嘘の吐き方(うそのつきかた)

人はみんな嘘をついていると思います。僕もそうです。このページが嘘を吐き突き続ける人達のヒントになれば幸いです。

死んでいる僕が書いている言葉。

2007年06月11日 09時53分44秒 | 駄文(詩とは呼べない)
大きさに対する記録は、古代文明がほとんど成し遂げた。
今度は僕らが、小ささに対する記録を成している最中だと思う。

エジプトのピラミッドを見ると切ない
ピラミッドのあの巨大さが、形が残るという事が、
僕らの記憶をくすぐる。
そして、それを願って、作られる建造物。

都市にある建造物は、流動的で、神の妄想に近い速さで
情報に踊らされるように変化していく。

僕らが見ている景色で、永遠に変化しないものはない
それでも僕らはまるで理想を夢見るように、
小ささの中に、それを求める。
光の粒子は…クォークは…ほんの小さな心のきっかけが…

そうやって求める神のいたずらな柔らかい記憶と
随所の景色に建造物として書き込まれた硬い記憶を重ね合わせて
僕らは思い出として今をふるわす。

心を神のふるいにかけ、
心と神を重ね合わせて、
僕らは刹那の中に永遠を夢見る。

そうした行為も、ずっと繰り返されて
ずっと同じ日常の中で
変化する日常の中で

心が浪費されていく。

僕らは。
そして僕は。

ずっと知らない、宇宙の果てに、まったくの触れることの出来ない外部の無に、
心の内側のずっと奥深くに潜む完全な真空の中にある無に
期待を寄せる。

存在が、ここに、なにかを、遺せることができたら、
そうしたら僕は、死んでしまったとしても、ここに永遠に――

迷惑をかける事はつらくない
憶えてもらうために人々の心に迷惑な波動を伝えようとしてるのだから。

だけど、それがいつかは忘れられてしまうことは、やっぱり怖い。
何もせずに死んでいくのと、
何かをしても、やっぱりそれが忘れられてしまうのと、
どちらがどれくらいつらいのか、
単純に比較することなんか、できないのだけれども。

それでもやっぱり、
例え捏造の、空想の、妄想の記憶にすがってでも、
魂を思い出して欲しいと願うあの巨大な三角形の野心は
巨大な四角錐の野心は、
時間をいっぱい超えて、僕らに光のような小ささで降り注ぐ。

硬い黄金の棺。
科学に頼った核シェルター
誰にも出会うことのない自閉空間。

やっぱり僕は、、、

死んでしまうことは怖い。
でも約束を果たせなくなる事はもっと怖い。
忘れられる事は、二度と思い出してもらえないことは、
僕という、存在の約束が、神からの祝福が、冒涜されるという切なさは、
なにものにも代え難いほんのひとしずくの痛みになる。

でも僕の痛みは誰にも伝わらない。
たぶん、似たような異質な喜びは、
じめじめとした恐怖は、畏怖の感情は、なにかしら、伝わっているのだろうけど。

だけど僕の痛みは…誰にも伝わらない。

それは君にとって、寂しいことですか?
悲しいことですか?
美しいことですか?

全部忘れて笑えますか?

僕には出来ない。

全ての過去を犠牲にして今があること、
すべての時間を超越して意志があること、
そんなことのひとつひとつを思い出して、
のんきに笑ってられない。

怖い。
すごく怖い。

痛いよ。
君の光は痛いよ。

ずっと闇を抱えて死ぬ。
最後まで僕は闇の中に死んでいく。

誰かと出会うために生きたかった。
何かを知りたくて拡大したかった。
君に思い出してもらうために遺したかった。

でもそんなものは全部。
ぜんぶぜんぶぜんぶ。
君の外部にある。

君がずっと前に忘れてしまった第三背景の中にある。

夢を見ている。
ずっと夢を見ている。
死ぬことを決めたあの日から、ずっと生きている夢を見ている。
死んでいる僕の死体が時間を超えた妄想の糸で、
死に神の僕に操られて動く夢を見ている。

君が僕の過去を書き換えない限り。
君が僕の時間を超越しない限り。
僕の砂時計は変わらない。

ずっとずっと上へ向けて落下する。
君のいる場所へ、僕の時間の砂は零れ続ける。

涙の毒素が時間を洗い流して、
こんな僕は死ねばいいのに。

君が泣いた分だけ、僕の死体が存在に熔けて消えたらいいのに。

生きている人間が羨ましいよ。
死んでいる、僕の言葉。