歩行者用ゲートで入場料を払って園内に進むと、すぐ左にミーアキャットのケージがありましたが、その奥に観光客で賑わっている一画がありました。園内マップで確かめると「カピバラ虹の広場」となっていました。原作コミック第9巻127ページにて犬山あかりが大喜びしていた「カピバラが触れる広場」にあたります。
作中では東側のゲートから入っているので、「カピバラが触れる広場」は奥のほうにあるような描写になっていますが、私は西側の歩行者用ゲートから入りましたから、真っ先にこの区画にあたったわけです。
この「カピバラ虹の広場」は、四囲をフェンスやコンクリート塀にて囲まれていて、その中に作業小屋やカピバラ用プール、見学者用休憩ルームなどがあり、2ヶ所のゲートを開けて中に入ります。ゲートはゴムベルトで繋がれていて、開けて入ったらすぐに閉めるルールです。そうしないとカピバラが外に「脱走」してしまうからです。
中央の広場にカピバラが10匹、放し飼いにされていました。子供連れの見学客が大勢いて、この公園の目玉がカピバラであることが良く分かります。
これがカピバラですか・・・。初めて見ました。わりとデカいのですね、なんだか丸っこいイノシシみたいな・・・。広場のほぼ真ん中にじーっとこの姿勢で固まっていて、子供たちが代わる代わる撫でても微動だにしません。
なんや貫禄あるな・・・君は。たぶんこの群れのボスなのかな・・・、よし、君が1号だ・・・。10匹いるから、あとは適当に順番を付けて呼びましょう・・・。
続いて1号の近くで地面に横たわっていた2号。暑さに参ってヘバっているといった感じで、これは撫でられると煩そうに耳や手足を僅かに動かして反応するだけでした。目は閉じているようで、寝てるみたいでした。一番大きくて肥えた身体をしていましたが、単に太ってるだけなのでは・・・?まるでブタみたいに見えます・・・。
プールで気持ちよさそうに泳ぎ回っていた3号。1号や2号の半分ぐらいの大きさなので、子供でしょうか。とにかくバシャバシャと活発に水をかいて回っていました。
3号とは対照的に、これまた暑さに参ったという感じで水につかったまま動かない4号と5号でした。見学客が手をふったりエサを見せたりしていましたが、目もくれないといった様子でした。第一、寝てんのか起きてんのか、見分けがつかないのです・・・。
プールの奥まったところで豪快に腹をみせて仰向けになって水面にゆらゆらと漂っていた6号。子供たちが「ラッコみたい」と指さしていたりしましたが、なるほどラッコみたいですな・・・。
見学客にひたすらエサをねだっていた7号。これも体が小さいほうでしたので子供か若者なのかな・・・。とにかく見学客に近寄っては鼻を突きだしてひくつかせ、エサを持っていないかと嗅ぎまわっていました。お腹が空いてるのかな・・・。
この8号も7号と同じように見学客のほうへ積極的に寄っていました。だから人気があってスマホを構える人が多かったのですが、カピバラにしてみれば、「なに変なの構えとんねん、はよエサおくれや」といったところでしょう。エサが差し出されると、フンフンと鼻でかいで確認し、ゆっくりと咥えて食べてゆくのでした。
プールの脇にあるプラスチックの箱におさまったまま微動だにしなかった9号。見学客が近寄っても反応がまったく無いので、子供たちも「コイツは相手にならん」と思うのか、別のカピバラに近寄ってゆきました。要するに、熟睡中であったのでしょう。カピバラもネコみたいに箱に入るのが好きなようですね・・・。
見てて一番面白かったのが出入口ゲート付近に陣取っていた10号でした。ゲートを開けて見学客が入ってくるたびにいちいち顔をそちらに向けてチェックしていました。それでいて体は不動でしたから、頭だけ忙しく動かしているのでした。まるで門番みたいに、ゲートの前に座り込んでいるので、入ってくる見学客は例外なく一度は撫でたり触ったりしていましたが、それらに格別の反応も示さないのでした。一度見てチェックすれば、あとは用無し、といった風情でした。
なので、私が近づいた時にも「お、なんだお前」と一度顔を上げてきたのみで、あとはジッと動かないのでした。 (続く)