狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

夜汽車

2007-02-07 13:59:12 | 

〔エッセー通信④〕
こんなA4版の印刷物が新聞切り抜きスクラップブックの中から出てきた。県内に住まいのM氏が、作者から送られてきた、この「エッセー通信」更にをコピーしてボクに送ってくださったものである。実名を記しても差し障りないかもしてないが、ここではKさんとしておこう。そしてエッセーには触れずに、Kさんが引用した『夜汽車』という詩をお借りする。

   夜汽車      大木実
 いつの旅であったろう
 となりあわせた女のひとが
 窓に向かって泣いていたのは
 その背なで安らかそうに幼児が眠っていたのは

 また いつの旅であったろう
 むかいあわせた老人が
 手紙をしめして行く先をたずね
 哀しい身のうえを語ったのは

 灯火(ともしび)も暗く すちいむも通わぬ
 田舎の小さな町から町へ行く終列車

 ああ あのひと達
 一時間ほどいっしょに過ごしただけなのに
 おそらく生涯 二度と会わないであろう
 何でもないあのひと達なのに――
            (昭和23年刊「路地の井戸」より)

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4 コメント

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私も汽車の中で泣いた (遊彩)
2007-02-07 19:39:33
[夜汽車」の冒頭の詩で私も汽車のなかで涙が止まらなかったことを思い出した。入社し初めて着任した四国支店は愛媛県の現場で「恋をした」その現場も半年で大阪支店へ
転勤となり恋した彼女と離れていく汽車の中で・・。
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悲しみ (針 三)
2007-02-08 09:11:54
昭和の23年と言えば未だ戦後の混乱期で、日本の国が将来の見通しもなにも立たずに、日々の食糧にも事欠いて、それぞれが貧乏のどん底にあった頃でしたからね。
それに汽車は、昔ながらの石炭であったし、古ぼけた汽車の窓から、真っ暗でなにも見えない闇を見つめては、汽車の汽笛が悲しく聞こえて、これからの自分の人生に涙が頬を伝わった頃でしたね。
でも若かった頃の、悲しみは、人生の貴重な〝糧〟ですからね。
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 (tani)
2007-02-09 08:22:29
優彩青年の初恋
   -夜汽車。 離別。

 昭和も遠くなりにけるかも。
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望郷 (tani)
2007-02-09 08:38:08
針さん
nostalgiaと言うんだっぺなぁー
お互い若かったね。
幼稚だったのか。
ん。んだ。
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