気分はガルパン、ゆるキャン△

「パンツァー・リート」の次は「SHINY DAYS」や「ふゆびより」を聴いて元気を貰います

ガルパンの聖地 ・ 大洗を行く3 その2 「初詣は大洗磯前神社です!!」

2014年02月23日 | 大洗巡礼記

 「小林楼」の前の県道はまだ人影もなく、車もほとんど見かけませんでした。静かな宮下界隈の朝景色でした。この位置からは一の鳥居は完全に建物の陰に隠れて見えませんでした。


 大洗磯前神社の二の鳥居に向かって歩きました。昨晩も同じコースを歩きましたが、付近には街灯が少ないので、夜はほとんど真っ暗だったのでした。


 鳥居をくぐる前に、脇の旅館「いそや」に立ち寄ってみました。前回の大洗行きの第一泊目がこの旅館でしたので、玄関口の澤梓にちょっと会ってゆきたくなったのです。


 澤梓も正月仕様になっていました。羽織がまるでモンペみたいな形になっているので、もう少し上の位置に掛ければ良かったのではないかなと思いました。


 大洗磯前神社の二の鳥居には、陽光が当たり始めて大理石の肌が輝きつつありました。海原からの光に浮かぶ水神の社ならばでの光景でした。


 いよいよ、待ちに待った、私自身の2014年度の初詣です。鳥居をゆっくりくぐって、一端立ち止まって一礼し、石段を登りました。


 随神門には「謹賀新年」の立札がありました。正月の初詣にやってきたという実感が湧き上がってきました。


 随神門をくぐると、すぐ正面の拝殿前庭に茅の輪がしつらえてありました。いわゆる茅輪神事の中心となる茅製の輪で、これをくぐって罪や穢れを除き、心身が清らかになるようにお祈りするものです。もともとは腰に巻きつける程度の小さな輪であったのが、このように大きな輪になっています。どこの神社でも正月や祭事の時にはこれが設けられていて、人々は新年の多幸を祈って輪をくぐるのです。

 茅輪神事での正式な作法では、この輪を左回り、右回り、左回りの順に三度くぐりまして、一礼して四度目にくぐって拝殿前の神前へと進むのですが、参拝客がみんなそれをやりますと境内が混雑してしまいます。だから、正しい作法を奨励している神社はほとんど見かけませんが、奈良や京都の由緒ある古い神社のなかには作法に則った参拝を促しているところもあります。


 拝殿に向かって右手にある今年の干支「午」の大絵馬です。私が午年ですので、今年2014年は「ホシノの年」でもあるわけです。ガルパンファンになってから初の新年だけに、さらに飛躍して「ホシノとガルパンの年」に願いたいところです。
 ですが、前回訪れた時には、左手つまり神前左前という厳かな格式ある位置にあった大絵馬です。この神聖にして崇高なる絵馬が右手に移動しているという点が、私にはどうも納得がいきませんでした。


 で、左手つまり神前左前の位置には、ガルパンあんこうチームの大絵馬がドカッと据えられていました。ええー、ちょっと待って、これが平安期創祀の格式高い古社の左前に飾る絵馬ですか、と突っ込みたくなりました。
 いくら大洗がガルパンフィーバーで盛り上がっているとはいえ、少しは場所と由緒をわきまえてほしい、と正直思いました。私はガルパンファンの一人ではありますが、なんでもかんでもガルパンだからといって喜んで許す、というような心境までにはまだ至っていないところがあります。むしろ、ガルパン色の無い部分というものの大切さにも心惹かれる気持ちがあります。その気持ちに遇う景色の一つに、大洗磯前神社の神域は含まれていると信じたい心境がありますので、ガルパン的要素は奉納絵馬群だけにとどめてほしかったと思います。

 実際に、他の参拝客からも「なんじゃこれは」「これがあのアニメの・・・この神社に似合わないわねえ」「こんな絵馬初めてみた」「あれ午の絵馬が右にあるぞ、前は左にあったのに・・・」「干支の絵馬ったら普通はこっちの左前だろうが」という声が出ていました。
 後で商店街にて出会って話した方々の多くが、どちらかといえば私と似たような感慨を吐露されていて、なかには「あれはちょっとやり過ぎだねえ」と批判する方も居られました。
 「吉田屋」の御主人などは、神社の世話人を務めておられますので、買い物の際にガルパン絵馬の件を尋ねたところ、「うーん、あれはねえ・・・」と返答に窮して苦笑しておられました。居合わせた地元住民のおばさんも「元旦にお詣りに行ったらびっくりしたよお、誰がああいうの作ったのねえ?神社さんがあんなのよく置いたねえ・・・」と半ばあきれ気味に言っていました。これがおそらくは、地元住民のまっとうなご意見だろうな、と感じました。


 なので、茅輪神事の輪の中におさめて拝む絵馬は、やっぱり干支の午の大絵馬が相応しいです。午年の私が、今年の多幸と息災をガルパン絵馬に祈ったってしょうがないじゃないか、と思うのですよ・・・。記念すべき初詣は、やっぱり襟を正し気を締めて敬虔に進めたい、と願いました。


