法律の周辺

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没収供託金の帰属先について

2007-04-06 14:33:41 | Weblog
NHK秋田 選挙一口メモ⑦「供託金」

 記事には,概略,没収供託金は国の歳入になる,とある。
へぇー,地方選挙で供託金が没収される場合も当該供託金の帰属先は国庫なんだと思い,条文を引いてみたところ,公選法第93条第1項には,「第八十六条第一項から第三項まで若しくは第八項又は第八十六条の四第一項,第二項,第五項,第六項若しくは第八項の規定により届出のあつた公職の候補者の得票数が,その選挙において,次の各号の区分による数に達しないときは,前条第一項の供託物は,衆議院(小選挙区選出)議員又は参議院(選挙区選出)議員の選挙にあつては国庫に,都道府県の議会の議員又は長の選挙にあつては当該都道府県に,市の議会の議員又は長の選挙にあつては当該市に,町村長の選挙にあつては当該町村に,帰属する。」とある。
地方選挙に係る費用は当該地方公共団体が負担するのが原則(公選法第264条)。地方選に係る没収供託金の帰属先は,公営費用の埋め合わせという観点からすれば,当該地方公共団体とする方が無理がない。

 さて,地方議会議員の候補者の場合,「当該選挙区内の議員の定数(選挙区がないときは,議員の定数)をもつて有効投票の総数を除して得た数の十の一以上」(公選法第93条第1項第3号)を得票すれば供託金は戻ってくる勘定。思ったよりは低いという印象。
供託金の額同様,供託金の返還基準を過度に高く設定することは,被選挙権の不平等につながる。その意味では好ましいことではある。


日本国憲法の関連条文

第十四条  すべて国民は,法の下に平等であつて,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。
2  華族その他の貴族の制度は,これを認めない。
3  栄誉,勲章その他の栄典の授与は,いかなる特権も伴はない。栄典の授与は,現にこれを有し,又は将来これを受ける者の一代に限り,その効力を有する。

第十五条  公務員を選定し,及びこれを罷免することは,国民固有の権利である。
2  すべて公務員は,全体の奉仕者であつて,一部の奉仕者ではない。
3  公務員の選挙については,成年者による普通選挙を保障する。
4  すべて選挙における投票の秘密は,これを侵してはならない。選挙人は,その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

第四十七条  選挙区,投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は,法律でこれを定める。

公職選挙法の関連条文

(供託)
第九十二条  町村の議会の議員の選挙の場合を除くほか,第八十六条第一項から第三項まで若しくは第八項又は第八十六条の四第一項,第二項,第五項,第六項若しくは第八項の規定により公職の候補者の届出をしようとするものは,公職の候補者一人につき,次の各号の区分による金額又はこれに相当する額面の国債証書(その権利の帰属が社債等の振替に関する法律 (平成十三年法律第七十五号)の規定による振替口座簿の記載又は記録により定まるものとされるものを含む。以下この条において同じ。)を供託しなければならない。
一  衆議院(小選挙区選出)議員の選挙             三百万円
二  参議院(選挙区選出)議員の選挙     三百万円
三  都道府県の議会の議員の選挙       六十万円
四  都道府県知事の選挙           三百万円
五  指定都市の議会の議員の選挙       五十万円
六  指定都市の長の選挙          二百四十万円
七  指定都市以外の市の議会の議員の選挙   三十万円
八  指定都市以外の市の長の選挙       百万円
九  町村長の選挙             五十万円
2  第八十六条の二第一項の規定により届出をしようとする政党その他の政治団体は,選挙区ごとに,当該衆議院名簿の衆議院名簿登載者一人につき,六百万円(当該衆議院名簿登載者が当該衆議院比例代表選出議員の選挙と同時に行われる衆議院小選挙区選出議員の選挙における候補者(候補者となるべき者を含む。)である場合にあつては,三百万円)又はこれに相当する額面の国債証書を供託しなければならない。
3  第八十六条の三第一項の規定により届出をしようとする政党その他の政治団体は,当該参議院名簿の参議院名簿登載者一人につき,六百万円又はこれに相当する額面の国債証書を供託しなければならない。

