五反田発リスボン行き急行列車

五反田駅からリスボン行き急行列車に乗ることを夢想する前期高齢者の徒然

2016・2・29

2016-03-01 12:07:08 | 日記
昨日で公演は終わってしまったんだし、犬の散歩は妹がロスに連れて帰ってしまってやる必要はないし、三カ月ぶりに部屋の掃除をして、録画し放しでたまってしまったテレビ番組をソファにひっくり返ってのんびりと見ていてもいいのに、今日もまた七時半には部屋を出て店に向かったのは、母との老老ブレックファーストの為。先月から始めてしまった習慣を犬がいなくなったからって中止するのは忍びない。今日のメニューは、夕べ安売りしていた宮崎牛のヒレステーキ150グラムを勿体なくも焼いた後で薄切りにしてグリーンサラダと混ぜ合わせた一品に、先日S教授にお土産にいただいた笹蒲鉾をこれまた薄切りにしてカイワレと混ぜ合わせた一品に、卵入り納豆、鳥取産しじみの味噌汁。美味、美味、美味!そう感じられるのは、食材の贅沢さもあるけど、芝居が成功裏に終わってホッとしていることも関係しているかもしれない。食後、お金の清算事務とこの日記を書いている内に、芝居の照明を担当してくれていたYさんが機材の搬出の為に、今日もまた麻布十番にわざわざ買いに行ったと云う卵サンドを手土産に来る。彼女、自称差し入れマニアとかで、リハ中にも富ヶ谷にあるポルトガル洋菓子の店でエッグタルトを買って来たりして、安いギャラで足が出てしまうのではないかと心配したけど、勿論そんな心配は顔には出さず美味しくいただいてしまった。Yさん、また私の芝居に協力して下さい……と書いても決して差し入れ目当てではないので、念のため。銀行で数日分の入金と五件の振込をした後、3時半に茅場町のTデンタルクリニックへ。いつもは月一のペースでクリーニングと定期検診を受けているのだけど、年明けはリハの予定がはっきりしなかったので今日になってしまったのだけど、やはり二カ月ブランクがあると、日頃のクリーニングが行き届かなかったみたいで、先生から注意を受ける。もうキスすることはないかもしれないけど、歯のクリーニングは怠らないようにしよう。5時半に店に戻って、母と老老ディナーでカレーライスを食べる。公演の期間中、毎日の様に作り続けていて、その匂いには飽きてしまったけど、こうしてあらためて食べてみると、このすき焼き風味カレーライス、かなりのレベルで美味しい。これだったらランチをやっても通用するかもしれないと、またまた懲りずにランチ復活計画を練ったりしたけど、それより前にごみ捨ても含めて昨日からの後片付けがまだだったので、とりあえずお客さんがいつ来てもいいように開店準備。でも、これがなかなか終わらない。結局、何とか形がついたのが九時近く。幸いと云うか不幸というか、お客さんがいなかったのでよかったけど、掃除、整理整頓、細かい作業が日ごとに億劫になっている。多分こんな日は常連のお客さんは公演直後ということで来ないだろうしとタカをくくって帰ることにする。一瞬、乃木坂コレドに寄って会場を見ながら「ホテルリスボン」の演出プランを練ろうとも思ったけど、アルコールを摂取する能力なし。いや、それより今日は一刻も早く部屋に帰って見たい番組があったのだ。それは昨日オンエアのあったNHK特集「難民大移動 危機と闘う日本人」と云う番組で、予告編で絶対みようと思って録画しておいたのだけど、この番組取り上げられているヨルダンに於けるUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の日本人スタッフとして活躍しているNさんからも是非見てほしいとメールがあったのだ。彼女と知り合ったのは広尾時代、T大大学院の学生だった彼女が都立図書館の帰りにウチの店に寄ってくれたのが最初だった。年も25以上も違うし、彼女は学究の徒でこっちは飲み屋の親父だったけど、何故か話題が尽きずに、それからは年に数回は、そして海外への留学時代を経てUNHCRに入って世界中の紛争地域に勤務してからも帰国するたびに会いにきてくれて、お喋り(と言ってもひどく真面目な話なんだけど)をする仲が続いているのだ。ヨルダンに赴任したのは三年前だったか四年前だったか?その頃はまだシリア情勢がこんなひどいことになっていなかった気がする。それ以前の勤務地より安心な気がして「死海に行ったら土産話をよろしく」なんて呑気なメールを打ってしまったけど、今となってはとても死海に行っている余裕はないだろう。何しろ内戦の続く隣国のシリアから周辺国への難民の数が450万人以上というのだから言葉を失う。彼女の勤務するヨルダンにも夥しい数の難民が押し寄せていて、彼女はそこで「第三国移住」というセクションの責任者として働いている。ヨルダンでは難民が国内で仕事をしてお金を稼ぐことを禁じているもんだから難民たちはこの国に流れ着いたものの子供たちに教育を受けさせることも出来ずアメリカやカナダと云った第三国への移住を希望しているのだが、その受け入れ数には限りがあり、Nさんたちは婦人や子供や病人と云った優先順位を事前調査をして決めているとかで、それに漏れた人たちは結局逃げ出して来た内戦状態のシリアに戻らざるをえないと云う過酷な現実に直面してしまうのだ。一昨日の段階でシリアの内戦が休戦になったと云う報道がされたけど、難民の数は減ることはないだろう。そんな中、難民たちに親身になって接触しつづけるNさんたちUNHCRスタッフの姿に感動しない者はいないだろう。これまでは彼女がどのような仕事をしているのかぼんやりとしか見えてこなかったけど、この番組を見て私は彼女のような友人を持ったことを誇りに思った。難民救済には膨大なお金がかかる。私みたいな貧乏人には何もできないかもしれないけど、こんな私でもせめて月に千円でも難民救済事業に寄付したいと思ったりする今世紀最大の人道危機なのだ。
コメント
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