炉端での話題

折々に反応し揺れる思いを語りたい

自尊心と自尊感情

2011-02-01 21:16:50 | Weblog

 自尊とは、手元の辞書をひくと「自分を自分で偉いとおもうこと」「うぬぼれること」「自分を尊重し、品位を保つこと」とある。識見が高いとされる広辞苑には「自ら尊大にかまえること」「自らたかぶること」「自重して自ら自分の品位を維持すること」とある。自尊心とは「自尊の気持」「自分の尊厳を意識・主張して、他人の干渉を排除しようとする心理・態度」「プライド」と記されている。自尊心とはあまり好ましい意味ではない。

一般的に「あの人は自尊心が高い(強い)」といえば、自分が優れているように振る舞い、あまり他人の言葉に耳をかさないで独りよがりという意味で使うことがある。

 

心理学の分野では、自尊の意味を違った形でとらえつつある。最近では青少年、すなわち低学年の子どもとか思春期の子ども、さらには大学生の年代に至るまで自尊心が低下しているということが課題となっている。心理学では一般通念として広く使われている「自尊心」とは、内容に差違があることから、自尊心の代わりに「自尊感情」あるいはこの英語訳である「セルフエスティーム(self  esteem)」を学術用語として用いている。最近では自尊感情が定着しつつある。

 

様々な心理学の自尊感情の研究成果を横から眺めていると、「自尊とは、ヒトが生きるための根幹をなす感性」と解釈できる。この解釈は、心理学者から厳しい批判を受けるかも知れない。

わかりやすく例をあげてみよう。

自尊感情が低下すると自殺につながることがある。「自分はダメな人間である」、とか「生きていても仕方がない」、「自分が生きているから他の人に迷惑をかける」などと思いこむことは、ヒトとして生きる根幹の自尊感情が低下しているといえる。逆に自尊感情が高ければ、「自分は生きていく価値があるから生きる、また自分が生きていることで他の人たちのためになるから生きるのだ」と思えば、これは生きるための根幹をなす自尊感情が高いといえる。

 

そうであるとすれば自尊感情という呼び方もふさわしくない。これまでも何度か「感性」のことを述べてきた。感性とは生まれ育つ環境にあって、ヒトの自分自身の中に育成される感覚とそれに対する反応に拘わる機構と解釈すれば、セルフエスティームのことを自尊感性と呼ぶのはいかがなものであろうか。

(脳)


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