先ごろ新聞各紙がNHKに対するお笑いタレントの不満を報じた。
お笑いコンビ爆笑問題が、正月3日のNHKのバラエティー番組「初笑い東西寄席2015」に出演した時のことである。コンビが事前に用意して来た政治家ネタをNHKがすべてボツにした、という話である。
新聞がNHK広報局に問い合わせたところ、「放送にあたって娯楽番組の通常の打ち合わせを出演者と行った。その中身については普段からお答えしていません」という話だった。
そのあと、安倍政権によってNHKに送りこまれた籾井勝人会長が、8日の定例会見で、「個人名をあげて、色々お笑いのネタにするのはちょっと品がないんじゃないか」などと語った。
そういうことなので、お笑いタレントがどんな政治家ネタを用意していたのか、その具体的内容については不明のままなのだ。
具体的内容が不明のままで、新聞がニュースにしたのは、なんだかよくわからんが、ひょっとしたら言論の自由の問題とかかわっているのではなかろうか、という勘であろうか。
協議の過程が秘密厳守なっているTPPこと環太平洋戦略的経済連携協定の報道も、何がどう問題になっているのか、さっぱりわからないままだ。
特定秘密保護法で各官庁の一部情報が秘密にされる。すでに382件の特定秘密が指定されている。防衛省が最多で247件。いずれこの先、重大問題らしい匂いはするのだが、その問題が何であるかはよくわからい、といった種類の報道が増えてくることだろう。
そういった事態は困る。すべからくジャーナリストは、国家よりも国民の安全を優先して、牢屋に入る覚悟を決めて、どんどん秘密を暴露していただきたい。消防士は仕事で火の中に飛び込んでいる。これからは、好むと好まざるにかかわらず、グローバル化によって警察官はテロリストと銃撃戦をし、自衛官は積極的平和主義を模索して外国で砲弾の下をくぐるようになってくるのであるから。
(2015.1.9 花崎泰雄)