友人は、部長が相当辛い思いをした結果の、彼への相談であったことだろうとよく理解できた。
「部長、私は英語習得について話せって言われたら、2時間でも3時間でも話せます。それくらい、話のネタもありますし、日本人の英語学習に対して感ずることは多いですね。」
彼がそう話し始めると、部長は「うん、うん・・」と身を乗り出してきた。
「何年か前、楽天とかユニクロ、その後ホンダ技研なんかも、社内の英語公用語化を宣言しましたよね。」
「ああ、そうなんだよ。」部長は嬉しそうに頷いた。
「最近、楽天やユニクロが揃って業績が悪化しているというニュースを耳にして、私は内心ザマア見ろっていう気分なんですよ。」
友人がこう言うと、部長は彼のセリフが意外だったようで、『一体、なぜ??』という表情に変わった。
「いくら外国人社員が多いといっても、書類をすべて英語で作成するだけでなく、社食のメニューから、日本人同士の会話や立ち話までもすべて英語でやれ、というのはあまりにも馬鹿げた指示で、私は日本人同士が廊下で下手な英語で世間話をしているのを想像しただけで、卒倒しそうになります。」
「ああいう会社が、どんどん業績を伸ばしていくようになると、子供を持つ親たちは、ますます英語教育の若年化に拍車をかけるようになるでしょう。今ですら、こんな田舎町にも、幼児相手の英会話教室がたくさんで来ています。私はこの風潮は、間違っていると思っているんです。」
「子供には、まず母国語である日本語を徹底的に勉強させるべきだと思うんです。日本人の豊かな発想は、日本語という豊かな言葉の上に成り立っていると思うんですね。」
「もし、この会社が楽天やユニクロのように、英語を社内公用語にすると言ったら、私は迷わず会社を辞めますね。」
そう言ってから、彼は一呼吸おいて息を整えたそうだ。
「この事務所内にも日本語の出来ない外国人がいるというなら、英語も必要になるかもしれません。あるいは部員たちが頻繁に海外出張をすることになるというなら、対策を考えなければならないかもしれません。」
「しかし、そうでもないのに突然英語で話せとか、英会話の授業を始めるといっても、効果は期待できないでしょう。数年前にあちこちにあった英会話教室へ通った人たちは、外国人と一緒に過ごせるひとときに対して、代金を払っていたのです。」
「日本人の先生では、ダメなんですよ。外人と一緒に少しの時間を共有したいんです。部長が多分お考えのように、毎日15分だけでも英語漬けの時間を持たせたい、というのは、理解できますが、仮にそうだとしても、一日のうちの立った15分では、ほとんど効果は期待できないでしょう。」
「それよりも、動機が明確で強いものなら、今の世の中勉強するための教材は掃いて捨てるほどあります。やる気の芽生えた人なら、他人に言われなくとも自分で工夫して始めるはずです。部長がお膳立てしてやるのは、どうしても『やらされ感』があって、これがほんの少しでも存在する限り、効果は期待できませんし、長続きしません。」
「今、一番動機が強いのは部長でしょうが、だからと言って部下達を巻き込むのは決して良策だとは思えません。」
ここまで言ったところで、部長に来客だと連絡が入り、部長は中座した。
その後、友人の気持ちを察したのか、部長は一切英語の話はしてこなかったという。彼は、少しはっきり言いすぎたかなあ、と後悔していた。
私は、彼の気になっている今の風潮は、決していいものだとは思えないので、部長さんが彼の主張を十分理解してくれればなあと、思っている。
「部長、私は英語習得について話せって言われたら、2時間でも3時間でも話せます。それくらい、話のネタもありますし、日本人の英語学習に対して感ずることは多いですね。」
彼がそう話し始めると、部長は「うん、うん・・」と身を乗り出してきた。
「何年か前、楽天とかユニクロ、その後ホンダ技研なんかも、社内の英語公用語化を宣言しましたよね。」
「ああ、そうなんだよ。」部長は嬉しそうに頷いた。
「最近、楽天やユニクロが揃って業績が悪化しているというニュースを耳にして、私は内心ザマア見ろっていう気分なんですよ。」
友人がこう言うと、部長は彼のセリフが意外だったようで、『一体、なぜ??』という表情に変わった。
「いくら外国人社員が多いといっても、書類をすべて英語で作成するだけでなく、社食のメニューから、日本人同士の会話や立ち話までもすべて英語でやれ、というのはあまりにも馬鹿げた指示で、私は日本人同士が廊下で下手な英語で世間話をしているのを想像しただけで、卒倒しそうになります。」
「ああいう会社が、どんどん業績を伸ばしていくようになると、子供を持つ親たちは、ますます英語教育の若年化に拍車をかけるようになるでしょう。今ですら、こんな田舎町にも、幼児相手の英会話教室がたくさんで来ています。私はこの風潮は、間違っていると思っているんです。」
「子供には、まず母国語である日本語を徹底的に勉強させるべきだと思うんです。日本人の豊かな発想は、日本語という豊かな言葉の上に成り立っていると思うんですね。」
「もし、この会社が楽天やユニクロのように、英語を社内公用語にすると言ったら、私は迷わず会社を辞めますね。」
そう言ってから、彼は一呼吸おいて息を整えたそうだ。
「この事務所内にも日本語の出来ない外国人がいるというなら、英語も必要になるかもしれません。あるいは部員たちが頻繁に海外出張をすることになるというなら、対策を考えなければならないかもしれません。」
「しかし、そうでもないのに突然英語で話せとか、英会話の授業を始めるといっても、効果は期待できないでしょう。数年前にあちこちにあった英会話教室へ通った人たちは、外国人と一緒に過ごせるひとときに対して、代金を払っていたのです。」
「日本人の先生では、ダメなんですよ。外人と一緒に少しの時間を共有したいんです。部長が多分お考えのように、毎日15分だけでも英語漬けの時間を持たせたい、というのは、理解できますが、仮にそうだとしても、一日のうちの立った15分では、ほとんど効果は期待できないでしょう。」
「それよりも、動機が明確で強いものなら、今の世の中勉強するための教材は掃いて捨てるほどあります。やる気の芽生えた人なら、他人に言われなくとも自分で工夫して始めるはずです。部長がお膳立てしてやるのは、どうしても『やらされ感』があって、これがほんの少しでも存在する限り、効果は期待できませんし、長続きしません。」
「今、一番動機が強いのは部長でしょうが、だからと言って部下達を巻き込むのは決して良策だとは思えません。」
ここまで言ったところで、部長に来客だと連絡が入り、部長は中座した。
その後、友人の気持ちを察したのか、部長は一切英語の話はしてこなかったという。彼は、少しはっきり言いすぎたかなあ、と後悔していた。
私は、彼の気になっている今の風潮は、決していいものだとは思えないので、部長さんが彼の主張を十分理解してくれればなあと、思っている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます