鳥孝を辞して、そのまま上図の「しゅんさい」に行きました。鳥孝で出会った拙ブログ読者のAさんのリクエストのお店でした。Aさんは大洗巡礼が3度目だそうですが、このお店は未訪だったそうです。
それで、店先の島田愛里寿のパネルを嬉しそうに何度もスマホで撮影していました。私も、この新パネルは初めてみたような気がします。以前は大学選抜チームの制服姿でしたね・・・。
お互いに宿は素泊まりでしたが、彼は大洗ではなく水戸駅近くのビジネスホテルを予約しているので、あまり長居は出来ません。軽く一品をいただいて、一杯飲むだけにとどめましたが、それでも話題はガルパン戦車プラモデルを中心に盛り上がりました。お互いにモデラーであるので、垣根は無くて初対面の気がしませんでした。
最近作った戦車は、と尋ねると、「T34/85です。星野さんのブログの通りに公式キットとAFVクラブの2つ揃えまして、まず公式キットから作ってます」と楽しそうに答えてきました。
「一気に2輌作りますか。調子はどうですか」
「おかげさまで、もう全部楽しくて。難しい改造とかですね、ブログを読んで自分で仮組みとかきちっとやっていくと、案外出来ちゃうんですよ、これが」
「それはそうですよ。難しいかどうか、というのは作ってみて初めて度合いが分かりますからね。周囲の評価はあまりあてにならない」
「あー、分かります。初めて作ったんはⅣ号のD型やったんですけど、初めての戦車やったんですけど、思ったより難しくなかったんです。飛行機のほうが難しいかなあ、って」
「なるほど」
「それでですね、星野さんのブログ読んでますとね、製作後の知見とか感想とか簡潔にまとめておられるじゃないですか。あれ全部納得出来るんですよ。自分も作ってみてから、うんそうだよね、ってなります」
「さようですか」
「それでですね、ひとつ伺いたいんですけど、星野さん、リボンの武者のほうの戦車とかも作っておられますでしょう、キットはどうやって買われるんですか?中古ショップとかで安く購入、って記事ありますけど」
「そのまんまですよ。中古ショップで買う機会が多いですよ」
「いやあ、それ自分も真似して中古ショップ行くんですけど、星野さんみたいに見つけられなくて・・・」
「確か姫路でしたね。姫路のどこ?」
相手の返答に、ああ以前に住んでた所の近所だ、と気付き、その辺りの中古ショップの名前を三つほど挙げました。ところが相手はいずれの店舗にも行っていないと言いました。それで、さらに私が巡っていた中古ショップを五ヶ所ほど挙げ、商品の動向や価格傾向などを大まかに説明しました。ついでに岡山県の中古ショップも幾つか紹介しておきました。
「そうしますと、姫路よりは岡山のほうが見つけやすいんですかね?」
「私の経験では、そんな感じですね。中古ショップ以外の、個人の模型店も割とありますから、淘汰が進んでしまって大型量販店だけになっている大都市部よりは、在庫もチャンスも多いですね。私も色々買ってますが、在庫の回転が早いのか、次に行くとまた掘り出し物があったりね・・・」
「いいですねえ、それ。自分も頑張ろう・・・」
そんな調子で一時間ほど語り合った後、店を出て握手し、それぞれの方角に分かれました。彼とはその後もメールでのやり取りが続いています。
私は、宿に向かう前に立ち寄りたい所があったので、商店街の通りから南にそれて、大洗温泉施設の前を横切りました。
そして、予定していたスーパー「セイミヤ」に立ち寄って、翌朝のパンや飲料などを買いました。夜には在庫処分の値引きセールが行われますから、タイミングをうまく狙えば、色々安く買えます。大洗に素泊まりで来ている巡礼者にとって、ここの弁当や総菜類の値引きセールは有り難いことでしょう。
つまり、このスーパーが出来たことで、大洗巡礼がさらに楽しめるものになっている、と思います。朝に行けば朝食の食材も買えますし、昼の弁当も安く買えます。まいわい市場では特産品や土産物しか買えませんでしたが、こちらの「セイミヤ」では普段の食品や飲料や日用品が買えます。これは便利で重宝します。大洗でのショッピングの選択肢が広がったわけです。
ところで、この「セイミヤ」での買物中に、一人のガルパン巡礼の方に「もしかして、ホシノさんですか?」と恐る恐る声を掛けられました。応じて振り返ると、30代後半ぐらいの若い方でした。
しばらく立ち話をして、この彼も拙ブログの読者であることが分かりました。今日は色んな方に会うなあ、と感心しつつ、とりあえず一緒に買物をして、宿を訪ねると大勘荘に素泊まり、と分かりました。私の宿の名前を言うと、「ああ、後で行く所の近くじゃないですか・・・」と驚いていました。
「後で行く所の近く、とは?」
「ええ、実は宿でちょっと食べた後、オラクルに行く予定なんです。あの、星野さんも宜しければ一緒に行きませんかね・・・」
「オラクル・・・って、ラムのパネルのある所かね?」
「ええ、そうですそうです。大勘荘のすぐ南です」
「知ってるけど、まだ行った事無いな・・・。折角なんで、私も行ってみますか」
ということて、夜のぶらぶら作戦は依然として続行、ということになりました。
いったん宿の「浜の湯」に戻りました。店主に後でオラクルへ行く旨を告げると、「ああ、アニメとかのバーですね」と笑っていました。
「アニメのバーなんですか・・・」
「そうよ、行ってみたら分かりますよ。でもガルパンとかはちょっと違うアニメって感じだけどね」
「はあ・・・」
部屋に戻って荷物を整理し、「セイミヤ」で買ってきた品々を机の上に出しました。このうちのパン1個をかじり、カフェオレを飲み干してから、再び外に出ました。
そして、「アニメのバー」ことオラクルへ。
玄関口に立つサメさんチームのラムのパネルです。サメさんチームの5人のパネルは、けっこう広範囲に散在していて全部を見るのは大変です。私もこのラム以外にはムラカミしか見ていません。
店舗は二階ですが、途中の階段の壁が御覧の通りでした。色々なアニメのポスターが額装されています。ガルパン関連は見当たりませんでしたので、宿の店主さんの「ガルパンとかはちょっと違うアニメって感じだけどね」の言葉が実感出来ました。
店内に入ると、奥にアニメのフィギュアやグッズやポスターが並んでいる独特の雰囲気に包まれました。上図の案内文にあるとおり、バーではなくてレストランでした。ですが、見た感じではアニメイトカフェやコラボカフェが夜も営業しているのとはちょっと違った趣がありました。
店内です。落ち着いた感じです。
店舗のドアの外側の壁には、寄贈イラスト類が沢山貼られてありました。店舗内には一切こういう品がありませんでしたから、基本コンセプトとしてのアニメの対象にガルパンは含まれていないのかもしれません。そうだとすれば、かなり変わった運営方針です。
さきにスーパー「セイミヤ」で出会ったKさんも、程なくして合流してきたので、軽く一杯やりましょう、ということで上図のメニューをチョイスしました。
Kさんは三重県の桑名の方で、ガルパン戦車プラモデルがメインの趣味だということでした。と言うより、大洗にて私に声を掛けてくる巡礼者の方がみんなモデラーさん系なのです。拙ブログがガルパン戦車プラモデル製作を主要コンテンツに位置づけていますので、その常連読者であれば、間違いなくガルパン戦車プラモデルに縁が深い方になります。
彼の話によれば、もとはガンプラ専門で、ガルパンには劇場版の再上映を観てハマったそうです。
「まだ三年も経ってませんけど、でも星野さんのブログ一生懸命読みまして、大洗女子の戦車は全部作ったんです」
「おお、凄いですね。頑張りましたね」
「いやあ、出来は散々なんですけどね・・・」
「でも、楽しかったのでしょう?」
「えっ、あっ、はい、もう本当に楽しかったんです。それで次へとドンドン進んでいって・・・」
「それでいいと思いますよ。作ってて楽しくて幸せなら、もう充分です。出来は気にしなくていい、作っていれば自然に良くなってきますよ」
「有難うございます!いやー、もう感動っすよ!星野さんに直接励ましていただけるとは!次は何作ろうかと楽しみになっちゃいますよ」