 気を取り直して、初詣の作法の一つである神殿巡拝に移りました。神社によっては本殿の周囲を通行可能にして神の建物をぐるりとまわりながら拝礼出来るようにしている所があり、それは主に古代からの流れを汲む地方の有力神社に多いとされています。代表的なのが島根県の出雲大社ですね・・・。
 そういえば、こちらの本殿の建物が棟を高くして藁葺にしてある点も、出雲大社本殿の要素に通じるものがあるようです。水戸藩の懐古的気風ならば、本殿修築の際に古制に倣うぐらいのことは試みたかもしれませんね・・・。


 反対側に回って見上げました。何度見ても高い格調をさりげなく示してくる優れた遺構ですね。京都や奈良にあれば、国指定重要文化財クラスには評価されるであろう、貴重な建築です。大洗にて必ず見てほしい建築、として私は真っ先にこの本殿を挙げます。
 そして、今年の抱負を心に念じて無病息災をお祈りしました。


 一周して拝殿前に戻りました。両脇の絵馬がかもしだす一種の違和感は、一般参詣客の反応にも如実に表れていました。みなが一様に驚いた表情をみせるのでした。境内にも、なにか気まずいような雰囲気すら感じられました。神前に礼拝もせずにガルパン絵馬だけを見て喜んで写真に撮っているガルパンファンの数人の姿は、周囲の眼にはむしろ異端として写っていたと思われます。


 奉納の絵馬群です。ガルバン要素は、ここまでなら許容範囲だろうと思います。奉納絵馬とは、一般的には願い事やお祈り事を書き入れるものと解されていますが、本来の有り方は文字通りに絵を描いて神前におさめて神様に御覧いただく、ということであるので、ガルパン関連であったとしても絵やイラストであれば最も相応しい形であるわけです。
 むしろ、これらの奉納絵馬の方は、ガルパンブームのお蔭で、本来の「絵を奉納する」という古式に立ち返る形になっていますので、なにかほほえましく見えてまいります。


 それにしても、訪れる度にドンドン新しいのが増えていきますね・・・。かと言って去年の古い絵馬もそのままにしてあるようなので、一年ごとのお焚き上げというのは、こちらではやっていないのかもしれません。


 なかには有名人の絵馬や、絵やイラストが芸術的レベルに素晴らしい絵馬も少なくありません。ガルパン絵馬ミュージアムみたいな施設をひらいてそこに全て保管するというのもいいと思います。絵馬は、古ければ古いほど価値があがるので、中世期あたりまでの絵馬ですと多くは文化財指定を受けています。なお、日本に現存する最古の絵馬は、平城京跡出土の八世紀代のものです。


 ただ、現在の絵馬は、板が安物であるうえに字や絵が油性マジックなどで描かれていますので、長持ちしないと思われます。板自体が一年ほどで変色風化しつつありますので、雨ざらし状態が続けば数年も持たないでしょう。良質の木材の板に墨や顔料で描いたものですと、保管状態が良ければ500年ぐらい経っても褪せないものです。


 参拝を終えて随神門より退出、二の鳥居越しに輝く鹿島灘の海原を見ました。


 この日は、本当によい天気に恵まれました。大洗の薬師菩薩の効験でしょうか。


 海岸堤防の所まで行って、神磯の鳥居を拝みました。鳥居の棟木の端に海鳥が停まっていました。遠く沖合には漁船らしき影がいくつも望まれました。


 県道に戻って、二の鳥居を振り返りながら進みました。


 大洗町の巡回バスの停留所「大洗磯前神社下」です。今回はここから巡回バス「海遊号」を利用して永町商店街へ移動する予定でした。始発の8時36分のバスに乗ることにしました。時刻の左側に※印があるのは、このバスが大貫から大洗サンビーチルートに乗り入れて運行する便であることを示しています。
 通常のルートでは大貫から大洗駅に回りますが、この※印のバス便のみは大貫から大貫商店街の区域を回ってサンビーチ海岸、大洗マリンタワー、ゆっくら健康館前、エコス前などを回って大洗駅に行きます。このバスで「前原」まで行けば、温泉施設「潮騒の湯」へ立ち寄って朝風呂を楽しむことも出来ますね。


 バスがやってきました。この「海遊号」を利用するのは、今回が初めてでした。一回100円、一日フリー乗車券が200円と、大変お得なバスですが、私はいつも榎澤輪業商会さんのレンタサイクルを利用していたので、前回までバスに乗る機会がありませんでした。
 今回もレンタサイクルを利用する予定でしたが、永町まではかなり距離があるし、時間が貴重なので、バスで移動することにしました。


 一気に「永町」停留所まで移動し、永町商店街に降り立ちました。まだ9時にもなっていませんでしたので、街並みは開店前の静寂に包まれたままでした。こういう点は、いかにも昔ながらの商店街だという感じがします。都心部や主要都市の街区においては、近頃はスーパーや百貨店などが営業時間を8時台に早めているせいで、近隣の商店街も朝早くから営業する傾向が主流になっていますが、大洗ではそういう流れがまだ波及していないようで、コンビニだけが動いているという感じでした。


 永町商店街の各所にも細長い路地道が伸びています。今回はその一つを南まで歩き、折り返して西側の広い車道をたどって若見屋の信号交差点まで戻りました。 (続く)
コメント (2)
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