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クルマに関する妄想集(+その他のことも少し)

ホンダ・コンチェルトのUK濃度について

2009年12月28日 23時16分58秒 | Weblog
ホンダ・コンチェルトというセダンがあったことを覚えている人はどのくらいいるだろうか。コンチェルトは、グランドシビック(1987)とインテグラ(1989)と車台を同じくする3兄弟車のうちの次男として、1988年6月に新規車種として登場した。ホンダにしては高めにとられた全高や、若者を狙った痕跡がないこと、したがって派手なところのない真面目なクルマ作りという点が、ホンダらしくないクルマと評された。それゆえにというべきか、その後4年間にわたってコンチェルトの販売台数は低迷、1992年のフルモデルチェンジでコンチェルト名は廃止され、別の名前を与えられることとなる。そして、その後はその別名モデルも廃止となり、登場から20年以上を経たいまでは、後継車に相当するクルマすら存在しない。コンチェルトについて概論するなら、だいたい以上のようにまとめられる。いまや、振り返られることのほとんどないクルマのひとつだ。

僕は、ほとんど10年ぶりにこのクルマのカタログと向き合って、いまさらながら、このクルマの持つ濃厚なイギリス臭に打たれずにはいられない。このクルマのカタログには、「ヨーロッパ的なセダン」と謳われているが、正確に表現するなら、「イギリス的」でなければならないと思う。ローバーと共同開発したという重要な事実が、ここまでこのクルマに色濃い影響を与えていることがおもしろい。この、どうしようもなく地味なたたずまいの内外装は、まさしくイギリス車のそれである。

イギリス人というのは、洗練の足りないもの、控えめな雰囲気を持つものを愛し、古くなったものをいつまでも使い続ける行為が尊敬を集めるという、他のヨーロッパ人とは明らかに異なる特徴を持っている。このホンダ・コンチェルトの、流行とはまったく無縁の、長年使ったらきっと味が出るだろうという端正すぎる外観や、チマチマした小造りな感じのインパネ、それらの要素が醸し出す、クルマ全体のひっそりとした雰囲気に、僕はこのクルマがもはや日本車ではないこと(イギリス車であること)を強く感じる。

写真のグレードは、5つある4ドアセダンのグレードのうち下から2つ目の「JL」。サイドウィンドウの外枠やドアノブ、モール類が完全にブラックアウトされ、端正なボディがより強調される点が好ましい。スポーティなスチールホイールの表情も相当いい。こんな中間グレードに乗るのも、アンダーステートメントを好むイギリス人らしくて良いのではないか。また、これはJLだけの特徴ではないが、このクルマのリアビューは、コンビランプの造形がとてもシンプルでありながら、十分に個性的である。

コンチェルトには、実は5ドアも用意されていた。コンチェルトの真のうまみは、実は5ドアボディにあるような気もしている。
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