狸便乱亭ノート

抽刀断水水更流 挙杯消愁愁更愁
          (李白)

新春随想

2006-01-03 22:15:29 | 怒ブログ
   冬景色

 昨夜は大分冷えたと思って起きて庭に出たら、真っ白い素晴らしい霜の朝であった。
妻が居ない正月なので、昨夜は正月だというのに酒も控えた。そのせいが、一旦目を覚ましたら、まだ3時前である。この時間では、起きてよいのか悪いのか、いちばん迷う時間帯なのである。

溜まってもいない小便を垂れ、再び床に入ると、今朝だけは珍しくいつの間にか眠ってしまった。起きたのは7時過ぎだった。

眩しいほどの霜の朝の光である。
元朝と、とって代わってほしかったような清々しさがあった。

「霜の朝」という題で、昔の小学校の頃、国語読本で習った覚えがある。それを思い出すと、居ても立ってもいられず、文部省「尋常小学国語読本」(復刻本)を持ち出して十二巻の目次に目を通してしまった。再度捜しても見つからない。

「唱歌」だったかもしれない。インターネットで捜す。あったのは、「冬景色」だった。
正月三日、思いである冬景色を、朝から口遊んでしまった。

さ霧消ゆる湊江の
舟に白し、朝の霜。
ただ水鳥の声はして
いまだ覚めず、岸の家。

烏啼きて木に高く、
人は畑に麦を踏む。
げに小春日にのどけしや。
かえり咲の花も見ゆ

嵐吹きて雲は落ち、
時雨降りて日は暮れぬ。
若し燈火の漏れ来ずば、
それと分かじ、野辺の里。

数年前、
<正月の飲み屋に知らぬ他人と居て、歌詞あやふやの「冬景色」唱う  tani>
こんな歌を街の短歌会に出したら、歌会の老師はこの唱歌を思い出して絶賛してくれたが、
一般のおばちゃんたちは、「津軽海峡冬景色」だっぺ!と譲らなかったのを思い出した。