私はどうも略語が苦手で、横文字でも日本語でも、元の言葉の意味をしっかりと理解しないと、まったく頭に残らない性質(たち)である。
ガラケーなどつい最近意味を知ったし、「リア充」などは目にこそすれ、読み方すら分らないでいる。
英語の言葉もカタカナになるとすぐに短く略されて、「ポリコレ」などと使われる。花咲じじいの、ポチがここ掘れのことかと、ボケてみたくなるが、何とポリティカル・コレクトネス。例の差別言葉規制の意味であった。
そして、ごく最近お目にかかったのが、「難デキ」である。これは最近某週刊誌がスクープした、結構ショッキングな記事から知った。
答えは、「難消化性デキストリン」という澱粉の一種の食物繊維で、魔法の成分という異名をもつ優れものらしい。いや、『だったらしい』と言うべきか。
これもトクホという略語で広く人口に膾炙している、【特定保健用食品】に多く使用されているので、あのマークのついた飲み物などはすっかり一般化している。
効果ナシ!!
消費者庁の定義によれば、特定保健用食品とは「許可等を受けて、食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品」とされている。(下線部がお役人らしい表現)
上の写真の飲み物は、通常の飲み物より値段が張る。それというのも、トクホの御威光が影響しているためで、テレビコマーシャルでも盛んにそこを強調している。
この難デキは、見た目は白い粉で、これをチョちょっと加えることで、『脂肪の吸収を抑え』『糖の吸収をおだやかに』するので、『食後の血糖値が気になり始めた方』におすすめ出来る、というわけである。
トンデモ成分だ!
私はもう十数年前だったか、ヘルシア緑茶がテレビで宣伝され始めた頃、何かでどこかの大学の食物栄養学の教授が、あんな物買うより、一日一杯少し濃い目のお茶を飲めば同じことだ、と書いていたのを読んで、そちらを信用していた。
更に、彼女はそこで、バナジウムを含んだミネラルウォーターが売れれていて、いかにも癌を抑えるだのなんだのと効能をうたっている。
しかし、マウスの実験では確かに効果はあったのかもしれないが、人間に換算するとしたら、毎日風呂桶一回分の水量を飲み続ける必要があると、書いていたので、あのテレビCMは詐欺じゃないか、と憤慨したものだった。
同時に私は、トクホという制度を作った側にも、自分たちの天下り先を確保するという、あざとい役人勘定が作用していると感づいていたので、店に行ってもトクホのマークが付いた商品などは手にしなかった。
役人と販売する企業側との狡猾なわなにマンマと引っ掛かっていた消費者こそ、いい面の皮であったわけだ。
では、事実はどうだったのか。
2010年、筑波大学の鈴木正成名誉教授(故人)と京都薬科大学講師の沼尾成晴氏は、日常の食事と共に、市販の難デキ入り飲料、グァバ葉茶ポリフェノール入り茶飲料、普通の水出し煎茶を200ccずつ飲んでもらった結果、血糖値の上昇を抑制に有意差を示したものはなかったという。
同じく、脂肪に関しても、メーカーの提出した試験結果には「まやかし」があって、科学的にはありえないと、食物栄養学の専門教授らの精査によって、楽々と脂肪吸収抑制効果のあるといえる試験結果でないことが論破されたのだった。
今回、千葉大学名誉教授の山本啓一氏(生理学・生化学)や、群馬大学名誉教授の高橋久仁子氏によって見事に嘘が暴かれたわけだが、もう少し早く何とかならなかったものかと悔やまれる。
松谷化学工業は兵庫県伊丹市にあり、難デキの国内シェア8割を誇る会社だ。ここの試験データを食品メーカーは使い回しして、トクホ申請していたようで、知ってか知らずか、非科学的な試験データが一人歩きして、いつの間にか市場規模が6300億円以上にまで大きくなっていたわけだ。
儲かりました!
