そもそも大臣とは、天皇や国王などに仕える家来である臣下の中の高位な官職、つまり政治・行政職での高位の臣下という意味からして、“大臣”と云われていると理解しています。
ところで、日本では、むしろ武家社会以前の朝廷全盛時代に誕生した官職のようでして、雛人形にも飾られている有名な右大臣や左大臣などは皆さんご存じのとおりです。
私自身が不勉強なので、どういった職務だったかは知りませんが、政を司る高位の重要な官職であったことには間違いなさそうです。このように大臣という官職は、いにしえの昔から我が国にも存在していたようです。
そして、今現在でも国務大臣(Minister of State)は、皇居での天皇による認証を経て、はじめて財務省や外務省、防衛省、厚生労働省、金融監督庁等々の最高責任者として内閣総理大臣(Prime Minister)の構成メンバーである大臣(高位の官職としての臣下)として国務を担当する官職となっているようです。
ですので、皇居での認証を受けない警察庁長官やら特許庁長官、水産庁長官などは、CommissionerとかDirector Generalと次官級、局長級の政府公式英訳が用いられ、大臣とは異なる官職となります。
つまり、天皇や国王の居る君主国に限り、その国家の各行政省庁の長を大臣と称することが正しいのだと思います。例えば、今現在でも国王を元首としているイギリス、スペイン、オランダ等のヨーロッパの多くの君主国家でも、省の最高責任者は大臣と称されています。
一方、共和制のアメリカ合衆国では、国民が選出した大統領が任命した最高位の行政官を長官(Secretary)、つまり大統領の助役的な意味としてSecretaryと称しています。これを日本語で、米国・・省・・大臣と訳さず、米国・・省・・長官と訳したのは実に見事な名訳だと思います。
ところが、フランス、ドイツ、イタリアなど、そもそも国王が居た国家では、今現在も長官ではなく大臣と称している国が多いようです。
正確なところは分かりませんが、おそらくこれらの国々では、かつての国王に代わって、大統領が首相を任命して、内閣を組閣させている筈です。つまり、共和制によって大統領が国家元首となったものの、大臣(長官)の任命や認証方法が、かつて国王が行っていた時と同じような形式を、共和制になった現在でも、大統領が行っているからではないか、と私は勝手に想像しています。
とはいえ、もう既に君主国家では無くなってしまった以上、たとえその国が未だにMinisterに相当する英訳を今現在も使っているとしても、・・省・・大臣、すなわち臣下の高位の官職者と訳すのは、日本語的にはどうも正しいとは思えないのですが・・・。
浅学非才ですから、この程度でギブアップです。もし、どなたかご存じの方がいらしたら、どうかお教え下さい。そうだ! 隣のオジさんにも聞いてみますかねぇ。