車椅子で卓球@渡邊剛

2013年より車椅子卓球をスタート。備忘録の意もこめてここにブログを綴ります。
内容は基本パラ卓球、時々食文化。

パラリンピック開催

2016年07月31日 00時20分29秒 | 日記
いよいよ差し迫ってきました、2016リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックが。

オリンピックでは前回のロンドンでの日本女子銀メダルもあり、また福原愛選手、石川佳純選手、伊藤美誠選手をはじめ男女の各選手の活躍もあり国内における卓球への関心度は競技人口同様右肩上がりのようです。

現にこのリオ・オリンピックも国内においてはNHKとテレビ東京だけでなく、日本テレビ、フジ、TBSまでも放送する予定となっている。
NHKなんて日本チームが勝ち進めば最大11日間連続での放送予定なんです。

これはすごい。

日本の卓球に対する民意を示していると思う。

パラリンピックの中継や放送がどの程度行われるかは分からないけれど、競技の枠を超えて障害者スポーツに対する関心度も右肩上がりだし、競技によっては国内の大手企業がスポンサードしているものもいくつもあるから、注目度もありロンドン以上のものが期待出来ると思う。

いずれにせよ日本選手の活躍を期待しますし、応援させていただきます。



ではここで、余談ながら僕の知り得るパラ卓球情報をお伝えしましょう。

それは何かと言うと、日本選手の凄さです。



まず、パラリンピックの日本代表がどのように決まるのか?



これは日本卓球協会の推薦する選手が行けるとか、そういうものではありません。

オリンピックの多競技同様に世界ランキングで決定されます。

なので健常者も障害者も同じ基準で出場権が決まります。

その基準を満たすためにはもちろん、いわゆるワールドツアーを転戦し勝利をあげ、ポイントを獲得しランキングを上げていかなければなりません。



ワールドツアーに出場するためには、まず国内で代表を決める大会(年に一度)でしかるべき勝利を上げ代表権を勝ちとる必要があります。

年に一度の大会なのでコンディションの調整など言い訳は出来ません。

トータルで真の実力勝負と言えます。



でも障害者の場合ここからがさらに難しいところ。

代表権を得れば誰でもワールドツアーに行けるというものではありません。

なぜならば、エントリー費用も渡航費も全て自己負担だからです。

ですので力は有るけど経済的事情で行けないという選手も多くいると思います。

企業や自治体、あるいは個人のサポートを受けている選手もなくはありませんがそれはごく一部の選手のみで、それも部分的なサポートに留まるのが現状だと思います。

プロ契約みたいな選手はほんの数人しかいないのが現状です。

国内の選手のほとんどがいわゆる「アマチュア」であり、自費をなげうってワールドツアーに参加し、どの大会にどの国が、選手が出場するからどの大会ならポイントを獲得しやすいなどのマネージメントも個人で行いつつ活動しています。



では海外ではどうなのか?

もちろん国によって異なるとは思いますが、僕が選手から直接聞いた某国の話では、まず国内にプロチームが10以上あるそうです。

日本では年に1回だけ行われている大会がその国では年間12回程度開催され、各チームに所属する選手がその大会に出場し年間のポイントランキングでワールドツアー出場の代表選手を決めるというのです。

チームに所属するプロ選手なので、週5日間は毎日練習。オフの2日間も予定がなければ練習していると言ってました。

おそらく国によってどの競技に力を注ぐかは異なると思いますので全ての国がそうとは言いませんが、「あの国は国家予算が出てるな」と思える国は僕の主観ですがいくつもあります。

そんな海外の選手達に対して日本選手は「アマチュア」として日々の活動も個人レベルで行い、海外遠征などもほとんどを自費で賄うために仕事もし、そうした活動を積み重ねていきポイントを獲得、そしてようやくパラリンピック出場を果たすのです。