こういう、健康食品やサプリメントに関する「まやかし」は、この世に溢れている。胃で吸収されないコラーゲンを、これを食べると肌がツルツルになるなどと言うのは、もはや信ずる方がまともではないと思うのだが、溺れるものは藁でも掴むのだ。
日曜日の早朝にBS放送を観て御覧なさい。もはや嘆かわしい事態です。
一度買うとしつこいんです。
ただ厄介なのは、『プラセボ効果』が現実に存在することだ。プラセボとは偽の薬のことで、例えばただの小麦粉を、「これは高価な鎮痛剤で、すぐに効果が現れます。」と言って飲ませると、スーッと痛みが消えることがあるそうだ。
人間は、信じ込むことで自分の体を治癒させる力があるというなら、もしかして、「薬など飲まなくても、血圧は上がらない」と頑なに思い込めば、それで案外効果があるのかもしれない。この考え、ちょっと虫が良すぎるか・・・。
ガラケーなどつい最近意味を知ったし、「リア充」などは目にこそすれ、読み方すら分らないでいる。
英語の言葉もカタカナになるとすぐに短く略されて、「ポリコレ」などと使われる。花咲じじいの、ポチがここ掘れのことかと、ボケてみたくなるが、何とポリティカル・コレクトネス。例の差別言葉規制の意味であった。
そして、ごく最近お目にかかったのが、「難デキ」である。これは最近某週刊誌がスクープした、結構ショッキングな記事から知った。
答えは、「難消化性デキストリン」という澱粉の一種の食物繊維で、魔法の成分という異名をもつ優れものらしい。いや、『だったらしい』と言うべきか。
これもトクホという略語で広く人口に膾炙している、【特定保健用食品】に多く使用されているので、あのマークのついた飲み物などはすっかり一般化している。
効果ナシ!!
消費者庁の定義によれば、特定保健用食品とは「許可等を受けて、食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品」とされている。(下線部がお役人らしい表現)
上の写真の飲み物は、通常の飲み物より値段が張る。それというのも、トクホの御威光が影響しているためで、テレビコマーシャルでも盛んにそこを強調している。
この難デキは、見た目は白い粉で、これをチョちょっと加えることで、『脂肪の吸収を抑え』『糖の吸収をおだやかに』するので、『食後の血糖値が気になり始めた方』におすすめ出来る、というわけである。
トンデモ成分だ!
私はもう十数年前だったか、ヘルシア緑茶がテレビで宣伝され始めた頃、何かでどこかの大学の食物栄養学の教授が、あんな物買うより、一日一杯少し濃い目のお茶を飲めば同じことだ、と書いていたのを読んで、そちらを信用していた。
更に、彼女はそこで、バナジウムを含んだミネラルウォーターが売れれていて、いかにも癌を抑えるだのなんだのと効能をうたっている。
しかし、マウスの実験では確かに効果はあったのかもしれないが、人間に換算するとしたら、毎日風呂桶一回分の水量を飲み続ける必要があると、書いていたので、あのテレビCMは詐欺じゃないか、と憤慨したものだった。
同時に私は、トクホという制度を作った側にも、自分たちの天下り先を確保するという、あざとい役人勘定が作用していると感づいていたので、店に行ってもトクホのマークが付いた商品などは手にしなかった。
役人と販売する企業側との狡猾なわなにマンマと引っ掛かっていた消費者こそ、いい面の皮であったわけだ。
では、事実はどうだったのか。
2010年、筑波大学の鈴木正成名誉教授(故人)と京都薬科大学講師の沼尾成晴氏は、日常の食事と共に、市販の難デキ入り飲料、グァバ葉茶ポリフェノール入り茶飲料、普通の水出し煎茶を200ccずつ飲んでもらった結果、血糖値の上昇を抑制に有意差を示したものはなかったという。
同じく、脂肪に関しても、メーカーの提出した試験結果には「まやかし」があって、科学的にはありえないと、食物栄養学の専門教授らの精査によって、楽々と脂肪吸収抑制効果のあるといえる試験結果でないことが論破されたのだった。
今回、千葉大学名誉教授の山本啓一氏(生理学・生化学)や、群馬大学名誉教授の高橋久仁子氏によって見事に嘘が暴かれたわけだが、もう少し早く何とかならなかったものかと悔やまれる。
松谷化学工業は兵庫県伊丹市にあり、難デキの国内シェア8割を誇る会社だ。ここの試験データを食品メーカーは使い回しして、トクホ申請していたようで、知ってか知らずか、非科学的な試験データが一人歩きして、いつの間にか市場規模が6300億円以上にまで大きくなっていたわけだ。
儲かりました!
こういう、健康食品やサプリメントに関する「まやかし」は、この世に溢れている。胃で吸収されないコラーゲンを、これを食べると肌がツルツルになるなどと言うのは、もはや信ずる方がまともではないと思うのだが、溺れるものは藁でも掴むのだ。
日曜日の早朝にBS放送を観て御覧なさい。もはや嘆かわしい事態です。
一度買うとしつこいんです。
ただ厄介なのは、『プラセボ効果』が現実に存在することだ。プラセボとは偽の薬のことで、例えばただの小麦粉を、「これは高価な鎮痛剤で、すぐに効果が現れます。」と言って飲ませると、スーッと痛みが消えることがあるそうだ。
人間は、信じ込むことで自分の体を治癒させる力があるというなら、もしかして、「薬など飲まなくても、血圧は上がらない」と頑なに思い込めば、それで案外効果があるのかもしれない。この考え、ちょっと虫が良すぎるか・・・。
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