気分はガルパン、ゆるキャン△

「パンツァー・リート」の次は「SHINY DAYS」や「ふゆびより」を聴いて元気を貰います

サンダース大学付属高校 M4A6シャーマン 作ります!! その1

2019年11月14日 | ガルパン模型制作記

 ガルパンに登場する戦車のなかで、プラモデルでの再現が大変に難しい車種は幾つかありますが、従来より難度が高いとされていたのが、上図のサンダース大付属高校チームのM4A6シャーマンです。

 このM4A6シャーマンは、テレビシリーズの第5話にて、サンダース大付属高校の学園艦に潜入した秋山優花里が極秘撮影した映像の中に出ていました。艦内の戦車道チームの格納庫とおぼしき場所にずらりと並んでいて、その後の試合に出てくるかと思われたのですが、結局はこのワンシーンのみにとどまりました。

 

 しかも、戦車は3D画像が主体のガルパンにおいて、手描き図のままに終わっているため、インパクトも弱く、すぐに忘れ去られて模型的にもさしたる製作対象となり得なかったようです。今までにネット上で見かけた劇中車作例は、私の知る限りではネットオークションに出品されていた1件のみで、それも劇中車の完全再現には至っていませんでした。

 それで、なぜこのM4A6シャーマンを再現するガルパンモデラーがなかなか居ないのか、という点が交流サークル仲間のモケジョさんたちの間でも時々話題になりました。だいたいは、アスカモデルでさえキットを発売していないから適応キットそのものが存在しない、という理由に落ち着くのでした。
 それでも、ガルパン愛はそこらの古参ファンにも負けないという彼女たちは、彼女たちなりに色々と再現製作を考えたようですが、いまだに実現に至っていません。

 そのうちの一人、マユコさんはサンダース推しでもあるせいか、最も熱心に色々調べていたようですが、やはり壁をなかなか越えられないようで、プラモデルも1個試しに作って、失敗していました。
 彼女の話によれば、ファインモールドの公式キットのケイ車を買ってきて、その形をあれこれ改造したりしたそうですが、寸法がもともと違うので、違和感だらけの車輌になってしまったそうです。それを聞いていて見かねたのか、サークル仲間のT氏が9月の定期会合の際に、そっと私に話しかけてきました。

「なあ、星野さん、サンダースの茶色の戦車、M4A6だったか、どう思うね?」
「どう思うね、って、まだ作ってないから何とも言えん」
「そうやろうな・・・・。ガルパン車輌のなかでも作るの難しいそうやが」
「難しいかどうかは、作ってみて初めて分かる。周囲は難しい、難関やとか言うけど、今までにも制作が大変だったのは幾つもあったからね。M4A6が格段に難しいのかというと、正直言ってあんまりそういう風には思わないな。むしろ、案外に楽だったりするかも」
「そうか、いずれ星野さんは作るやろうから、そうなったらこっちも記事参考にして作ろう、とは思っとるんやが、最近はどうも見ていてリボンの武者の軽戦車に傾いてるようなんでな・・・」
「ああ、それはそうかも。確かに軽戦車に魅力を感じ取るんで、幾つか作る計画や」
「そうすると、サンダースはしばらく作らんのかね」
「いや、自分の計画ではサンダースは作れる車輌はみんな作ったんで、あとは難しいのしか残ってない」
「やろうな、じゃあ、次にサンダースを作るとしたらM4A6になる?」
「それか、ナオミのファイアフライのテレビ版やな」
「あ、そうか。ファイアフライのテレビ版も作ってないんやったな。それもかなり難しいんやろ?」
「ああ、でもファイアフライは、M4A6を作らないと作れないんや・・・」
「ふーむ?つまり、パーツの転用とか交換とかが必須になるのか?」
「というか、M4A6とファイアフライのテレビ版は、セットで考えて連続で仕上げるのが良いかな、と思ってる」
「連続で作る、って、それすげえ大変なんちゃうか?・・・って、おや・・・」

 気付けば、いつの間にかマユコさんも隣の席に移ってきて目を輝かせているのでした。私たちのヒソヒソ話も全部聞き取っていたようで、意を決したように質問してきました。本当はもっと前にそれを聞きたかったのだろう、と思わせられる問いかけでした。

「M4A6シャーマンを作る時のポイント、教えていただけませんか?」

 

 それで、彼女が差し出したスマホの保存画像の上図のカットを見ながら、三つのポイントを説明しました。御覧のように、足回りはM4A4と共通であり、車台もほぼ同じですが前部のみが鋳造つまりコンポジットタイプです。そしてサンドシールドを装備しており、砲塔はM4A3の前期型と共通です。
 つまり、これらの特徴をキットやパーツの組み合わせによって実現出来るのであれば、M4A6の再現製作は誰にでも出来るであろう、と述べました。

 ですが、マユコさんはこう言いました。
「誰にでも出来る、って言わはりますけど、実際には誰も出来ひんのんと違います?現にネットでもガルパンの作例見かけないじゃないですか。今のお話ですと、M4A6作るのに、キットはM4A4とM4A3とコンポジットの3個必要ですよね?それ揃えるのも大変ですよ?お金めっちゃかかります・・・」
「そんなにかからないと思います。ファイアフライのテレビ版とセットで作れば、使うキットは3個で済みます」
「えっ、そうなんですか?」
「はい、M4A4とM4A3とファイアフライICの3個のキットで、M4A6とテレビ版ファイアフライが作れます。M4A3も実はガルパンのネタがありますので、これもキットが有効に生かせます」

 マユコさんはメモ帳を取り出して、私の説明を書きこみ始めましたが、T氏は半ば唖然とした表情で、「いまの話やと、3個のキットを使って、そのままガルパンの戦車3輌が作れるってわけやが、これマジで?」と驚きつつ問い返してきました。

 

 それで、マユコさんのスマホ保存画像の中にM4A6の実車の写真があったのを頼んで表示してもらいました。上図が同じ画像です。それを指しつつ、説明を続けました。
「このM4A6の車体はドラゴンのM4A4をベースにして、前部だけを鋳造タイプに交換すれば出来る。やろ?」
「うん・・・」
「ここで、ナオミのファイアフライのテレビ版も作るとして、その適応キットはあるかどうか分かる?」
「それはあれや、ICのタイプやろ。タミヤもアスカも出してるな。ドラゴンから幾つか出てるよな。・・・でもナオミ車のタイプは無かった筈。あれは角ばった溶接車体だからな。出てるICタイプのキットはみんな鋳造車体やな・・・」
 そこまで言ってT氏はハッと気付いたようでした。

「・・・・そうか、そういうことか。ドラゴンのM4A4をベースにして、前部だけを鋳造タイプに交換ってのは、つまりファイアフライICのタイプの前部と交換するわけか!そうすっと、M4A4のは溶接の角張ってるほうやから、それをファイアフライICにつけると、ナオミ車になる。なるほど・・・」
「そういうことです」
「いやー、分かったぞこれ。確かにキットは3個で済むわな。・・・・でも、それってなあ、M4A4とファイアフライICの両方の車体を真っ二つに切るってことか・・・・?」
「そうです。多田さんはこれ出来ますか?」
「うーん、それは、ちょっとなあ・・・。両方とも車体寸法が違うんやろ?適当に切って、エイッと繋ぐだけじゃあ、アカンのとちゃうんかい・・・・?間違うたらキットそのものが無駄になるで・・・・、いやあ、これ、ちょっと怖いで・・・・」
 腕組みして唸るT氏の横で、マユコさんも同じようなことを考えているらしく、メモをとる手が僅かに震えていました。

「だから、これは難しいとか、そういうのじゃなく、単に勇気の問題なんだろうと私は思うんです」
「ああ、なるほど、確かに勇気の問題やな。スパッと車体を切れるかどうかっていう・・・・」
「じゃあ、その切る位置が正しかったらええんですよね?私は、切りますよ?」
 マユコさんが横から聞いてきたので、私は大きく頷き、説明の残りを続けました。

