国に賠償を命じた熊本地裁判決が確定し、今後の焦点は元患者家族への補償の枠組み作りに移る。ただ、首相談話が「判決に基づく賠償」を表明したのに対し、原告・弁護団は請求を棄却された20人を含めた救済策や、判決内容とは異なる一律額での補償金を求めており、協議は難航も予想される。

 判決で訴えが棄却されたのは、身内が元患者だと知った時期が、国の隔離政策を違憲とした2001年の熊本地裁判決の翌年以降だった20人。原告・弁護団は、この原告らも政府が検討する救済策に含まれることを期待し、20人の控訴を踏みとどまった。弁護団の一人は「リスクは大きいが、補償措置を早急に検討するとした首相談話に水を差したくない。政府の英断に私たちも英断で応じるというメッセージだ」と話す。