行政書士中村和夫の独り言

外国人雇用・採用コンサルティング、渉外戸籍、入管手続等を専門とする25年目の国際派行政書士が好き勝手につぶやいています!

技能実習という名の・・・

2007-03-26 01:51:41 | ちょっと一言!

 こうゆう仕事ですから、さまざまな国の外国人の在留資格申請手続を依頼されるのですが、私が絶対に引き受けない職種に関わる依頼が、いつくかあります。ひとつは、ダンサーと称してホステスを「興行」の在留資格で招聘しようするケース。もうひとつは、研修・技能実習という名目で、外国人を低賃金で使いたいが為に、研修+技能実習(在留資格上は、「研修」から「特定活動」への変更です。)で招聘するケースです。前述のケースは、群がっていた怪しい?政治家や業者もだいぶ消え、当局も厳しい審査を始めた関係で、急速に少なくなりました。一方、後者の場合、当局は厳しい審査を始めたばかりという事もあり、また、財界を中心とした雇用者側から要望が強く、更には、昨今の景気回復基調や人口減少傾向に伴う人手不足の影響もあってか、いろいろな怪しい組織やら人物らが、あの手この手を尽くして、低賃金の外国人労働者を確保しようと奔走しているようです。ですから、私ばかりでなく、同業者へこの手の相談が最近増えているようです。

 24日土曜日に、国際部長のE先生の講習会が八王子であり、ほぼ2時間かけて出かけて行きました。”今の技能実習は、第2の「興行」(ダンサーと称して、ホステスをどんどん招聘した時に使われた在留資格)になりつつあります”と、仰有っていましたが、まさに、その通りだと思いました。

 本来ですと、原則として、我が国では単純労働に相当する職種に外国人が従事する事を認めていません。しかしながら、その外国人が、本国で習得する事が難しいような職種であれば、日本にてその職種を、座学と実務で覚え、その覚えた実務経験を持ち帰って、その国の為に役立てて下さい!というのが理想です。また、そうあるべきだと私も思います。しかし、現実には、これは建前になっています。事実、この制度を利用しているほとんどの企業経営者の方々に、このようなメンタリティーをお持ちの方など殆どいないと断言できます。殆どの経営者の方々は、実際には人件費の削減という一点のみしか、この制度をメリットを見ていないのです。ですから、この制度の最大限の許可期間である3年間で、可能な限りの低賃金で、外国人をこき使って、元を取ってやろうする発想しかないのです。残念ながら、これが我が国の一部経営者の素顔なのです。

 「外国人でも雇わないと、本当に人が来ないんですよ!」という経営者の方に「それでは、日本に35万人以上もいる、日系人やその家族の方を採用すれば良いではないですか!彼らのほぼ99%は、いわゆる工場労働者ばかりですよ。日本国内で発行されているポルトガル語やスペイン語の新聞がありますから、そこに求人広告を出したら応募は可成りあります!」こう提案すると、決まって多くの経営者の方々は、「でも、彼らの賃金は結構高いようですから・・・」とお答えになります。「あれ!出せる賃金が少なくて、人が集まらないのですか?それでは、話になりませんよ。低賃金で、儲ける経営の発想では、中世の頃と何ら変わりはないじゃありませんか!もう諦めて下さい。私には、お手伝いできませんから!」と言って、お帰り頂くことにしています。

 勿論、ごく一部ですが、本来の趣旨に添った外国人研修生を育てて、本国に送り出している企業経営者の方も確かにおります。しかし、寧ろ、こういった方が例外です。ですから、私は、本来の研修目的である手続であれば、喜んでお引き受け致しますが、外国人を低賃金でこき使う目的のために行う「研修」やら「特定活動」やらの申請手続は、絶対にお引き受けはしておりません。また、ご同業で、このブログを読まれた方々で、このような依頼を受けた場合には、是非ともこのような先のない経営者へ協力するような事は止めて頂きたく思う次第です。長い目で見れば、こういったポリシーしかない事業は決して長続きはしません。目先の僅かな報酬で、ご自分の魂を売るようなことは絶対に止めて頂きたいとお願いする次第です。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする