を守ることに主眼
2.BCP:事業が継続するための対策、計画

 つまり、防災計画はBCPの一部であり、BCPは最初に挙げた様々なリスクを包含した、より広い概念です。事例として挙げられた徳島県のある病院では、ランサムウェアの攻撃により、2ヶ月間業務が停止するという事態に陥りました。しかし、2ヶ月の業務停止で済んだのはむしろマシな方だったというのです。この病院では、システム上の問題も想定したBCPマニュアルを策定していたことが、天文学的被害に繋がりかねなかった事態を最小限に食い止めることに繋がりました。



さて、BCP策定の実務について、今回初めてBCPについて聞いたという参加者も少なからずいらっしゃいましたので、まず上の写真のような簡単なチェックリストで、自社の緊急事態に対する備えを確認しました。実際のBCP策定は、以下のようなプロセスで進められます。

1.基本方針の立案
2.重要商品の検討
3.被害状況の確認
4.事前対策の検討
5.BCPの定着

 4.の具体的な「事前対策の検討」部分ですが、いわゆる「ヒト、モノ、カネ、情報」という経営資源の観点から緊急時の対策を考えます。例えば、「ヒト」であれば、代替要員の確保や緊急連絡網の整備、平素からグループでの業務を運用するなどです。非常時における適法な時間外・休日労働については、事後的な労働局への届け出で良いそうです。また、非常時は「事業者の責めに帰すべき事由」に該当しないため、賃金不支給が認められる場合もありますが、雇用維持の努力は必要で、無条件に解雇が認められるわけではありません。こういった、様々に曖昧な部分があるからこそ、非常時を想定した対策を確認しておく必要があるのです。

 さて、『刑事塾』シリーズなので、警察関係の小話をひとつ。白バイ隊員はなぜ首に白いスカーフをまいているのでしょうか?理由はいざという時、止血用の包帯として使えるからだそうです。そういえば、仮面ライダーも1号と2号はスカーフを巻いていた気がしますが、V3以降は早くもサボっていますね。リスク対策は時の経過とともに風化していくということかもしれません。それ自体もまたリスクとして、定期的な見直しや訓練が必要だと思いました。わが社もできていること、できていないこと、まだやれることなど様々な気づきがありました。

 また、今回オンライン中継のトラブルで、冒頭のかなりの時間をその対処に割かれる事態となりました。いみじくも、YMSもリスク管理が必要であることが浮き彫りとなりました。

過去のセミナーレポートはこちら

繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした


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