「次は何作るの?」
「ええとね、ええとですね、色々あって迷ってるんですが、星野さん風に、サンダース、レッツゴー!っていこうかと」
「あははは、いいじゃないですか、シャーマン系列は作りやすくて楽しいですよ」
「それでお聞きしたいのですが、ええと、あのテレビの5話でしたっけ、サンダースの学園艦にゆかりんが偵察で潜入しますですね、そのときに出てた茶色のシャーマン・・・」
「ああ、M4A6ですな」
「あっ、そう、それです。あれは星野さんは作られるんですか?」
「いずれは、ね」
「あっ、作られるんですか、やりましたね。感動ですよ、それ作るのは超のつく難関って聞いてますけど」
「らしいですね。同じサンダースのナオミのテレビ版ファイアフライと合わせて2大難関とか言われてますね」
「実際のところはどうなんでしょうか。ネットで探してもまともな再現のが見当たらなくて・・・、ヤフオクで出てるのは劇中車に合わせてないモドキで論外ですけど・・・」
「確かにちゃんと作ってる先行作品は見た事ないですな。難関だから皆さんよう作らないのかもしれませんが、実際には単なる勇気の問題かもしれませんね・・・」
「勇気の問題・・・・、ですか?どういうことでしょうか?」
「私自身はね、正直なところ、M4A6もテレビ版ファイアフライもさほどに難関ではないかな、という気がしてるんですよ。難関というなら、プラウダのIS-2とかBM-13カチューシャのほうが本当に難しくて大変でしたからね」
「ああ・・・」
「M4A6やテレビ版ファイアフライはそれぞれズバリの適応キットは無いですが、半分ずつで考えるとズバリのキットがドラゴンから2つオレンジボックスシリーズで出てるんです」
「オレンジって、あの、サイバーホビーのオレンジのパッケージですよね、確か」
「そうです。それのM4A4、ファイアフライのハイブリッドタイプの2つを買う。それぞれの車体を半分に切断する。切り離した前部を交換すると、M4A6とテレビ版ファイアフライの両方のベース車体を同時に再現出来ます」
「えっ、それで再現出来るんですか・・・!」
「色々調べて図面を引いて検討した結果では、そうなる筈です。寸法計算でいくと増加装甲の無いファイアフライのほうが若干車幅が小さくなるようなんで、増加装甲分の張り増しをやらないと車体もピッタリにはならないのですけどね。あとはM4A6の砲塔が、M4A3の前期型の砲塔と共通なので、これはM4A3のキットからまるまる転用する。これでM4A6の概形は成立するはずです」
「うーん、聞いてたらなんかアッサリしてて、簡単そうに思えちゃいますね・・・。でも、車体を半分に切るってのがどうも・・・、僕にはちょっと出来ないかも・・・、失敗しちゃうとアウトですもんね。キットがまるまるダメになっちまいますよ・・・」
「だから、勇気の問題だと言いました」
「えっ、あっ、そうか、なるほど!確かに勇気がめちゃめちゃ要りますねコレ。うーん」
私自身、M4A6とテレビ版ファイアフライの製作に関してベースとなる2つのキットの車体パーツをそれぞれ半分に切ることについては、一種の恐怖感を覚えています。1ミリでもしくじると、合計1万円前後はするであろう2つのキットが、いっぺんにパアになります。その懸念と恐怖とを乗り越える覚悟が無いと、なかなか作れないな、と思っていますので、その時点では、M4A6とテレビ版ファイアフライがガルパン戦車プラモデルの2大難関であることには異論がありませんでした。
ですが、後日、意外な契機によって、M4A6とテレビ版ファイアフライの双方をたった二日で仕上げるという、信じられない成り行きに至ります。それに関してはそれぞれの製作記事にて述べます。
Kさんとはその後も色々なプラモの話で盛り上がり、二時間近く語り合いました。握手して別れましたが、ガルパン戦車プラモデルを楽しむ仲間同志ですので、その後もメールでのやり取りが続いています。
ひとまず、夜のミッションは完了しましたので、宿に帰り、すぐに床につきました。 (続く)