(公職の候補者に係る供託物の没収)
第九十三条  第八十六条第一項から第三項まで若しくは第八項又は第八十六条の四第一項,第二項,第五項,第六項若しくは第八項の規定により届出のあつた公職の候補者の得票数が,その選挙において,次の各号の区分による数に達しないときは,前条第一項の供託物は,衆議院(小選挙区選出)議員又は参議院(選挙区選出)議員の選挙にあつては国庫に,都道府県の議会の議員又は長の選挙にあつては当該都道府県に,市の議会の議員又は長の選挙にあつては当該市に,町村長の選挙にあつては当該町村に,帰属する。
一  衆議院(小選挙区選出)議員の選挙
             有効投票の総数の十分の一
二  参議院(選挙区選出)議員の選挙
             通常選挙における当該選挙区内の議員の定数をもつて有効投票の総数を除して得た数の八分の一。ただし,選挙すべき議員の数が通常選挙における当該選挙区内の議員の定数を超える場合においては,その選挙すべき議員の数をもつて有効投票の総数を除して得た数の八分の一
三  都道府県又は市の議会の議員の選挙
             当該選挙区内の議員の定数(選挙区がないときは,議員の定数)をもつて有効投票の総数を除して得た数の十分の一
四  地方公共団体の長の選挙
             有効投票の総数の十分の一
2  前項の規定は,同項に規定する公職の候補者の届出が取り下げられ,又は公職の候補者が当該候補者たることを辞した場合(第九十一条第一項又は第二項の規定に該当するに至つた場合を含む。)及び前項に規定する公職の候補者の届出が第八十六条第九項又は第八十六条の四第九項の規定により却下された場合に,準用する。

(名簿届出政党等に係る供託物の没収)
第九十四条  衆議院(比例代表選出)議員の選挙において,衆議院名簿届出政党等につき,選挙区ごとに,三百万円に第一号に掲げる数を乗じて得た金額と六百万円に第二号に掲げる数を乗じて得た金額を合算して得た額が当該衆議院名簿届出政党等に係る第九十二条第二項の供託物の額に達しないときは,当該供託物のうち,当該供託物の額から当該合算して得た額を減じて得た額に相当する額の供託物は,国庫に帰属する。
一  当該衆議院名簿届出政党等の届出に係る衆議院名簿の衆議院名簿登載者のうち,当該選挙と同時に行われた衆議院(小選挙区選出)議員の選挙の当選人とされた者の数
二  当該衆議院名簿届出政党等に係る当選人の数に二を乗じて得た数
2  第八十六条の二第十項の規定により衆議院名簿を取り下げ,又は同条第十一項の規定により同条第一項の規定による届出を却下された政党その他の政治団体に係る第九十二条第二項の供託物は,国庫に帰属する。
3  参議院(比例代表選出)議員の選挙において,参議院名簿届出政党等につき,第一号に掲げる数が第二号に掲げる数に達しないときは,当該参議院名簿届出政党等に係る第九十二条第三項の供託物のうち六百万円に同号に掲げる数から第一号に掲げる数を減じて得た数を乗じて得た金額に相当する額の供託物は,国庫に帰属する。
一  当該参議院名簿届出政党等に係る当選人の数に二を乗じて得た数
二  第八十六条の三第一項の規定による届出のときにおける参議院名簿登載者の数
4  第八十六条の三第二項において準用する第八十六条の二第十項の規定により参議院名簿を取り下げ,又は第八十六条の三第二項において準用する第八十六条の二第十一項の規定により第八十六条の三第一項の規定による届出を却下された政党その他の政治団体に係る第九十二条第三項の供託物は,国庫に帰属する。

(選挙管理費用の国と地方公共団体との負担区分)
第二百六十一条  選挙に関する費用で国と地方公共団体とが負担するものの区分については,本章に特別の規定があるものを除く外,地方財政法 (昭和二十三年法律第百九号)の定めるところによる。