「一応ですね、以前にパソコンの3D描画ソフトでガルハンのM4A6とファイアフライテレビ版の車体寸法図を作りましてね、両者の車長と車幅の数値を入れて劇中車の形状にして基本設計図を作ったんですよ。それでどこで車体をカットしたらうまく交換して繋げるかを計算したんです・・・・」
「ええー、そこまでやっておられるんですか・・・!」
「で、結論を言うと、両方とも砲塔のターレットの穴の中心線でカットすれば良いと分かりました。それで交換して繋げば、ターレット径はそのまま同じになるので楽です。ただし、厳密には前後に約1ミリずつ遊びを持たせて切らないといけない。M4A6とファイアフライテレビ版のそれぞれの車体前部の寸法差が1/35スケール換算で約1.4ミリありますので、交換後にM4A6では約0.7ミリぐらい縮める、ファイアフライのほうは約0.7ミリ延長する必要かあります」
「すいません待って下さい。メモしますんで・・・・」

「・・・・あと、車幅ですが、M4A6のほうがM4A4そのままですから約1.6ミリ大きい。ナオミ車はテレビ版もM4A4モドキのVCタイプの外見なので、寸法もM4A6に合わせたほうが良い。だからブラ板の張り増しとかやって車幅を約1.6ミリ拡げる必要があります」
「それで、劇中車を作れるんですよね?」
「少なくとも計算上はそうなりますね・・・・。誤差が出るとしたら、0.4ミリぐらい。ブラ板を張るか、パテを薄く盛るかで辻褄を合わせればいいかな、という感じ。私はとりあえすそれでいこうかと思ってます・・・・」
「じゃあ、私ももういっぺん頑張ります!星野さんの製作記事読んで作りますよ!」
 そう宣言したマユコさんは、いつもの明るい表情になっていました。

 

 ということで、図らずもM4A6シャーマンを製作することになりました。リボンの武者の軽戦車群の予定はひとまず横に置き、上掲のM4A6の側面図を選んで用意して製作の基本イメージを固めました。
 なぜならば、この側面図が、私の調べた限りにおいては、テレビシリーズ第5話の劇中車に最も近似する図面であるからです。

 というのは、従来知られているM4A6のプラモテルでの先行作例は、車体背面に大きな排気口を設けたタイプがほとんどで、車外装備品も実車準拠で色々とセットされています。かつてクロムウェル社から販売されていたレジンキットも、その形状でモデル化されており、その作例もネット上で見られます。
 これらに対して、劇中車は車体背面の排気口が無く、予備履帯をセットしており、車外装備品も左側には全くありません。
 なので、上掲の側面図から砲塔上の機銃を外せば、ほぼ劇中車の基本観に重なります。したがって、劇中車の再現製作における基本的な輪郭は、この図を参考にしてゆくことになります。

 

 次の休日に京都久御山の中古ショップで見つけたドラゴンのオレンジボックスシリーズのM4A4のキットです。品番は9102です。

 シャーマン系列のキットはドラゴンだけでも多数多岐にわたりますが、M4A4は意外に少なく、古いナンバーに1、2件があるぐらいです。シャーマン愛に溢れたアスカモデルでさえも、M4A4の製品は希少に属します。そうした状況下においては、一番入手しやすいキットが上図の品であるかもしれません。

 

 パッケージの中身です。例によって余剰となるパーツも多く含まれていますので、ボリュームは必要以上にあります。

 

 組み立て説明書を見ても、御覧のように青色部分のパーツが不要となっています。全体の約半分にわたっていますので、ある意味勿体無いなと思います。

 

 私の場合は、岡山エラヤの水害被災品処分セールで大量に買ってきた上図のシャーマン系列のジャンクパーツがありますので、一部の不足パーツも補えます。今回の製作においては、サンドシールドのパーツが不足しますので、ジャンクから調達しました。

 御覧のようにコンポジット車体のパーツもあります。これはファイアフライICのそれと共通ですので、これを交換用にカットするのも可能です。
 ですが、私の製作ではファイアフライICのキットも別に調達しましたので、ジャンクパーツの出番はあまり無いかもしれません。  (続く)

 


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