政府・与党、経済対策の財政支出に55・7兆円…コロナ関連が柱
2021/11/19 00:36
(読売新聞)
政府・与党は、新たな経済対策と2021年度補正予算案を固めた。国と地方の負担を含む財政支出は55・7兆円程度、民間などの支出を含めた事業規模は78・9兆円程度になる。19日に閣議決定する。
財政支出は、20年4月に決定した新型コロナウイルスの感染拡大に対応する経済対策の48・4兆円や同年12月の40兆円を上回る。
このうち、国の歳出は43・7兆円で、補正予算案の一般会計に31・6兆円、特別会計に0・4兆円を計上する。「16か月予算」として補正予算案と一体的に編成する22年度予算案は、新型コロナの感染再拡大に備えて5兆円の予備費を確保する。国が資金を調達して低金利で貸し出す財政投融資は6兆円程度とする。
今回の対策は、〈1〉新型コロナの拡大防止〈2〉「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え〈3〉未来社会を切り 拓(ひら) く「新しい資本主義」の起動〈4〉防災・減災、国土 強靱(きょうじん) 化の推進など安全・安心の確保――の4本柱で構成する。
目玉として、年収960万円の所得制限を設けて、18歳以下に10万円相当の給付を行う。現金5万円を年内に、子育て関連に使途を限定したクーポン5万円分を来春までに支給する。住民税非課税世帯に別途、現金10万円を給付する。
売り上げが減った中小事業者向けには、「事業復活支援金(仮称)」を整備し、最大250万円を支給する。従来の「持続化給付金」よりも要件を緩める。
岸田政権が掲げる「成長と分配の好循環」の実現に向け、看護や介護、保育職の賃上げの原資も盛り込む。
保育士や幼稚園教諭、介護・障害福祉職員の収入を3%程度(月額9000円)、看護師ら病院の看護職員は1%程度(同4000円)、来年2月からそれぞれ引き上げる。看護職員は3%程度を目指して段階的に引き上げる方針だ。
飲食店支援事業「Go To イート」や、イベント・商店街への需要喚起事業も盛り込む。経済安全保障の強化に向けて、先端的な重要技術の研究開発などのため、将来的に5000億円規模となる基金を作る。