(選挙に関する常時啓発の費用の財政措置)
第二百六十一条の二  都道府県及び市町村の選挙管理委員会が第六条第一項の規定により行う選挙に関する常時啓発のための左に掲げる費用並びに同条第二項の規定により行なう衆議院議員及び参議院議員の選挙の結果の速報に要する費用については,国において財政上必要な措置を講ずるものとする。
一  講演会,討論会,研修会,講習会,映画会等の開催に要する費用
二  新聞,パンフレット,ポスター等の文書図画の刊行又は頒布に要する費用
三  関係各種の団体,機関等との連絡を図るために要する費用
四  その他必要な事業を行うに要する費用

(各選挙に通ずる選挙管理費用の財政措置)
第二百六十二条  選挙に関する次に掲げる費用については,国において財政上必要な措置を講ずるものとする。
一  選挙人名簿の調製に要する費用
二  点字器の調整に要する費用
三  削除
四  第百六十七条の規定による選挙公報の発行に要する費用
五  第百九十二条の規定による報告書の公表,保存及び閲覧の施設に要する費用

(衆議院議員又は参議院議員の選挙管理費用の国庫負担)
第二百六十三条  衆議院議員又は参議院議員の選挙に関する次に掲げる費用は,国庫の負担とする。
一  投票の用紙及び封筒,第四十九条第一項の規定による投票に関する不在者投票証明書及びその封筒並びに投票箱の調製に要する費用
二  選挙事務のため都道府県及び市町村の選挙管理委員会,投票管理者,開票管理者,選挙長及び選挙分会長において要する費用
三  投票所,期日前投票所,開票所,選挙会場及び選挙分会場に要する費用
四  第四十九条第一項及び第四項の規定による投票に関する選挙事務のため不在者投票管理者において要する費用及びその投票記載の場所に要する費用,同条第二項の規定により行われる郵便等による送付に要する費用並びに同条第七項及び第八項の規定により行われる送信に要する費用
四の二  在外選挙人名簿及び在外選挙人証の調製並びに在外選挙人証の交付に要する費用
四の三  第四十九条の二第一項第二号の規定により行われる投票に関する費用
五  投票管理者,開票管理者,選挙長,選挙分会長,投票立会人,開票立会人及び選挙立会人に対する報酬及び費用弁償に要する費用
五の二  第百三十一条第三項の規定による標札に要する費用
五の三  第百四十一条第五項及び第百六十四条の二第二項の規定による表示に要する費用
五の四  第百四十一条第七項の規定による選挙運動用自動車の使用に要する費用
六  第百四十二条第一項の規定による通常葉書の費用並びに同条第十項の規定による通常葉書及びビラの作成に要する費用
六の二  第百四十三条第十四項の規定による立札及び看板の類並びにポスターの作成に要する費用
七  第百四十四条の二の規定による掲示場の設置に要する費用
八  第百四十九条の規定による新聞広告に要する費用
九  第百五十条及び第百五十一条の規定による放送に要する費用
十  第百六十一条の規定による個人演説会のための施設(設備を含む。),第百六十四条の五の規定による標旗並びに第百四十一条の二及び第百六十四条の七の規定による腕章に関する費用
十の二  第百六十四条の二第六項の規定による立札及び看板の類の作成に要する費用
十一  第百七十五条の規定による掲示に要する費用
十二  第百七十六条の規定による交通機関の使用に要する費用

(地方公共団体の議会の議員又は長の選挙管理費用の地方公共団体負担)
第二百六十四条  地方公共団体の議会の議員又は長の選挙に関する次に掲げる費用は,当該地方公共団体の負担とする。
一  前条第一号から第四号まで,第五号の三,第六号,第十号及び第十一号に掲げる費用
二  前条第五号に掲げる者に対する報酬及び費用弁償に要する費用
2  都道府県知事の選挙に関する前条第五号の二,第七号から第九号まで及び第十二号に掲げる費用については,当該都道府県の負担とする。
3  第百四十一条第八項の規定による選挙運動用自動車の使用に要する費用,第百四十三条第十五項の規定によるポスターの作成に要する費用,第百四十四条の二第八項及び第百四十四条の四の規定による掲示場の設置に要する費用並びに第百七十二条の二の規定による選挙公報の発行に要する費用については,当該地方公共団体の負担とする。
4  都道府県の議会の議員及び都道府県知事の選挙と市町村の議会の議員及び市町村長の選挙を同時に行う場合の費用の負担区分については,関係地方公共団体が協議して定める。

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