行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする26年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

許可は100%取れるのは当たり前って、ちょっと違うのでは?

2016-09-21 07:39:19 | 行政書士のお仕事
 ある建設系の同業者の方が、ご自身のブログで

 「許可の要件を満たし、欠格要件に該当しなければ、

 許可というものは100%取れるのが当り前の話です。」

 と書かれていますが、これは正しくないと思います。

 別に、この方を誹謗・中傷するつもりはありません。

 しかしながら、羈束行為である一般的な許認可手続では、

 確かにそうなのかも知れませんが、

 在留資格認定証明書交付申請を除く、多くの入管手続き

 である在留資格許可申請では、いわゆる相当性という

 入管独自の裁量行為による判断が認められており、

 その裁量部分に大きく左右されます。

 つまり、欠格要件に該当せず、仮に表面的に、

 許可要件をすべて満たしていたとしても、

 必ずしも100%許可される訳ではないのです。

 それは我々国際業務に従事する行政書士であれば、

 誰でも知っていることなのですが・・・。

 例えばですが、戸籍や婚姻証明書を立証資料として

 提出したとしても、その信憑性に合理的な

 疑義が認められるような、例えば年の差婚の

 ような場合等では、配偶者としての在留資格が

 裁量により許可されない場合があります。

 それは、結婚が虚偽であったりするなど、

 依頼人すべてが、真実を述べ、真正な文書類を

 我々行政書士に渡してくる訳ではないからです。

 また、就労系の在留資格申請においてもしかりで、

 雇用主が外国人に従事させる職務についても、

 該当性について疑義があれば、裁量により

 不許可と判断されるケースがあります。

 更には、永住許可のように、許可判断基準

 そのものが、例えば、「素行が善良であること」とか、

 「独立生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」とか、

 「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」とか、

 その許可判断基準を明確に定められることができずに、

 裁量部分が多くを占めるような在留許可もあります。

 しかしながら、入国管理局側への立証責任は、

 入管法により申請人側となっていますから、

 「必要書類として書かれてなかったし、

 言われなかったから提出しませんでした!」では

 実務上、到底通用しないのが現実です。

 在留特別許可で、入管法第50条で書かれている、

 「その他法務大臣が特別に在留を許可すべき

 事情があると認めるとき」などという文言は、

 まさに裁量による許可の典型的な例です。

 つまり、建設業許可申請などの羈束行為である
 
 一般的な許認可申請と異なり、在留許可申請では、

 過去や現在の裁量部分を我々の経験則によって類推し、

 それに基づく立証が出来るかどうかに掛かって

 いると言っても過言ではありません。

 また、一方でどうしても本人に不都合な事実を

 無意識に隠蔽しがちな依頼人に対し、

 如何にして多くの真実やその他のプラス要素を

 ヒアリングして、在留資格の該当性に対して

 確固たる立証や補強ができる技量があるかどうかも

 大きな鍵となるのです。

 ですから、ウェブサイトで「許可が得られない

 場合には全額返金します!」と書いていても、

 あながち、間違いとは言い切れません。

 但し、自信のある本当のプロであるならば、

 許可が降りづらいケースでは、受任の段階で

 ある程度の可否の推測ができますから、

 報酬を無料にしますとは絶対に公言しませんし、

 まして、ウェブサイトにも書かないものです。

 少なくとも、私は着手金を頂かない依頼は

 決してお引き受けは致しません。

 また、そもそも不許可となりそうな事案は、

 最初から、その旨をお伝えした上で、

 それでも申請しますか?と確認した上で、

 お勧めしないようにしています。

 それは、受任するからには、少なくとも

 50%程度の可能性が無ければ、依頼人には、

 基本的には在留許可の申請をお勧めしないのが、

 私の基本姿勢だからです。

 とは言え、在留資格許可は外国の方々にとっては、

 日本に残れるかどうかという重大な問題ですから、

 ほぼ許可が得られない可能性が高い事案であっても、

 人道的見地からお引き受けする場合もあります。

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