先述の某国において、試合会場で僕は偶然その国の障害者卓球協会会長とお話をする機会を得ました。

パリッとした3ピースの、チャコールグレーのピンストライプのスーツを着こなすダンディな方でした。

彼は「近年の日本チームはレベルがどんどん向上している。これはすごい勢いだ。私も危機感を持っている。」と話されていました。
優しい笑顔だったのでリップサービスもあったのかもしれませんが。

でもプロ選手に対してアマチュアの日本人選手の活躍をこのように評価してもらえていたと思うと、日本人の底力みたいなものを感じると同時に、日本人として誇らしく思えたのでした。



4年くらい前に著名なスポーツ・ジャーナリストのコメントを間接的に聞いた話だと、今や先進国をはじめ各国には「スポーツ省」があり、スポーツに関しては独立した政府の機関が存在しているという話でした。

対して日本は4年前の当時はスポーツは文部科学省の管轄でしたが、文部科学省という教育をつかさどる機関がスポーツを管轄しているのは世界中を見ても日本以外は中国と北朝鮮だけだという話でした。

現状はスポーツ庁が出来ましたがこれはいわゆる文部科学省の外部機関になると思うので実質は変わらないのかもしれません。

ちなみに障害者スポーツに関してはスポーツ庁が出来るまでは厚生労働省の管轄でしたので、障害者スポーツに関して言えばスポーツというよりはむしろリハビリの延長でしかない・・・という話も耳にしました。

実際のところ障害者スポーツセンターの利用にあたってはそういうシーンを目の当たりにすることは多々あります。

だから競技レベルで取り組もうとする場合に障害者は尚のこと個人での活動を余儀なくされるところは有ると思います。



このようなことを書きましたが僕は日本行政を非難するようなつもりは全くありませんので誤解なきよう。



余談ですが先述の某国で僕は通訳スタッフさんのご指名で現地テレビ局のインタビューを受け、「日本と某国の障害者スポーツを取り巻く環境の違い」の質問に対しコメントをしました。

もちろん日本を卑下することなく、だけど某国を持ち上げる内容のコメントに終始務めたのでした。

でもそれはお世辞というものではなく、それだけの選手たちが活動する国ですから、正直環境面における日本との差は強く感じました。



もうひとつ余談。

ロシアのドーピング問題が話題になっていますが、ドーピングに関しては障害者も全く同じ条件で同じ扱いを受けます。

ですので日常の薬はもちろん飲食にも細心の注意を払いますし、常備薬なども専門のドクターのチェックを受けたものしか服用しません。

薬局で薬を買うなんていうことはほぼありません。

ですので日々の体調管理はもちろん、毎日の取り組みもとても重要なものになります。



そんな日々の苦労を積み重ねてきた選手がリオには5人出場します。

ちなみに、世界ランキングと言いましたが障害者の卓球の場合その障害の度合い・内容によってクラスは11に分けられます。

身体は1~10(1~5が車椅子、6~10が立位)、11が知的障害となります。

世界ランキングのエントリー数はクラスによって異なりますが、男子で多いクラスはおよそ100人、少なくても40~50人くらいはランキングされていて、さらにランキングはされていないけど登録はしているという在野の将も各国に複数存在しています。

パラリンピックに出場する選手はそうした世界ランカーのいわば上澄み部分、上位の選手達だけなのです。

日本人選手の出場は5人と言いましたが、その上澄みのちょうど境目あたりにランキングされている選手が実は他にもたくさんいます。

彼らも実力の上では申し分ないと思うのですが、ランキングというルールがある以上は仕方のないことなんですね。

でももうすでに次の東京を目指して日々頑張っていますし、それをサポートする環境も日増しに整っているのでその成長はもっともっと加速していくと思います。



アマチュア大国日本。

でも彼らは皆自分の置かれている環境に不平を言うでもなくアスリートとして黙々と日々の努力を積み重ねています。

そんな中からチャンスをつかみ取った代表選手。

彼らの活躍を祈るとともに、彼らだけでなく全ての日本代表選手の活躍と、全ての出場選手の健闘をお祈ります。



偉そうに書きましたが、僕自身も負けないように頑張ります!

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