呉明憲コンサルタントの中国ビジネス日記

中国の最新情報を上海・東京・神戸を拠点に活動する株式会社TNCリサーチ&コンサルティングの呉明憲が紹介します。

美容のワンストップサービス

2011年03月23日 | 日記

 自然美という会社がある。この会社のビジネスモデルはスキンケアと美容院を結合するというものだ。店舗はなんと2000近くも有る。

 

 

 

 販売チャネルは主に3つある。加盟店、直営店及び専用売り場での販売だ。加盟に関してはその他のフランチャイズと違い加盟費、管理費、広告費及び研修費を徴収しないというものである。加盟に当たっての要求は毎年30万元以上の売り上げが可能であるという将来的なことのみであり、加盟に当たっては資金や属性に関して全く問わない。その結果店舗数は毎年100店舗以上増加し、全店舗のうち95%が加盟店である。収入の構成も店舗構成どおりで2009年度の収入のうち97.7%が加盟店が消費者に販売した製品からの収入である。フランチャイジーにとっては参入しやすいかもしれないが、フランチャイザーだって管理を行うためには資金が必要である。このような加盟店募集は必ずほころびが出る。その証拠に、2010年上半期に184の新店舗を開設する一方で、なんと510もの店舗を閉鎖している。閉鎖の理由としては、加盟店が加盟の約定を守らない(例:自然美以外の製品の販売)、最低目標に達しない、強制的な(無償の)研修に参加しない、といったものである。そもそもフランチャイズというものはフランチャイザーがフランチャイジーに対して商標、ノウハウ等を提供しつつ、統一化したビジネスモデルを消費者に対して提供するものである。フランチャイジーはその対価としてフランチャイズフィーを支払い、フランチャイザーはそのフィーを基にしてフランチャイジーに対する管理を行っていく。自然美に関して言えばフランチャイジーに対して物品を販売するだけで利益が出るということで、フランチャイズフィーに対する意識がおろそかになったのであろう。自然美の管理方式は結構雑であったという人もいることから、確かにそうなのであったのだろう。店舗に対する通知も電子メールではなく紙ベースで行っており、かなり非効率だったようだ。また、商品は確かに多いものの、品揃え的に本当に消費者が欲するものであったのかかというところも「?」マークがつくのがこれまでの状況であったようだ。

 

 2009年度は利益が36%も減少し、さすがに今までのままというわけにはいかなくなってきた。これに対して打ち出した対策というのが、「自然美全方位美容美体中心」というものだ。従来は美容サービスを主として提供していたのを、「お肌測定+保養サービス+製品提供」というワンストップ式のスタイルに変更するというものだ。これと同時にロゴも変更し「ママさんブランド」と揶揄されていたイメージ(同社の蔡博士という人がテレビ出演した際についてしまったイメージ)を一新したのである。さらに3年間カルフール内に店舗を開設するという提携を行った。これでカルフールというチャネルを大きく活用できる。この他、管理が行き届いていなかったのを正すために、かなりのマニュアル化を実施した。それこそ顧客が来店した際の一言から、その後の行動まで全てについてだ。これがしっかりできているかどうかを定期的に検査するシステムも作り上げた。これが守られていなかった場合、店舗とのフランチャイズ契約は終了だ。フランチャイズという契約の中では当たり前のことだが、従前よりメリハリをつけるようにしたのだ。これらを中心に最終的には生産、物流、在庫、小売が連動する体系を築き上げ、従来の管理が甘かった時代から様変わりすることになった。結果が出るのはこれからだ。

 

 紹介されていたのは上記のとおりだが、個人的にはフランチャイズ契約そのものの見直しも進めて欲しかった。やはり加盟社の属性や資金面の背景を無視してひたすら集めるというのは「フランチャイズ」というモデルに反するように思う。自然美も改革に当たって多くの費用が発生したと思うが、これはファンドからの資金でまかなっている。この費用をフランチャイズフィーでまかなっても良かったのではないかと思う。今でも加盟条件は特別な要求がないようである。まあ、最初から話がついていたのであればともかく、いったん無料で加盟してもらってから後からやっぱりもらいますというわけには行かないとは思うが、ファンドからの資金をアテにできたのならここは大鉈を振るってもらいたかったと思うのである。